智の庭

庭の草木に季節の移ろいを感じる、日常を描きたい。

家物語7、LDK、いかに広く見せるか?

2013年09月30日 | 家の設計、インテリア
住友林業のプロのカメラマンが、2年前に、広角レンズで撮影。

住林の住宅フェアで、拙宅は「埼玉県S邸」で紹介され、

家具屋もプロが家具を撮影し、自社作品として紹介しています。


広さは有限で、物を置き始めると、狭くなります。

ソファーや椅子は、足に幕板のない、座面下が空いているタイプで、

ダイニング窓下・ボードも、浮かせて、床との間に空間を設けています。

こうすると、視界の中で床が連続し、広く見えます。


上記写真は、玄関広間からリビングの扉を開けたところ。

居間と食堂と台所が一体のLDKですが、工夫した点は、キッチンを目立たせない。

部屋に入る来客者は、ソファーやTV、テーブルに目が行って、

右手前のキッチンの存在に、まず気がつきません。


現在、私の普通のカメラで、リビング奥からダイニングに向けて、

ダイニングテーブル、白いカウンター、壁の奥に換気扇など収め、

キッチンのゴタゴタ、凸凹を目立たせないようにしました。


木造軸組み工法では、「平」ではなく「勾配」天井の場合、

3*4間=12坪=24畳が、柱が無くて最大の広さ と設計に指摘されました。

それで、天井を支える構造を入れてL字型の空間にして、広くしました。

結果オーライで、正方形や長方形より、場面変化があって良かったです。

天井も2.6m高から3.6m高まで上がっていますが、

勾配が緩くても印象が薄くなり、急だとキツイ印象になり、これが程好いです。


材は無垢で、床は桜、天井と扉は米松、家具はケヤキです。

全体が協調して、ある物が強く主張することがないよう、調和に気を配りました。

「屋久杉、イタリア●●産大理石」など、豪邸では随所に自慢の品物がありますが、

私達の望むところではありません。

オーケストラのハーモニーのように、全体の調和を求めました。

ですから、「何か」に視線が止まらず、リラックスできます。

家物語 番外編 インテリアの想い出

2013年09月29日 | 家の設計、インテリア
写真は以下全て、都立行船公園のお茶室です。参考に何度か訪れました。



写真とは関係なく・・・想い出話。


埼玉県から、都内のマンションに引っ越したのは、小学校2年の夏。

父が、知合いのインテリア・コーディネーターに頼んで、内装は完了していました。

衝撃でした・・・


子供部屋のカーテンは、フランス製ですが、黄色地に 赤色の西洋梨のプリント柄。

原色の黄と赤のコントラストがきつく、目がチカチカ、落ち着きません。

リビングは、ペルーのアンデス製で、素朴な茶褐色地は良いのですが、

80cmはある「蛾」と中小の「蝶」の大胆不敵さに、気味悪く居心地悪いこと・・・

ダイニングは、オレンジの純毛カーテンに、グリーンの純毛絨毯。

三十代の両親の寝室は、隠居部屋のように老け込んだ、灰色のカーテン。


プロに頼んだこと、家族一同、後悔しました。

すべて上質で高価なものでしたが、調和がありません。

強烈で、今も忘れません。


それでも、私と父が日本橋高島屋で選んだ デンマーク製チーク材無垢の食卓と椅子、

食卓は楕円形で、オレンジ色かかった狐色の木目が美しく、

椅子は、背もたれの木の曲線が格好良く、洗練され合理的で、母も姉も気に入りました。




高校2年の春、同じ地区内で、4LDKのマンションに引っ越しました。

前回の反省下、カーテンは 家族各々が決めることにして、

照明は、ヤマギワ照明の 照明コーディネーターを呼びました。

旧宅が蛍光灯で、食事の魚や肉が、おいしく見えないことを両親が気にしたからです。

初めて白熱灯で照らされた日、お肉の赤、野菜の緑が、鮮やかに映えました。

・・・驚き、感動し、照明の重要さを学びました。


当時、自宅から、東京タワーと富士山が見渡せたのですが、

東京タワーが、北欧で修行した照明デザイナー、石井幹子さんによって、

美しく「ライトアップ」され、劇的に変化し、印象深かったです。

石井幹子さんは、新しい歌舞伎座のライトアップも、手がけていらっしゃいます。


家具は、先のチーク材のテーブルに調和するものを、両親は買い足しました。

ソファーは、これもまた私が見つけた、真紅のビロード張りに決まりました。

そのような訳で、子供の頃から、インテリアは興味をもって観察していました。


両親は交際範囲が広く、友人・知人宅を私達子供も連れて、訪問しました。

ですから、様々なお宅を拝見する機会に、子供の時分から恵まれました。




25歳で、シンガポールを家族旅行したとき、シャングリラ・ホテルの室内装飾が気に入り、

嫁入りの家具として、英国ジョージアン様式 焦げ茶色の家具を揃えました。

28歳でマンションを購入した折、LDを一間につなげる内装工事をかけ、

先のジョージアン様式の家具を中心基調に、引き立てる壁紙を選出、

イタリア製のカーテン、スペインから船便でやってきた照明を足していきました。




その後も、外国・国内旅行する時は、

ご当地の庭園めぐりは無論、建築物、インテリア、活け花も気になり、

ご当地の主要ホテルを見て周り、

母も姉も好きで、女三人、姦(かしま)しく、論評三昧です。

夫も、好きそうです・・・夫の論評を聞くのも、楽しいです。


いずれにしましても、「美しい記憶」が財産になり、造園へ転職し、

今回の自宅建設時に、大いに役立ちました。


家物語6、和室、来客者への配慮

2013年09月28日 | 家の設計、インテリア
我が家は本家で、親戚や姉妹が集まり、また夫の友人知人が宿泊しますので、

和室は客間・来客用寝室として利用し、「何畳にするか?」相当悩みました。



このスケッチ帳は、私が頭に浮かぶイメージを、描いて検討したものです。

これは畳12畳で、東側に廻し廊下を設けた、「贅沢」プランです。



旧宅は和室が床の間・押入れを除いて、畳が8畳+8畳+6畳+広縁4間、広すぎました。

夫の友人が4人泊まった折、布団を並べた時に思ったのですが、

家族4人は くっ付けて布団を並べられますが、他人4人は 隙間を必要とします。

8畳一部屋では狭い、とまず結論がでました。

では?

