智の庭

庭の草木に季節の移ろいを感じる、日常を描きたい。

掃除三昧

2013年11月26日 | 家の設計、インテリア
先の連休、夫と私、家のお掃除と 庭のお手入れに 明け暮れました。

お正月に向けての大掃除・・・・ではなく、

住林の営業担当から連絡が入り、

住林の住宅実例集「自家自賛」、次回「和風住宅」がテーマで、

本社に応募したい、とのこと。つきましては、写真撮影に伺いたく・・・・

急遽、のんびり休養~~から、朝から晩まで、働き尽くし。


本社の審査を通れば掲載されて、全国の住林マンがこの実例集を手に持って、

お客様に紹介することになります。

営業と設計担当も写真に載り、本人達も鼻が高いことかと察します。


私達夫婦にとっては、あんなに苦労して建てたことへの「表彰状」のようなもの。

私のためより、夫の労をねぎらうために、掲載されたらいいな・・・と思います。

と申しますのも、夫は自営業者。

仕事でもプライベートでも、(私以外の)誰が褒めてくれるわけでもありません。


日曜日の午後、営業マンが見えて、彼自身も写真を撮りましたが、

私達夫婦が既に撮影して、編集したものも差し上げました。

2年前、住林の幕張イベントで、拙宅が紹介された折、プロのカメラマンが来ましたが、

なぜ、この角度、このアングルなの!? 夫婦でガッカリしました。

女優さんが「右斜めはダメ、左斜めにして!」と要求する気持ち、よく分かります。

美人に見える角度と、そうでない角度、ものごとにはあります。

「プロ」もピンキリ。

限られた時間の中で、美を見抜いて上手に撮影するのは、難しいようです。

ましてや、今回は営業マンが撮影するのですから、絵的に期待できません。


そこで、夫が写真に影響する範囲の庭木の手入れをして、

私が、様々な角度、高度、時間帯で撮影し、夫とダメだしをして、また撮影。

全く、物好きで、凝り性な夫婦です。


営業マンは、「本社が選ぶので、選ばれなかったら申し訳ない」と伏線を張り、

夫も、「今時、和風は流行らないから」と予め自己防衛を敷いて、

私一人、「なあに、絶対選ばれますよ。」と自信満々にミエを張ります。

「私、子供の頃、父の勤務する会社の社内報の巻頭に、家族写真が載りました。

次、私が勤務した石油会社でも、私は社内報に載りましたし、

30代で転職した造園会社では、業界団体の雑誌に載りました。

ですから、今回も、きっと載るはずです。」

願望ですが、どこまでも、強気の姿勢です。


家族ではない、第三者、世間に認められる、ということは、

とても嬉しいことですし、自信につながり、誇りにもなります。

夫の人生には、その機会が少ない、いや、無いように見受けるのです。

ですから、今回、夫が表彰される、

いやいや、大げさでした、拙宅が広報誌に掲載されると、いいな・・・

と思う次第です。



家物語16、住みはじめて

2013年10月09日 | 家の設計、インテリア
2011年9月末に引っ越して、2度目の秋を迎えました。



衣類に例えると、

建売戸建て・マンションは「既製服」で、住宅メーカーは「イージー・オーダー」、

建築家は「オートクチュール」完全注文服。

既製服は、多くの人の「最大公約数」を追求して、完成されており、

納得してから購入しますので、後悔は少ないと思います。


住宅メーカーは「設計打合せ」「広告宣伝」コストが、価格に含まれ割高ですが、

モデルルームなどで実物を検証でき、実感できる点は有利です。

設計の時間をじっくりかけて、過程を楽しまないと、損だと思います。

「こだわらない」「わからない客だ」と業者に見切られると、

「ランク下の担当、大工」による「やっつけ仕事」に、なり得ます。



私達夫婦は、建築は初心者、素人でした。

最初は「50にして家を建てる」夫の人生の目標の実現にむけて、

私は、夫のイメージを絵に描いて、夫の代弁者になる気持ちで始めました。

そのうち、夫と私の美意識の「最大公約数」を探し求め、

後半、夫に「オマエに喜んでもらうために、家を建て替えることにしたんだ」と言われ、

「えっ!あきちゃん、自分のためじゃなかったの? 私のためだったの?」

と思わず確認してしまいましたが、心底驚き、感動しました。



夫が「あせらない、納得するまで頷かない」姿勢を貫くことで、

私が次々と発見してしまう「問題」を受け止め、支えられ、

結果として、営業・設計・施工の一人一人の、知恵を引き出すことができました。

夫は「家を3件 建てた気分だ・・・」と言うくらい、山あり谷ありでしたが、

夜毎、家の中を散歩しては、「自画自賛」する夫の姿に、

苦労は報われた、と実感し、悔いはありません。


家作りは、私達夫婦にとっては、

自分たちが、何に美を感じ、何に価値を見出す人間か、

「己を、互いを 知る」作業でした。

貴重な体験をさせてくれました夫に感謝です。


家物語15、機能、快適性

2013年10月08日 | 家の設計、インテリア
技術革新のお陰で、今の家は快適です。

どこまで、快適さを追求するか?



