働く主婦のじゅんこです 

自分探しから始まった幸せへの道・・いくつになっても旬な女性で生きるカギ☆

赤い着物

2014-11-21 21:14:07 | 家族
長女が成人式を迎える頃だから、もう5年も前になる。

当時、大学生2年の長女と中学3年生の次女が、二人だけで振袖の着物を買いに行った。

富山市内にあるこの有名着物店にとって、高岡市から電車をのこのこ乗り継いで、成人式の着物を
買いに来た少女だけの来客は、開店以来の驚きであったらしい。

父子家庭で育った貧しい姉妹と映った店の人達は、不憫に思ってか、店の奥から素敵な赤い振袖を
選び出し、破格の値段で提供した。

喜んだ彼女達は、早速、母親宛てにメールした。

女性にとって生涯の記念となる晴れ着を、世間知らずのあどけない娘達だけで買わせるなんてあり
得ない、と固く信じていた店の人達が、仰天したことは想像に難くない。

しかも、メールのやり取りを聞いていると、着物代は、娘の奨学金で払わせるそうな。。。

娘達への同情が、鬼のような母親に対する怒りになったのも無理はないのである。

支払いの確認で電話をかけてきた店員は、乾いた声で責めるように私に言った。
「娘さん達の大事な着物、ちゃんと見てくださいね」。。。。

同行しなかったことに後ろめたさがあった私には
「娘さん達だけでこんな大事な買い物をさせて、ほったらかしにせずにちゃんと見てください!」
の非難に聞こえ、長く胸が痛んだものである。

どこに、娘の晴れ姿を夢見ない母親があるだろう。

どんな買い物があったとしても、娘の晴れ着は母にとって欠かせない大きな楽しみの一つに違いない。

しかし、その人生で最も晴れやかな日を、共にできない必死な事情のあることは、誰に伝えるにしても
甚だ難しいことなのだ。

幸いにも、当の娘達は、そんな事情を漠然とでも受け入れて育っている。

やがて母親の選択はしばしばきつかったけれど、間違ってはいなかったと知らされる時がくるだろう。
そう、その一つが、あの大舞台。。。

司会の語り口もよかったけれど、赤い振袖姿はとてもきれいで一際、母の目には眩しかった。。。

ようやく赤い着物のトラウマから解き放たれたこの日のことを、生涯、忘れることはないだろう☆