8畳+6畳=14畳 は広い割りに、敷居・鴨居が部屋を分断し、多人数時に下座の方に、不快な印象を与えます。

それで、一部屋で10畳か?12畳か?悩みました。





結局、10畳に、床の間・仏間・出窓書院・広縁2間を設け、北側の空きスペースを納戸としました。

写真では、広がりの感覚が伝わりにくいのですが、

この書院は長さ2間あり、10畳に床の間1畳に、出窓書院を加えて、広く見えます。

出窓は、基礎の面積を増やさず、割安に広く見せますので、「お得」です。


広さが決まって、次は、天井高です。

夫は、旧宅の2.7m天井高に慣れ 「低いと圧迫感があって嫌だ」

住林の標準仕様では2.4m高で、Heigh仕様に変更して2.6m高を確保しました。

私「広さと高さの、最適なバランスがあるのでは?」と設計担当に質問しましたが、

返答に窮していましたので、手元の専門書「家作りビジュアル大事典」を読み込むと、

ありました!黄金比。

古人が編み出した計算式があって、4.5畳で約2.2m、10畳で約2.7m。

狭い茶室は天井も低く、お寺の大広間は天井が高いわけです。



家具の座卓は、8名が座れる様に、長さ2.1m 幅1~1.1mにしました。

これも、拙宅のけやきで 家具職人に作ってもらいました。

幅は重要で、狭いと来客と対面して食事する時に、居心地悪く感じます。

私は「嫁」なので、夫の親戚縁者との「距離」が、気になりました。


家具屋から紹介されたデザイナーKさんは、大変優秀な方で、

私は、様々な疑問をぶつけましたが、すべて、感度よく返ってきました。

食卓テーブル・座卓の幅と、他人との距離感、窓と家具のバランス、窓とカーテンの相性・・・

住林の設計に質問しても、的確な答えは返ってこず、文献を当たっても見つからない、

そんな疑問にKさんは、「打てば響く」ように答えてくれまして、大変参考になりました。



出窓書院を外から見た写真。

千本格子ですが、住友林業の駒沢展示場の実例を参考に、サンプル作成し検討しました。

窓の掃除をするのに、手と腕が入る隙間が重要と気づいて、採寸してもらいました。

展示場は、格好いいですが、掃除する隙間はありませんでした・・・



最後に窓を紹介します。

先の「家物語3 ブラインドシャッター」も合わせてご参照ください。


障子を閉めたところ。


障子を開いたところ

幅2間に対して、窓は耐震構造上の最大値1間半。シャッターの最大幅も1間半。

採光の妨げぬよう、障子を左端に4枚収め、敷居・鴨居を幅広にしました。

雪見障子にしないかわりに、上辺・下辺ともに可動式カーテン・ブラインドで、景観・視線を調整します。

これは、中央付近を目隠しすると、道路の通行人の目線を遮ります。

下辺を床まで下げれば、昼寝を見られません。

雪見障子では、寝そべっている家人が、外から丸見えになります。

我が家を訪問された方に、この説明をすると、「なるほど~」と感心してくれます。

家物語5、ブラインド・シャッター、光と風の調整

2013年09月27日 | 家の設計、インテリア
窓辺の美しさ については、次回に譲り

安全・安心の観点から、ブラインド・シャッターを採用したことを紹介します。


ご存知無い方が多いようなので、敢えて説明しますと、

ブラインドのように桟(羽)が動き、光と風を調整できるシャッターです。
      
左が桟が水平、     右が閉じている状態です。

開閉の具合で、光と風の入り具合を調節でき、夜は窓を開けて、安心して眠れます。

夏場の電気代(冷房代)が安く抑えられ、しかも快適で健康的です。


日中、外から見ると、

夕方には、


旧宅は2階建ての広い家で、窓を開け放しでは、侵入者の音や気配に気づかず、安心できませんでした。