快適さと格好良さの両立は、難いと思います。


窓にしても、

窓を大きくして、天井を高くすると、断熱性は損なわれます。

吹き抜け天井のモデルハウスは、一ヶ月の電気代が10万円超えるそうです。


私がひどい寒がりで、冬の光熱費が夏の3倍ですが、

暑がりの夫は、薄手長袖シャツ一枚で過し、大の字で寝ています。

灯油をやめて、電気だけで満足を得ようとすると、電気代は5万円は超えるでしょう。


窓を小さくして、断熱性を高くすると、快適さは上がるわけですが、

多くの住宅メーカーは、ペア(二層)ガラス・樹脂サッシを標準仕様としていますが、

東北や北海道では、2重ガラスが標準のようです。

スウェーデン・ハウスの三層ガラス・木サッシは、外気温度を遮断していますが、

費用も高く、モデル・ハウスの窓も、大きくはありません。


我が家も、北側にあるダイニングの窓や、トイレの窓を、

デザイン優先で、大きくしたために、冬場に冷気が窓から降りてくるのを感じます。

トイレは、お金を貯めて「内窓」をつけようか・・・検討中です。


次に、ブラインド・シャッター。

シャッターは外見が格好悪いので、軒天に隠そうとしましたが、

メンテナンスを考えて、あきらめました。

しかし、予想以上に、快適さに貢献して、冷房代は相当抑えられています。

冬場も風を遮断して、窓ガラスの温度低下を防いでくれます。

金額的には、ブラインド・シャッターと「三層ガラス」は、同じ位でしょうが、

三層ガラス窓は、「閉めて、全館空調」が前提。自然の風を入れる発想はありません。


最後に、「塗り壁」

湿度を調整する効果があり、

「お宅は塗り壁のお陰で、いつもサラリと快適ですね」と住林さんに言われます。

音の響きも柔らかいです。

しかしながら、臭いも吸着しますので、秋刀魚をグリルで焼くのを止めましたが・・・


素材は、珪藻土は発がん物質の恐れを指摘され、鹿児島の火山灰からできた天然素材。

塗り方も色々ありまして、プレーンな「梨肌」を寝室で採用し、

LDKは「フォレスト」仕上げ。



キッチン・カウンターの小壁で、左官職人が4パターン作成し、私と夫で確認します。

夫は「うーん」と唸りっ放し・・・

私は、「霧か、霞のように」とか

「ドナウのさざなみ、川面に光が反射する様に」とか伝えるものの、

なんかしっくりこなくて、「GO」が出せません。

原因が、規則正し過ぎる点にある、と分析し、そうだ!!



茶筒を左官職人に見せて、「桜と樺の木の幹肌のように、不規則に荒らしてください」

今度はイメージが伝わり、冒頭の壁のようになりました。

住林の施工担当も、家具屋も「別のお宅でも勧める」と写真を撮っていきました。

写真では質感や凸凹感、陰影の美しさは、伝わりません・・・

夫は大変気に入って、「絵を掛けるな」と禁じられてしまいました・・・

夫も職人ですから、「職人芸」が光る手仕事によるものが、好きですね。


話はそれましたが、

床材も、床暖対応は木材の仕上げ方が変わり、普通仕様より色が褪せてしまいます。

というわけで、機能・快適性と美の両立は、難しい、と実感しました。

家物語14、収納、ダニよ、さらば~

2013年10月07日 | 家の設計、インテリア
旧宅の荷物を大処分した折、古い荷物に、ダニ・ノミ・南京虫もついていて、

夫婦共、全身に赤い噛跡と強烈なかゆみに襲われ、バルサン13個で退治した苦い経験から、

新居で、将来同じ思いをしないよう、

何を どこに どのように収納するか、どうメンテするか、

スケッチ帳に具体的に描いて、検討しました。


老後を見据えて、高所・屋根裏収納など、出入れの不便な収納を避けました。

納戸にも窓を設け、換気に配慮しました。

湿気の無い晴れた日、私は全ての収納扉を開放して、空気を入れ替えます

ぎっしり詰まると、風が入らず湿気がこもり、ダニの巣窟になる悪循環が始まります。


そこで、まず押入れ・クローゼットの寸法を考えました。

「半間」は、座布団の両サイドに適度な隙間ができて、風通しよく、適切な幅です。



伝統的な「一間の押入れ」は、布団を収納しにくい、と感じたこと無いですか?


「一間」は昔の間尺で、今の布団は昔より大きいために、納まりが悪いのです。

今の布団を、上記のように、両サイド程よく隙間をあけて、収納するには、

120cm幅の押入れをお勧めします。



次に、日常の細々したものを、どのように整理するか?

