生酒の開栓時に栓が飛んだ。
モノは4合瓶。フタの構造は、樹脂製の中栓をアルミ製の冠頭(外栓)でシールしたもの。冠頭の引き手を摘まんで引き始めたところ、快音を発して中栓と冠頭が飛んだ。内容物の日本酒は、出口の直下まで泡立ったものの吹きこぼれることはなかった。
シールを引いて締付力が弱くなった途端に勝手に中栓が飛ぶようでは、開栓作業が制御不能になり安全に開栓できない。
ラベルには次のように注意書きがある。
「ガスを抜きながら徐々に栓を開けて下さい。」
ねじ式のキャップならともかく、樹脂製の中栓という構造でどの様に徐々にガスを抜きながら開栓できるものか。疑問に思った。
問題の日本酒の仕様は、
多賀治 Takaji
純米吟醸山田錦 にごり生原酒 限定品 2015BY 720ml
製造年月 2016.09
購入年月 2016.09.30
開栓日 2016.10.07
購入後は15度にて保存し、低温庫から取り出した直後に開栓。生酒の香味に違和感なし。
生酒や発泡性の日本酒など内圧がある四合瓶の開栓は何度もやった経験がある。まあ、栓をしてあるものは今回が初めてなのだが。
フタの構造は次の3種類があった。
(1) ねじ式のキャップ
大方はこの構造。徐々にガス抜きできるが開栓時の吹きこぼれが問題。キャップが飛んだ経験はない。
開封作業用に透明な袋を添付しているメーカーもあった。
また、ガス抜き穴が開いたキャップもあったが、しばらく酒を置くと炭酸ガスが抜け切ってしまった。
(2) ビール瓶と同様の王冠 (八海醸造)
(3) ワインボトルと長めの樹脂製中栓
空き瓶集合30 の中央の空き瓶。ただし、日本酒は微発泡性で瓶の内圧はほとんどなかった。
Sake Zork との併用っぽい。樹脂製の長い中栓は開栓し難い面倒なもので、あまり賛成できない。
国民生活センターから、2007年に次のレポートが出ている。これは事故だ。
生のにごり酒で開栓時に栓が飛んで怪我!-眼底打撲で入院も-
動画を見ると、飛ぶ栓には眼底打撲で入院しても仕方ないと思われる程に威力がある。
記者説明会資料では、今回と同様に「外栓を外した途端、中栓が勢いよく飛んだ」と書かれており、業界への要望として「事故を未然に防ぐため、構造面を含め抜本的な対策」を求めている。
問題の日本酒は注意表示はされているが、構造的には何の安全対策もされていないように思われる。日本酒造組合中央会に要望が出されているが、いまだに中栓が飛んでおり、構造的に未対策であることに疑問を持ったし、これほどの威力であることに正直なところ驚いた。
内圧がある日本酒を販売するなら、客に怪我をさせぬようメーカーも良く考えるべきと思う。
追記 2016-10-12
こちらのサイト(アキモト酒店 走る大地 踊る農業 歌う酒 -秋田県)に打栓された新政の活性酒を開栓する様子がビデオで紹介されている。ただ、ガス量は少ないようなので、同様の方法が実際に通用するかは分からないところだ。下手をすると衣服を汚すだけでなく、怪我をするかも知れない。
Youtube にも「開春 発泡生酒の正しい開け方」があるが同様。その他、捜せばあの手この手と秘術の限りが尽くされている。風呂で開栓するのもなぁ。いずれにせよ、PL法対策にはなりそうもない。
最低限、安全に開栓できるように、ねじ式のキャップを採用してもらいたいと思うのだが。
追記 2016-10-13
Google検索で次の記事を見つけた。
徹底解説!日本酒の種類別、ボトルの開け方! - SAKETIMES 2014.10.15
発泡日本酒について、「お酒を開けるときフタの方をゲストに向けてはいけませんよ。お酒が噴き出るなど、なにがあってもいいようにフタは自分に向けておきましょう。」と恐ろしいことを書いている。失明しかねない。このライターは大丈夫なのか。
同じSAKETIMESに
【必見】にごり生酒を噴きこぼれないように開ける方法! - SAKETIMES 2015.03.12
があり、こちらでは外栓の頂部から画鋲で穴を開ける方法が写真付きで紹介されている。
追記 2017-09-24
活性酒用王冠を扱っているサイトを見つけた。
活性酒用王冠(1.8L/PP栓 8山ネジ栓)
穴が開けてあるPPキャップなのでガス圧がある程度は抜けて安全だろうが、抜け具合をコントロールしきれないので微妙だと思う。