夏、いい風が吹いていても「開かずの窓」がいくつもありました。

このシャッターのお陰で、今は、全部の窓を開けて、掃除機をかけたり、

独りで過す日中に、安心してお昼寝ができます。


中から見て、桟が水平時

桟が80%閉じている時

シャッターを上げて、室内用カーテンブラインドを利用している時


この室内用カーテンブラインドは、下場が上下するだけでなく、天場(上場)も上下するものを選びました。

理由は、外の通行人と視線が会わないように、また室内を覗かれないようにするためです。


純粋な数奇屋建築であれば、木造の雨戸を作りつけるものですが、

その風情より、電動シャッターの簡便さ、快適さ を選びました。

旧宅で、雨戸を開閉する度に、薮蚊が侵入するのに閉口していました。

シンガポールのホテルや、長崎のグラバー邸など、ブラインド型の木製雨戸を利用していますが、木製は特注で割高です。

しかし、ブラインド・シャッターを採用するにあたり、窓の幅が2.8mまで制限され、

南面の窓を、大開口にする夢は、消えました・・・・・

家物語 番外編 旧宅の想い出

2013年09月26日 | 家の設計、インテリア
2年前に家を建替ましたが、前の家は夫の父親が建て、築40年を過ぎていました。

両親と祖母、娘3人、息子1人の7人の家族が住み、事務所併設の8部屋ある、広い家でした。

夫が築30年の頃、1千万をかけて、同じ大工にリフォームを依頼しましたが、

息子の代に変わり腕は落ち、予定を超えて半年も掛かり、夫の母は疲れて「鬱」を発症してしまいました。



月日が経ち、娘は嫁ぎ、夫が独りで暮らすに所に、私は嫁ぎました。

昔の古き良き、大工の手による家で、私は九州の父方の故郷を 思い起こしました。

昔ながらの造作の家は、断熱材が入っておらず冬は寒くて、光熱費が3万5千円を越しても温まりませんでした。

リフォーム専業の住友林業ホームテックに、耐震の見積もりをしたところ、2千万円を提示され、

それでは、新築のほうが満足いく、ということになりました。




旧宅の玄関から、西側にある納屋とシラカシを撮影したものです。

納屋の裏側の敷地が、活用できませんでした。

庭は、先代が「植木の見本市」的な利用をして、木が整列していました。

私が嫁いでから、5月のGWと9月の連休時、夫の仕事の閑散期に、

二人で少しずつ「庭」作りに汗を流してきましたが、未だ完成していません。



庭を作るうちに、

夫の兼ねてからの夢「50にして家を建てる」を実現すべく、理想の家作りの模索が始まったのです。


新宅は、東端に納屋併設の事務所、中央部に母屋、西側は庭として配置をしました。

家が成った今、理想の庭作りが続きます。

植物は生き物ですから、庭は毎年新化して、完成はありえません。

それが、庭作りの醍醐味でしょう。

家物語4、玄関広間、初めのおもてなし

2013年09月21日 | 家の設計、インテリア
玄関扉の横に、旧宅の食卓椅子を置いています。

夫はタバコをふかし 庭を眺め、

私は、買い物袋を椅子に一旦置いて、鍵を開けます。

扉を開けると、


正面廊下突き当たりに、嵌め殺し窓から 北側庭を眺める

この庭は、先のGWに、夫の職人衆が建仁寺垣を作成し、

私が芝を張り、四十肩が悪化・・・・

お彼岸など親戚が集まるときは、お花を活けて おもてなし


廊下右手の襖を開けると、和室の客間。

左手の米松の扉を開くと、LDK。

突き当たり左手扉はキッチンで、重い買物袋を 最短で運べます。

突き当たり右手は、一番冷える北東角で、納戸 兼 食品庫。


夫が「ゆとり空間」を主張して、このような間取りになりましたが、

和室で来客を夫がもてなしている間、LDKの音は漏れませんし、