夫は整理整頓が、大の苦手で、片付けは全て、私の担当です。



リビングという夫婦共有の場に、共有の細々したものを、属性ごとに棚を分け、

薬の棚、文房具の棚、旅行の本の棚、など大きく分類し、

これなら夫も迷わず探せて、元の場所に「適当に」戻せます。


この棚、リビングから見ると


裏へ回ると、


奥行き120cmの空間を、廊下側90cmと、リビング側30cmに分けました。

奥行きが深くても、奥の荷物は、取り出しにくいものです。

廊下側には、コート、オーバーなど外出着を収納して、便利です。



さて、家が完成し、アパートから戻るときも、バルサンを焚き、

布団と座布団を全て、クリーニングで殺菌処理もして、入居しました。

ダニよ~~~さらば~~~~

家物語13、寝室、床材を探して・・・涙

2013年10月06日 | 家の設計、インテリア
旧宅では和室に布団を敷いていましたが、新居を機にベッドにしました。


ベッドは、下に空間を開けて、


写真のように、ルンバでも掃除できますが、掃除機も入ります。

夏は、湿気が篭らず快適で、 冬は、床の冷気が伝わらず暖かく、一石三鳥です。

また、ベッド・ヘッド(枕板)とベッド(マットレス台)を一体にせず、

ベッドを二つ隣接したり、離したりできるようにしました。


市販の家具では、ヘッドと台は一体が一般的です。

木製では、幕板が床まであり、下に隙間がない、寒さ対応のタイプか、

スチール製では、下に隙間がある、暑さ対応スタイルに 分かれるようです。

私は、両者の折衷案で、ケヤキで家具職人に作成を依頼しました。



また、照明スイッチは、

寝たままで、手を伸ばせば届く位置に、調整しました。

読書灯は、光量を調節できるようにして、

全体照明は、ベッドで仰向けに時、光源が目に入らない位置にしました。

住林側の家具職人でなく、当方の職人なので、

打ち合わせや現場あわせの段取り、全て当方で行い、調整が大変でした。



さて、またもやトラブル発生・・・・

LDKと寝室は、サクラ(正式にはカバザクラ)と早々に決めていました。

ケヤキとの相性もいいのですが、なによりも、

夫が、私の実家のサクラの床を見て、「美しい」と惚れ込んだからです。


実家は、リフォームしたとき、設計が施工も担当し、彼は卸の倉庫で材料検査をして、

チークの家具と合う、赤味の美しい床材を選出してきました。

年月が経ち、琥珀色のコニャックのような深い光沢を増して、本当に美しいのです。


それで、住林に同様に探してもらいましたが、

床暖房仕様では、色が飛んで、なかなか見つかりませんでした。

ようやく、四国の業者で、ほぼ納得の床材が見つかったのですが、

色にバラつきがあり、選別したい旨伝えましたが、住林の答えは「NO」でした。


現場に床材が大量に運ばれ、淡い黄色系から暗い赤褐色まで、色幅がありました。

「お任せ」では、それまでのトラブルから、美しいものは手に入らない、と予想し

私は、住林や大工への遠慮は捨て、一緒に取り組みました。


まず、傷物80本をはじかせ、

残りを、淡黄色・中間色・暗褐色・難有「シマシマ」に、大工と一緒に分別しました。

各色の分量から、「中間色+暗赤褐色」系をあきらめ、「淡黄色+中間色」でLDKを敷くことに決めました。

日に焼ける南側に、淡黄色系を配置。 目立つリビング中央付近に、美しい中間色。

日に焼けず色が変わりにくい、北側ダイニング付近に、比較的濃い色、

大工と一緒に並べ、納得してGOサインを出しました。


次、寝室は「残り物」で苦慮し、傷物80本の代替品を手配するよう指示しました。

そして、送られてきた材の梱包を解いて・・・・絶句!!!

私達が望んだ、赤味の色が揃った、美しい材料だったのです!

どうして、今回は粒ぞろいなのか、どうして最初からそうできないのか?