キッチンの扉を開けて、お茶だしのタイミングを計れますし、

来客中であっても、私はリビング・ダイニングで寛げて、快適です。


さて、ここでも私、頑張りました・・・・



床は桧の無垢、節なしです。

最初の材は サンプルでは目立たなかったのですが、実物は節が点々と飛んでおり、

「ログハウス」「山小屋」を連想させ、「我が家の雰囲気に合いません」と返品交換してもらい、

節なしの、紅白の濃淡の薄い中間色の材になりました。

それでも、紅白のコントラストや木目のバランスが気になり、大工さんと一緒に並べて調子を整えました。

住林の顧客で、ここまでやる客はいない・・・と思います。



これは玄関入って正面に、杉面皮柱が立っていますが、その上部をアップした写真。

新木場の銘木屋で材木を選び、大工の手元が据えている最中、

廻し縁(天井と壁の境目の縁切り材)と、化粧材の合わせ目が、奇妙なことに気づき、

紆余曲折を経て、業者ミスを認めさせ、銘木屋にて選びなおし、据え直してもらいました。



これはLDの扉側から、玄関をみた写真です。

下駄箱は、我が家にあった「けやき」の材で、家具屋に作ってもらいました。

照明も、ここに絵を飾る、と予想して配置。


最後に、玄関扉ですが、これも大変でした・・・・

住林が発注した玄関扉・建具職人が、米松で作成して据付しに来ましたが、

鍵を作成中に、私は「鍵が用をなしていない」事態に気づき、住林に指摘しました。

帰宅した夫は、あまりにもの事態に厭きれ、材の難を指摘、次々とダメだししました。

作成し直して2度目の扉は、住林が難を指摘して、私達が見る前に返品。

3回目の扉が、家に住み始めた後、ようやく据えつけられました。

そのときも、内鍵に難が生じましたが、もう、手直しで承認しました。


いずれも、住林の「標準仕様」ではなく、「特注」にした部分に問題が生じました。

施主としては「美」にこだわり、割増料金を覚悟で注文しており、妥協はできません。

美的センスの鋭い建築家に、設計と施工の監修を依頼すれば、このような問題は避けられるようです。

住林の施工担当の未熟さに、施工業者の未熟さが相まって生じたのでしょう。


しかし、大工は住友林業のランク分けで、「松竹梅」の「松」の大工を選んだ、とのことでした。

職人の技が、プロのレベルが下がってきている、ということでしょう。

また、注文主が職人を育てる、とも言いますが、

造園同様に建築においても、目の肥えた施主が、時間をかけて家に普請する、という時代でなく、

職人が技を振るう機会が減り、技術の伝承も途絶えてしまう・・・

そんなことを憂う日々でした。


問題は、次々起こりましたが、住友林業の営業・設計・施工の三者が知恵を絞り、

適切に対応していただけましたので、結果的に満足です。

そこは、「住友」という一流企業の看板を背負った「社員のプライド」が支えるのでしょう。

安さに惹かれて、町の工務店に注文して、次々問題が生じても、さっぱり対応せず、

引渡し後は、家にも寄り付かない・・・という体験談を身近に聞きますので、

割高であっても、住友という長期的な安心を買ったのだ、と納得できました。


家物語3、玄関アプローチ、家の顔

2013年09月20日 | 家の設計、インテリア
道路から車寄せを通って 奥へ進むと、母屋の玄関アプローチに 道は分かれる。



今朝からの雨で、石が洗われて美しい。

敷石は、夫のたっての要望で 丹波石の乱張り。

最初は 夫の知り合いの職人に、全て任せようと見守りましたが、

美的センスは私が上 と見切り、私の監修の下に 職人と完成しました。

まず、山丹波は茶褐色の大判を、私も石屋に出向いて選別、

アクセント使いで、全体に飛び石状に 仮置きします。

次に、小ぶりな川丹波の色(青、灰、赤褐色)色合いのバランスを考慮して、山丹波の間をつなぎます。

夫の帰りを待って、手直しをして、翌朝 職人が作業します。

最後の2日間は夫も加勢し、パズルのように難解で、根気がいる作業を体験しました。



晴れた日に撮影。

丹波の延壇突き当たり、木曽石で一段上がり、次に玄関たたきを二段上がります。

たたきは、京都の深草石の洗い出し。

御影石などタイル張りにする案もありましたが、黒御影・灰御影にせよ、キツクなる印象があり、ボツにしました。




モルタルに土を混ぜてベージュに着色し、5色の小石を散りばめ、洗い出しをします。

住友林業の駒沢展示場を気に入って、同様に仕上げて下さい、と注文しましたが、

仕上がりは、小石の数が少なくて寂しいので、もう一度やり直してもらいました。


玄関扉前から、背後を振り返ると


この大きな踏み石は、石屋で夫が一目ぼれをして、即決したものです。

目線を左に向けると、



蹲と植栽は、夫が正月休みに、踏ん張り完成しました。








家物語2、外観バランス、屋根の表情

2013年09月19日 | 家の設計、インテリア
さて、外観のテーマは数奇屋「風」に決まりました。


敷地が狭い都市部では、家のアウトラインは、土地の形状から制限されますが、

郊外で敷地が広いと、家の形の自由度が広がり、設計のセンスが問われます。

あの私が作った ぼろいダンボールの模型から、更に1年余りを経て、

最終案は、住友林業側が正式な模型を用意して、私達はGOサインをだしました。

南正面に対して、南北奥行き1 対 東西横幅2 の比率、安定感があり、この前後で納めました。



夕方は、シンプルなシルエットが浮かび上がります。

2階建ては壁材が目立ち、平屋は、屋根の形・素材が目立つものです。

形は「切妻」「寄棟」ではなく「入母屋」を選択。入母屋は見る角度によって、ラインが変化します。

折れ曲がって見え


アール(曲線)を辿って、直線へ

見る場所によって、ラインが屈曲、曲線、直線と変化するのが面白い、と夫は言います。


屋根瓦について、

屋根は様々な素材があり、一長一短あります。

私達が拘ったのは、角(山、尾根)の部分が、すっきりしていること。

奈良の瓦道(ガドウ)と銅板葺きを 最終候補で検討し、

瓦の窯元と施工代理店に案内されて、ガドウのお宅を拝見しに、京都と芦屋を訪ね、

周辺の美邸も参考になりました。

瓦道の屋根

この瓦は、桧皮葺・柿葺きをイメージして作られ、小判であり、角にノシ瓦がいらず、すっきりとしているのが特徴です。

谷は、当初太く通って、締りのなさを感じて、細くなる様、やり直しを指示し、

角も、仕上がりが当初の説明と異なる、と修正を求めました。

施工例が少なく、住林の施工担当も、ミスを見抜けませんで、私が指摘しました・・・

銅板葺きは、住友林業の駒沢公園展示場を、参考に見ましたが、

まず、緑青になるまで、「成金」みたいで、また、昨今の酸性雨で緑青にならず、酸化腐食のリスクもあり、ボツにしました。


軒の深さについて

敷地の制限から、軒をとらない「箱型」の家も、最近は多いですが、



軒の深さは、手前は半間、玄関は1間半、奥の和室窓前は1間です。

和のバランスでは1間が落ち着き、住友林業の二人目の設計担当は強く勧めました。

現代の家は、吹き抜けがあったり、明るいもので、これと相反します。

半間と1間の差は、

半間の庇のリビングは、8月から日光が床に差し込んで来て、暑く感じます。

一間の庇の和室は、9月の彼岸時分から、差し込み始め、夏はとかく涼しいです。


雨樋について

我が家は、瓦の薄さを際立たせるため、雨どいをつけませんでした。

軒天は米松の無垢を採用しました・・・・・


そして、またもや問題発見!