LDKは、私には妥協で飲み込んだもので、納得できず、

住林を飛ばして、卸先に直接連絡して、担当を呼び出すと、責任者が対応しました。


分かったことは、

「購入者が、四国に来て、倉庫で開封して、1ロット(10本)単位での選別は可。」

つまり、「卸側」が選別することは拒否だが、「購入者」が自分で選別するのはOK。

また、購入単位は1ロットで、中の2,3本だけ選別しての購入はできない。

つまり、多めに購入すればいいことです。

「80本については、お客さんがコダワリの人、と聞いて、開封して見てから送った。

地元の大工は、こだわりのお客さんを連れてきて、選別しているよ。

でも、埼玉じゃ遠くて無理だよね。」

「とんでもない!材検のため、夫と四国に旅行しましたよ。

瓦を確認するため、京都と芦屋まで一泊2日で旅行したくらいですから。

オタクで材検した後、讃岐うどんを食べて、温泉楽しんで、帰ればいいことです。」


予算を伝え、赤味の美しさについて言及すると、

「中国で生産・加工。色は、淡い色から赤褐色まで5段階で選別され、半年前に注文を受ければ、色を揃えることもできる」

絶句、と共に、涙がでた・・・3年前から、住林に探させていた・・時間はあったよ。

因みに、赤味の方が、材として珍重され、価値が高いのです。

若木は淡黄色、年月を経て、赤い色素を持つ木だけが、赤味を発するのです。


難有り「シマシマ」つまり、一本180cmの中に、淡黄色・濃赤色・淡黄色・濃赤色と

地図の線路みたいに、色のコントラストが極端なものについて、疑問を発すると、

「一本の材を、2から5本寄せ集めて1本に成形するのは、日本独特。

欧米や中国では、長いままで使う。」


理由は、室内空間の狭さや、木が動くことの防止が考えられるそうですが、

時間さえあれば、一本物で色を揃えることが出来たわけです。

ショック・・・・


その頃、玄関・化粧柱への不始末、軒天・点々杉など、特注物件で問題続出で、

住林の設計・施工・営業の責任者を呼んで、

「どういうことか!!!」と語気強く、怒りをアラワにして、追求しました。

施工担当の男性に至っては、「ボクは何度も交渉したけど、卸はそう言わなかった」

「ボクは なさけない」と泣き出す始末・・・・

泣きたいのは、こっちです。 


まあ・・・・

卸問屋との会話や、住林との交渉力は、20代の法務の経験で培われたもの、

私の能力が一枚上で、他者に同じレベルを期待できない、ということでしょうか・・・

夫が「化粧柱は選び直し、軒天は銅板でカバーしたし、床は飲み込んでやれ」

床材のやり直しは、接着済みの床暖房も交換になり、住林の損害は大きいものでした。

私、夫に慰められ、我慢しました。


寝室の床は、代替品80本加わったことで、「中間色+赤褐色」の色構成になり、

LDKより色が深く、シックでゴージャスな感じになりました。

写真では、その差は、伝わりにくいのが残念です。

家物語12、厠、便所、トイレ、お化粧直し?

2013年10月05日 | 家の設計、インテリア
トイレを、どう受け止めるか?

「たかが便所」と用をたすだけの厠と見るか、

用のついでに口紅を直す「お化粧室」と捉えるか、これは男女の差ですね・・・

私は、女性の来客者を意識して、快適な空間作りを心がけました。


位置関係では、

旧宅が寝室からトイレまで、余りにも遠く、夜中目が覚めてしまい、

寝室にトイレを近接させました。

これで、風呂上りに、人目に触れずに、寝室で涼むことができます。


内装では、まずは、窓のお話。

「中を覗かれない様に、上下可動で、網戸は全面で」と要望を伝え、

「上下」に引違いの曇り窓で、普段は上を開放していますが、

換気の時、中央に寄せても、網戸が全面張りなので、蚊が入って来ません。

普通、このタイプは上もしくは下の戸が固定され、可動側の片方のみ網戸がつきます。



照明は、天井と足元灯。

真夜中にトイレに起きたとき、「まぶしくて目が覚める」ことがないように、

足元をぼんやり照らします。

これは、住林の方々にも、来客の皆さんにも、感心されました。

ホテルのベッドの「フットライト」を参考に、「あればいいな~」と。



「防音も気になる」と住林に伝えると「断熱材を壁に入れると、簡易防音になる」

実際、ジョロジョロ音が一切漏れませんので、安心です。



バリアフリーについても、万一の車椅子に備え、

全室の扉を引違戸の、ワイド80cmタイプ(標準は70cm)。

更に、トイレと洗面所の間の壁を、取り払える構造にしておきました。

また、気分が悪いときや、腰を痛めたときの経験から、

便器の右側に、手すりつきペーパーホルダー、左側に手水鉢台を配置し、

両側にもたれたり、両手で体重を支えられるようにしました。



壁紙は、他の部屋が塗り壁のため、

トイレと洗面所の2箇所しか壁紙を使用せず、気合を入れて探しました。

国産、輸入品、ホームページでサンプル写真を見続け、輸入代理店に足を運び

「花鳥風月柄で、チーク製の手水鉢台と合うもの」をテーマに

スウェーデン製の壁紙を選びました。

偶然ですが、

中国の蘇州で買いました、絹のテッシュホルダーと、柄が似通っています。

いわゆる「シノワズリ」「中国趣味」「東洋趣味」と申しましょうか。

食器で、日本の「柿右衛門」有田焼の紋様が、ドイツ・マイセン食器で真似されて、

逆に輸入されるのと同様で、

東洋の花鳥風月柄が、北欧の人の目を通して、壁紙という素材で帰ってきたのです。

カーテンも、似たような状況で、日本には優れた伝統柄・デザインがあるのに、

洋間という現代空間に活かしきれていないな、と残念に思いました。


話は我が家のトイレにもどり、

このような大柄で大胆な柄の場合、壁の4面全てに使用するより、

1面か2面に、アクセント使いするほうが、スッキリしていいです。


最後に、機能面ですが、

TOTOにしないで、INAXにして、思いっきり後悔しています。

「大」を流すとき、便器を「汚しながら」去っていくのです。

こんな便器があるのか、驚き呆れ、不愉快極まりない!です。


お風呂も、

「蓋」にご注目下さい。

単純な形、左右同じ、表裏同じ「でない」ため、

「右専用の蓋」を「裏表間違えなく」置かないと、隙間から水蒸気が漏れ出ます。

風呂場では、手も濡れており、蓋を「正しい向き」に裏返すとき、

蓋が滑って自分に当たり、夫も、私も、痛い目に合いました。

床も「TOTOのカラリ床と同等機能」と住林は言いましたが、劣っていました。

実家がこれより7年も前にTOTOにリフォームしましたが、

床はカラリとして水捌けよく、蓋も左右・上下・表裏区別無く、無意識に置けました。


利用者に「正しい向きに置けよ」と要求する

INAXの企業風土が、透けて見えます。

10年後、TOTOにリフォームしたいです!!!(怒り)

家物語11、キッチン、ゴルゴ13!?