雨樋が無いため、広小舞という部分が地上から丸見えになりますが、

「化粧」広小舞であるべきを、節だらけの杉無垢材(安価)が使用されました。

瓦も軒天の米松も、素直で上品な美しさを醸し出しているのに、

節の点々が、「豹柄」のように下品で、不釣合いでした。

住友林業も真っ青になり、様々な善後策を考え、銅板でキャップして隠しました。

今は、見上げても、「自然」に納まっています。


瓦のやり直しの件も、化粧広小舞の件も、私、第一発見者です。

いずれも、機能としては問題ないのですが、美しくない。

見たとき「違和感」を覚え、建築の分厚い本や、ネットを調べ上げ、

瓦の窯元に相談したり、やっぱりおかしいのだ、と確信してからクレームしました。

私、当時腰痛持ちで、趣味のバレエもあきらめ、完全専業主婦で、時間がたっぷりありました。

だから、家作りに集中できたのだ、と今にして思います。

家の普請に腐心する、

ということですね。

家物語、数奇屋を現代に解釈する

2013年09月18日 | 家の設計、インテリア
造園・植木業の夫婦が追求した「理想の家」を紹介します。

5年前に住友林業と契約、設計に約2年半、施工に1年、東日本大震災による中断もありました。

まず、通りから見える外観



車寄せを入って、アプローチから玄関正面を望む



外観デザインのテーマは、数奇屋。

夫が数奇屋の庭、雑木の庭を好み、日本の里山の風景に馴染む家、を目指しました。


次に、居住快適性の追求。

無垢材から成る日本の建築様式では、夏の備えは良くても、冬の寒さが身に堪えます。

先代が建てた旧宅のお陰で、この地の「光と風」を、知っていました。

自然の恵みを活かすべく、間取り、窓や壁を、配置しました。


外観は、バランスの美を求めて、最後の最後まで悩みぬき、

京都は、哲学の小道周辺のお宅を見て歩き、(泥棒の下見みたいに、怪しい私達)

芦屋と田園調布も見て回り、洋館ばかりで、ちょっと参考になりませんでした・・・

東京の庭園とお茶室を訪ね歩き、

旅行では、数奇屋建築の旅館に泊まり、

ドライブの最中も、車窓から気になる家を見つけると、引き返してトクと拝見し、

モダン・リビングなど、雑誌も買いあさり

ネットで参考にしましたのは、吉田五十八作「東山旧岸邸」でしょうか。


これは、引越後のダンボールで作った模型、ボロボロになって捨てる前に記念写真



一人目の設計士と共に、進めた案の模型です。

既に旧宅を壊し、アパートに引越し、設計図書が上がって見た瞬間に、

私、真っ青になって、血の気が引きました・・・・

そして、模型を急いで作って、自ら検証してみました。

代案も作成してみました。



コンピュータ・グラフィックで、化粧された下図は、もっともらしく見えたのですが、

白黒の設計図書は、虚飾が消え去り、問題を浮き彫りにしていました。

模型を作ることで、疑念が確信に変わり、夫に見せたところ、

夫も全てを理解し、設計費用を捨てる決意をしました。


「捨てる」といっても、既にアパートに引越し、家賃もかさみます。

進退を迷い、無地のダンボールに、マジックで、屋根材や窓を書き加えると、

問題がぼやけ、軽く見過ごせそうな気にもなりましたが、

私は、「オードリー・ヘップバーンなど、骨格が美しい人は、年を経ても美人。

個性派美人は、化粧を工夫して美人に見せても、年をとるにつれて誤魔化せない。」

夫も、このとき決断して良かった、と述べます。


自分達の理想を表現できる建築家と出会うことが、家作りの成功の秘訣ですが、

企業の「永続の安心」を優先に考え、個人の建築家に注文しませんでした。

その結果、企業の枠の中で、意向に合う設計士を探すことになったわけです。

一人目の設計士は、全般的にセンス・提案力が足りず、

二人目は、優れたセンスの持主ですが、彼自身の美意識に捕らわれ、幅がなく、

三人目で、納得できる人物と出会えました。


さて、変更案の模型を南東角から見ると、



南と東側に、屋根が入母屋の形態になっていますが、

三人目の設計者が、東は入母屋を無くす案を提示し、その結果は、冒頭写真をご覧下さい。

右側(東側)の屋根のラインが、すっきりと浮かび上がりました。

この提案を見た瞬間、私と夫は、やっと自分たちの設計と出会えた、と安堵しました。

三人目の彼との打合せは、毎回、互いに「インスパイア」して、

「正・反・合」を繰り返し、有意義で満足いき、話が進みました。


私達は、華美ではなく、簡素な美を求めましたので、この結果に満足しています。

何度も何度も修羅場をくぐりぬけて、ようやく建った我が家は、

夫婦共々、後悔の念はありません。

台風一過の夕焼け

2013年09月17日 | 庭、四季の花
15日、16日の連休、台風のお陰で、自宅で休養に徹し、夏の疲れを癒しました。

夕方、空からのご褒美です







あの大雨は、人力の除染より、はるかに威力をもって、

福島の放射線物質を洗い、海へ押し流してくれているでしょう。

排気ガスまみれの大気、葉に積もった粉塵、すべて洗い流し、今朝は澄み切った青空です。

自然は「全てを奪い、全てを与える」

厳かな気持ちにさせる 圧倒的な 美しい空 でした。


オリンピックが来る

2013年09月15日 | 日記
オリンピック招致が決定した先週の日曜日

造園植木業を営む夫は、朝からニヤニヤ、ずーっと特番に見入っていた。

「これで、7年は安泰」

広告代理店勤務の姉に「おめでとう」と電話すると、

「これで しばらく安泰」


それから一週間、TVで毎日、コメンターが明るい笑顔で語る 経済効果。

東北の復興を語るのと、えらい差を 感じる。

確かに、オリンピックは企業の投資を呼び込めるし、利益となって返ってくる。

関東・関西の建設・土木の人たちは、東北から引き上げ、東京に集中し、

東北の人たちも、東京に出稼ぎ、定住化して、

東北は一部のハブ港(仙台や気仙沼など)は復興できても、

多くの村や町は 人口減、老齢、過疎化で衰退するのでしょう。

オリンピックは、東北の人々の明暗に 拍車をかける結果になるような、気がします。

虫の音

2013年09月12日 | 庭、四季の花
9月に入って、秋らしく過しやすいですね。

最近は、油蝉、ミンミンゼミ に代わって、

ツクツクボウシ、ヒグラシ が染み入るような音色を聞かせてくれます。

暗くなると、鈴虫、コウロギが合唱して、ウシガエルの低音も響きます。


甥っ子の誕生日に、小学館のポケット図鑑をプレゼントしていますが、

大人にも、お勧めですよ。

「昆虫」のほか「水辺の生物」など、テーマ別が優れています。

例えば、「オタマジャクシ」の各種見分け方、

トンボの幼虫「ヤゴ」の各種見分け方、など、

「 分かると おもしろい 」世界が開けますし、

リュックサックのポケットに納まる寸法、軽さで、携帯に便利です。

「これは、「ギンヤンマ」だ 」など 甥っ子と虫鑑定していると、

他の子達も興味を示します。


先日、甥っ子長男・小学校2年生に、「魚」「水辺」「海辺」「星」の4冊を贈ったところ、

次男・保育園年中から、「ボクの誕生日にも4冊ね、ちょうだい 」と催促されてしまった。

うーん、子供へ何かを買い与えるときは、よくよく先を考えないと、えらいことになる・・・・・(汗)