2013年10月04日 | 家の設計、インテリア
ゴルゴ13は、「オレの後ろに立つな」と、背後に人が来ることを本能的に恐れます。


私も、そうでして、

旧宅のダイニング・キッチンは、北の窓に向かって調理していると、

換気扇の音、鍋の音で、背後で夫が入室しても、音が掻き消され、

「ただいま」と言われた暁には、心臓が縮み上がりそうでした。

また、強盗に出入口に立たれると、逃げ場を失い、

北東角で暗い位置なのに、窓も全て曇りガラスで、心理的な閉塞感がありました。

それで新しいキッチンは、壁を背後に立ち、人の動きが目線に入る位置にしました。


では、来客者の視線で、

右手前がキッチンですが、リビングやダイニング、窓に視線が注がれて、

台所が直ぐそばにあることを、最初に気づく方は、少ないです。

「おトイレ」から戻る道すがら、

キッチンのゴチャゴチャは、カウンターに隠れて見えません。

最近流行している、丸見えフラットタイプは、避けました。

また、キッチン台と食卓が連続しているタイプも、

夫の「台所でメシを食っているようで、落ち着かない」で却下。

私も、食べるときは、台所作業を忘れたいので、キッチンに背を向けて座ります。

LDKは、一空間で区切るものがなく、広く「見えます」。


次は動線の話。

主婦が、一番長い時間、作業する場所で、重要ですね。


当初、玄関に廊下は無く、奥は台所で、食堂とは半ば独立した位置にしていました。。


素案は、LDから見たキッチン、および鳥瞰図です。

独立していると、音と臭いの拡散防止や、ゴタゴタを他人に見られない点で優れています。


2列型の、様々な位置と動線のパターンを検討し、

更に、アイランド、L型のパターンを検討し、

各社のショールームも足しげく通い、

クリナップ「オールステンレス、銅色・鏡面仕上げ」で、ハードかつ超モダンに・・・

スタイルは、やっぱりオーソドックスに1列型かな・・・

と決めかけた頃、

夫の一言、「玄関に廊下を設けて、窓が、奥行き感が、欲しい!」

で、全て練り直し・・・・

 
廊下という「ゆとり」の分だけ、台所はダイニングに進出し、向きを変えました。

壁の奥側に、換気扇を入れて煙拡散防止、冷蔵庫の中身を他者に見られないですね。

キッチンがダイニングに進出したことで、家具との相性問題が生じ、

クリナップの銅から、ヤマハの白へ「壁」と同化させ、家具の引立役に徹してもらう。

各社とも、上から下まで引違戸で、1枚扉、シンプルで格好良いのがありますが、

物を取出すのに、引違戸→引出し と2段階動作が必要になり、効率が悪いので、

写真のタイプを選び、1段階動作で目的物に到達できます。

なお、戸の左側は朝食の器、右側は夕食の器、と分けて収納しますと、戸を左右に動かさずに済みます。


ヤマハの優れた点は、引違戸の下に、フロント・ローディングの棚を引き出せること。


食器の仮置き場に便利です。

台所の奥の扉を開けると、玄関廊下を挟んで、向こうは納戸。

納戸は北東角に位置し、冬は一番冷える部屋で、食料品倉庫になります。

作業動線が1列で、無駄がありません。


キッチンの配列で、

手前に食洗機、中央に流し、作業台、ガスレンジという配列にしました。

食洗機の上も作業台で、流しを挟んで左右が作業台ですが、

手前が「お茶だしエリア」、奥が「包丁まな板エリア」と区分して、清潔で使い勝手がいいです。

食洗機を、流しとレンジの間に収め、作業台を一箇所に集約し広くする配列が主流ですが、

左右に区分すると、右は汚れ物、左は清潔ものなど区分できて便利で、お勧めです。

家物語10、 ダイニング、家具との相性

2013年10月03日 | 家の設計、インテリア
前回リビングの窓を 悩んだ話をしましたが、

呼応して、北側のダイニングの窓も・・・・

枠一杯のバージョン


小壁を設けるバージョン、窓2つ

窓1つ


食堂は台所との位置関係に、食器棚を「見せる」か「隠すか」、家具との相性の問題も加わります。

上記3案は、キッチン全体が右壁奥に引っ込んで、独立性が高い案でしたが、

結局、ガスレンジ部分を壁奥に引っ込め、シンク・作業台はダイニングに隣接させました。


憧れのピクチャー・ウインドウ(中央部分を広く分割した窓)を採用しましたが、

3分割で、風が両サイドから取り入れられる点はいいのですが、

窓を開くと、縦桟が煩い・・・3「等」分割にすべきだった、と後悔しました。

4分割は閉めているときに縦桟が多く、2分割は風が左右に偏るので、避けました。


なお、防犯についても考慮しました。

旧宅は、床まである「掃き出し窓」が人目につかない北側にありましたが、

泥棒がスッと入ってこられるのを恐れて、施錠し障子も締め切って、暗かったです。

それで、今回北側の窓は、ダイニングは腰高窓、廊下は嵌め殺し、他は縦格子付きにしました。

おかげで、在宅時でも安心して窓を開けていられます。


次、家具について触れます。



窓と小壁の寸法を決めるとき、隣接する家具の形、寸法も同時に決めました。


新居では、ケヤキで家具を一新することに決まっていましたが、

何色で、どんな形で、大きさ、全て、こちらで決めなくてはなりません。

住友林業の設計担当に「床材は?」と聞かれ、答えを探しに、家具屋に走りました。


インテリアは、間近かに見て手に触り、質感が直に伝わり、

床や壁は、家具を取り巻く「環境」「背景」「引き立て役」になります。


家具屋は住宅メーカーの特注家具も請負い、駒沢公園と浜田山の住宅展示場を参考にするよう助言されました。

なぜなら各メーカーは、山の手に社命を掛け競い、客は目を肥やすのにいいのです。


三井ホームのインテリアは、家具と家が調和していました。

三井ホームは、建築士とインテリア・コーディネーターを最初に顧客が選び、

打合せ時に両者が協力するそうです。


他社は、家具が「後付け」「帳尻あわせ」感が否めませんでした。

一般的に住宅メーカーは、

まず床を決め、扉材を決め、家が完成してから、家具屋のショールームに来ますが、

これでは家具の選択肢が限られ、気に入った家具と相性が合わない問題が生じます。

また、建築士は男性が多く、インテリア・コーディネーターは女性が多いです。

男社会の住友の企業色からか、コストの問題からか、住林は家が完成する直前に、

女性のコーディネーターが、壁紙・カーテン・家具の紹介をする程度です。

それでは、ベストマッチは望めず、ベターな選択にならざるを得ません。


庭を設計している身としては、全体の構成と、細部である木や石は、同時に決めます。

「こういう庭を作りたい」と、似合う木と石を探す手法と、

「この木」「この石」が最も美しくみえる庭を模索する手法、両方あります。

有名な建築家が「美は細部に宿る」と言ったそうですが、

細部を疎かにすると、全体の調和を壊します。

オーケストラでは、例えトライアングルのような小さな音色も、

全体に影響することと、一緒だと思います。

家物語9、 窓、カーテンとの相性

2013年10月02日 | 家の設計、インテリア
外観的には、(家物語1と2をご参照ください)

人間のパーツで例えると、玄関は顔で 、

窓は、ネックレス、スカーフなど、アクセサリーだと思います。


分かりやすく、建築雑誌から写真を引用しますと、


このように建造物は、縦・横・斜めの「ライン」から構成されますが、

水平線を強調すれば、重心が下がり、広がりや安定感を醸し出しますが、

上へ伸びる縦を強調すれば、水平を分断し、高さや軽快感を感じさせます。

「斜め使い」は按配次第では、うるさく野暮になり、気をつけるべきです。


窓が垂直線で、屋根の軒先の水平線を刻み、「広がり感」を分断しますので、

家の正面側・南側の窓は全て、同じ幅で統一感を出しました。

北側は人目につかず、ダイニング・廊下・納戸と目的も多様で、バラバラでよしとしました。


内観的に、次のように悩みました・・・・

悩むと、ノートに描き始めるわけですが

これは、天井と屋根の軒天を、窓ガラス越しに連続させ広がりをもたせる案です。

写真は「京都迎賓館」。構造上、シャッターと両立できず、ボツ。

窓を壁や天井の枠一杯に切り取ります。

雑誌を参考にしますと

実際の生活上は、カーテンかブラインドを使用するわけで、

次の3枚は、米国ブラインド・メーカー「ハンター・ダグラス」のカタログから



枠一杯の「小壁の無い」窓は、枠内に納めるブラインドが似合います。

カッコいいのですが、なんだか「オフィス」みたいで、冷たく感じるような・・・

それで、

小壁を窓の両サイドに採って、カーテンを採用し

となりました。


「写真立て」と窓、問題は似ています。

左から、木枠、銀枠、装飾枠、プラスチック。

あなたは、どの枠が好きですか?

「プラ」は枠一杯の窓に似て、シンプルでクール。

枠がある場合、材質が木・金属・クリスタルなどで、質感が変わります。

私は、どれも好きで、甲乙つけ難く、それぞれに合わせて、写真を入れています。


そのようなわけで、窓もいろいろな美しさがあり、取捨選択を迫られます。

写真立ては、気分で変えられますが、窓はそうはいきませんので、大変です。

家物語8、照明、心を照らすもの

2013年10月01日 | 家の設計、インテリア
夜の六本木を歩いていると、ふと素敵な窓辺の灯りに、足を止めました。

確か、スウェーデン大使・公邸だったと思います。

北欧は夜が長いので、照明で灯りを楽しむ文化が育まれたそうです。

それで、私も影響を受けまして・・・・

リビングを白熱灯で照らすと



蛍光灯で照らすと



向きを変えて、白熱灯



蛍光灯は、天井に当てる「間接照明」で、光源は直接目に入らない工夫をしている



白昼の自然光



照明器具は、壁や窓際などに配置することで、反射して部屋全体に光が回ります。

白熱灯+蛍光灯 は眩し過ぎて、普段はしません。

白熱灯は陰影を楽しみ、リラックスできますが、

蛍光灯は影が消えて、仕事するには良いですが、目が緊張します。



スタンドは壁際に置くことで、光のラインが壁に映り、シルエットが生まれます。

照明器具をシャンデリア等で、部屋のアクセントにする方法もありますが、

あえて、器具は万事控えめにして、「対象」を「いかに照らすか?」にこだわりました。


気がかりは、蛍光灯の下で育った夫が、白熱灯に慣れるか?