「恐竜と、植物と、鳥と、・・・・」と 次男は 欲望を膨らましている。

叔母の私は、教育的見地から本とDVDのみ、プレゼントする立場をとっている。

今後は、よくよく気をつけよう・・・

草むしり と ぜんざい

2013年09月05日 | 日記
この春、四十肩になって以来、無理すると 痛みがぶり返し、つらかった。

伸び盛る庭の雑草を前に、意を決して、

夫に「(夫の従業員の)職人さんたちに お願いしたい」と願い出た。

夫は、うやむやにして、否定した。


以前より、夫は、職人は金銭収入につながる外での仕事をさせて、

庭や畑の仕事は「金にならない」から、させたくないし、

職人の気が腐る、とも言っていた。


実際は、4月や9月は、公共事業の端境期で、「外仕事」は減る。

そんなとき、職人に庭の植木の手入れもさせる。

「植木」だけでなく「雑草」も庭の一部でしょう。


夫のお母さんがご存命中は、近所に住む妹、従姉と、庭のみならず畑の草むしりを

70歳代までしていた。

彼としては、妻の私に、その役目を期待したいのであろう。

しかし、痛いものは痛い。去年はこなせたけど、今年はできない。


従業員にしてみれば、庭木の剪定も、庭地の除草も、もらえる給料は一緒。

彼らの「気は腐らない」。気が腐るのは、社長の気持ちだけ。

社長の気持ちのために、こちらの肩が犠牲になるのは、つらすぎるし、

思いやりが無く、腹立たしい。


それでも、言っても分からないのが、夫。


以前、冬場に 職人さんたちの お八つに「ぜんざい」を作って出そうとしたら、

夫は「そんなもん、食べたら、腹いっぱいになって、晩酌がまずくなる」と反対した。

50歳の夫の胃袋で、20代30代の若衆の食欲を計らないで欲しいが、

自分が腹いっぱいだと、他人もそうだ、と思い込む人であった。

カチン、ときて、さっさと お抹茶入り玄米茶を添えて「ぜんざい」を出したら、

夫の意に反して大好評であった。

それ以降、「ぜんざい」を差し入れしても、夫は文句を言わない。


そのようなわけで、自分 = 他人 な ワンマン社長は、御し難い。

一歩譲って、火曜日に草むしりをしたら、

左手を庇った右手が、夕食準備のとき、包丁を握れない。

そして左肩が、いまもズキズキ痛む・・・・(涙)・・・・・

もう一日作業分の雑草が、庭に残っているが、

夫に委ねよう。(一戦覚悟で)

初さんま

2013年09月03日 | 美味探求
さんまの季節がやってきましたね。
昨日、今年も さんまを七輪で焼いて食べよう!!!と準備を始めました。


着火材を切らし、夫のタバコ用ライターでは、火力が足りず・・・・
そうだ!仏壇用の30分蝋燭で試すと、、、、成功しました!
蝋燭を5本 底に寝かし、中敷皿の上に、炭を立てたところ、上手に火がついた。
着火材より、蝋燭のほうが便利で使いやすいし、災害時にも役立ちますので、いいです。
鉄板も十分熱せられ、秋刀魚がカリッツとおいしく焼けました。

夫に「酢橘かカボスか、どっちでもいいから、もいできて!」
大根を下ろしていると、夫「どっちも、未だなっていないよ」、がっかりだ・・・
自家製の きゅうりと人参の糠漬けも、おいしく漬かっている。


お昼寝の後、2時ごろ北の窓を見ると、北の空は暗灰色の雲が低いところまで垂れ、
ヒンヤリとした風は強いし、ゴロゴロゴロと強烈な音、夕立か?
と備えていたら、何事も無く終わった。
テレビで越谷の竜巻を放映している。
あの北の 分厚い壁みたいな雲は スーパーセルなるものだったのですね・・・・


きっと、これからも頻繁に 起こるようになるのでしょうね・・・
こわいです

釣りに 嵌るかも

2013年09月01日 | 釣り吉さん
この間の日曜に、釣りの先生から 初心者入門をレクチャーしていただいた。

先生は、スカイツリーのそばで開業する歯医者さん。

生徒は、私と夫に、姉と甥っ子二人。

場所は、スカイツリーのそばを流れる川を、東へ行ったところ。

この界隈は、川に海の潮が流れ込み、様々な魚がいるそうです。


椅子やベンチにシートを敷いて、冷えた飲み物におやつ、ピクニックですね。

はぜが次々釣れました。

餌のつけ方で、食い逃げされたり、しっかりと引っ張ってくれたり、

西田敏行さんの「釣りバカ」映画は 笑って見ていましたが、

釣りキチの気持ちは分かりませんでした。


これは、やってみると「ハマル」類のものですね。

夫も興味を示し、先生は夫に「あじ」が沢山釣れるよ、と海釣りを誘っていました。

先生は私に「今度、旦那さん貸して、あじ沢山持って帰るから」

私は「あじ」が大好物。「裁き方も、主人に教えてください」とお願いしました。


お昼は 向島の「流れる蕎麦屋」で、

蕎麦が船に乗って流れて給仕されるのを、子供達は夢中で眺め楽しみました。