蛍光灯を点燈した時、夫いわく「まぶしいな」。

普段は、天井の4つの白熱灯だけで十分なようです。

夕食後は、寝る前の心と体のリラックス・タイムですから、

ほんのり明るい・・・が調度いいようです。 

家物語7、LDK、いかに広く見せるか?

2013年09月30日 | 家の設計、インテリア
住友林業のプロのカメラマンが、2年前に、広角レンズで撮影。

住林の住宅フェアで、拙宅は「埼玉県S邸」で紹介され、

家具屋もプロが家具を撮影し、自社作品として紹介しています。


広さは有限で、物を置き始めると、狭くなります。

ソファーや椅子は、足に幕板のない、座面下が空いているタイプで、

ダイニング窓下・ボードも、浮かせて、床との間に空間を設けています。

こうすると、視界の中で床が連続し、広く見えます。


上記写真は、玄関広間からリビングの扉を開けたところ。

居間と食堂と台所が一体のLDKですが、工夫した点は、キッチンを目立たせない。

部屋に入る来客者は、ソファーやTV、テーブルに目が行って、

右手前のキッチンの存在に、まず気がつきません。


現在、私の普通のカメラで、リビング奥からダイニングに向けて、

ダイニングテーブル、白いカウンター、壁の奥に換気扇など収め、

キッチンのゴタゴタ、凸凹を目立たせないようにしました。


木造軸組み工法では、「平」ではなく「勾配」天井の場合、

3*4間=12坪=24畳が、柱が無くて最大の広さ と設計に指摘されました。

それで、天井を支える構造を入れてL字型の空間にして、広くしました。

結果オーライで、正方形や長方形より、場面変化があって良かったです。

天井も2.6m高から3.6m高まで上がっていますが、

勾配が緩くても印象が薄くなり、急だとキツイ印象になり、これが程好いです。


材は無垢で、床は桜、天井と扉は米松、家具はケヤキです。

全体が協調して、ある物が強く主張することがないよう、調和に気を配りました。

「屋久杉、イタリア●●産大理石」など、豪邸では随所に自慢の品物がありますが、

私達の望むところではありません。

オーケストラのハーモニーのように、全体の調和を求めました。

ですから、「何か」に視線が止まらず、リラックスできます。

家物語 番外編 インテリアの想い出

2013年09月29日 | 家の設計、インテリア
写真は以下全て、都立行船公園のお茶室です。参考に何度か訪れました。



写真とは関係なく・・・想い出話。


埼玉県から、都内のマンションに引っ越したのは、小学校2年の夏。

父が、知合いのインテリア・コーディネーターに頼んで、内装は完了していました。

衝撃でした・・・


子供部屋のカーテンは、フランス製ですが、黄色地に 赤色の西洋梨のプリント柄。

原色の黄と赤のコントラストがきつく、目がチカチカ、落ち着きません。

リビングは、ペルーのアンデス製で、素朴な茶褐色地は良いのですが、

80cmはある「蛾」と中小の「蝶」の大胆不敵さに、気味悪く居心地悪いこと・・・

ダイニングは、オレンジの純毛カーテンに、グリーンの純毛絨毯。

三十代の両親の寝室は、隠居部屋のように老け込んだ、灰色のカーテン。


プロに頼んだこと、家族一同、後悔しました。

すべて上質で高価なものでしたが、調和がありません。

強烈で、今も忘れません。


それでも、私と父が日本橋高島屋で選んだ デンマーク製チーク材無垢の食卓と椅子、

食卓は楕円形で、オレンジ色かかった狐色の木目が美しく、

椅子は、背もたれの木の曲線が格好良く、洗練され合理的で、母も姉も気に入りました。




高校2年の春、同じ地区内で、4LDKのマンションに引っ越しました。

前回の反省下、カーテンは 家族各々が決めることにして、

照明は、ヤマギワ照明の 照明コーディネーターを呼びました。

旧宅が蛍光灯で、食事の魚や肉が、おいしく見えないことを両親が気にしたからです。

初めて白熱灯で照らされた日、お肉の赤、野菜の緑が、鮮やかに映えました。

・・・驚き、感動し、照明の重要さを学びました。


当時、自宅から、東京タワーと富士山が見渡せたのですが、

東京タワーが、北欧で修行した照明デザイナー、石井幹子さんによって、

美しく「ライトアップ」され、劇的に変化し、印象深かったです。

石井幹子さんは、新しい歌舞伎座のライトアップも、手がけていらっしゃいます。


家具は、先のチーク材のテーブルに調和するものを、両親は買い足しました。

ソファーは、これもまた私が見つけた、真紅のビロード張りに決まりました。

そのような訳で、子供の頃から、インテリアは興味をもって観察していました。


両親は交際範囲が広く、友人・知人宅を私達子供も連れて、訪問しました。

ですから、様々なお宅を拝見する機会に、子供の時分から恵まれました。




25歳で、シンガポールを家族旅行したとき、シャングリラ・ホテルの室内装飾が気に入り、

嫁入りの家具として、英国ジョージアン様式 焦げ茶色の家具を揃えました。

28歳でマンションを購入した折、LDを一間につなげる内装工事をかけ、

先のジョージアン様式の家具を中心基調に、引き立てる壁紙を選出、

イタリア製のカーテン、スペインから船便でやってきた照明を足していきました。




その後も、外国・国内旅行する時は、

ご当地の庭園めぐりは無論、建築物、インテリア、活け花も気になり、

ご当地の主要ホテルを見て周り、

母も姉も好きで、女三人、姦(かしま)しく、論評三昧です。

夫も、好きそうです・・・夫の論評を聞くのも、楽しいです。


いずれにしましても、「美しい記憶」が財産になり、造園へ転職し、

今回の自宅建設時に、大いに役立ちました。


家物語6、和室、来客者への配慮

2013年09月28日 | 家の設計、インテリア
我が家は本家で、親戚や姉妹が集まり、また夫の友人知人が宿泊しますので、

和室は客間・来客用寝室として利用し、「何畳にするか?」相当悩みました。



このスケッチ帳は、私が頭に浮かぶイメージを、描いて検討したものです。

これは畳12畳で、東側に廻し廊下を設けた、「贅沢」プランです。



旧宅は和室が床の間・押入れを除いて、畳が8畳+8畳+6畳+広縁4間、広すぎました。

夫の友人が4人泊まった折、布団を並べた時に思ったのですが、

家族4人は くっ付けて布団を並べられますが、他人4人は 隙間を必要とします。

8畳一部屋では狭い、とまず結論がでました。

では?

8畳+6畳=14畳 は広い割りに、敷居・鴨居が部屋を分断し、多人数時に下座の方に、不快な印象を与えます。

それで、一部屋で10畳か?12畳か?悩みました。





結局、10畳に、床の間・仏間・出窓書院・広縁2間を設け、北側の空きスペースを納戸としました。

写真では、広がりの感覚が伝わりにくいのですが、

この書院は長さ2間あり、10畳に床の間1畳に、出窓書院を加えて、広く見えます。

出窓は、基礎の面積を増やさず、割安に広く見せますので、「お得」です。


広さが決まって、次は、天井高です。

夫は、旧宅の2.7m天井高に慣れ 「低いと圧迫感があって嫌だ」

住林の標準仕様では2.4m高で、Heigh仕様に変更して2.6m高を確保しました。

私「広さと高さの、最適なバランスがあるのでは?」と設計担当に質問しましたが、

返答に窮していましたので、手元の専門書「家作りビジュアル大事典」を読み込むと、

ありました!黄金比。

古人が編み出した計算式があって、4.5畳で約2.2m、10畳で約2.7m。

狭い茶室は天井も低く、お寺の大広間は天井が高いわけです。



家具の座卓は、8名が座れる様に、長さ2.1m 幅1~1.1mにしました。

これも、拙宅のけやきで 家具職人に作ってもらいました。

幅は重要で、狭いと来客と対面して食事する時に、居心地悪く感じます。

私は「嫁」なので、夫の親戚縁者との「距離」が、気になりました。


家具屋から紹介されたデザイナーKさんは、大変優秀な方で、

私は、様々な疑問をぶつけましたが、すべて、感度よく返ってきました。

食卓テーブル・座卓の幅と、他人との距離感、窓と家具のバランス、窓とカーテンの相性・・・

住林の設計に質問しても、的確な答えは返ってこず、文献を当たっても見つからない、

そんな疑問にKさんは、「打てば響く」ように答えてくれまして、大変参考になりました。



出窓書院を外から見た写真。

千本格子ですが、住友林業の駒沢展示場の実例を参考に、サンプル作成し検討しました。

窓の掃除をするのに、手と腕が入る隙間が重要と気づいて、採寸してもらいました。

展示場は、格好いいですが、掃除する隙間はありませんでした・・・



最後に窓を紹介します。

先の「家物語3 ブラインドシャッター」も合わせてご参照ください。


障子を閉めたところ。


障子を開いたところ

幅2間に対して、窓は耐震構造上の最大値1間半。シャッターの最大幅も1間半。

採光の妨げぬよう、障子を左端に4枚収め、敷居・鴨居を幅広にしました。

雪見障子にしないかわりに、上辺・下辺ともに可動式カーテン・ブラインドで、景観・視線を調整します。

これは、中央付近を目隠しすると、道路の通行人の目線を遮ります。

下辺を床まで下げれば、昼寝を見られません。

雪見障子では、寝そべっている家人が、外から丸見えになります。

我が家を訪問された方に、この説明をすると、「なるほど~」と感心してくれます。

家物語5、ブラインド・シャッター、光と風の調整

2013年09月27日 | 家の設計、インテリア
窓辺の美しさ については、次回に譲り

安全・安心の観点から、ブラインド・シャッターを採用したことを紹介します。


ご存知無い方が多いようなので、敢えて説明しますと、

ブラインドのように桟(羽)が動き、光と風を調整できるシャッターです。
      
左が桟が水平、     右が閉じている状態です。

開閉の具合で、光と風の入り具合を調節でき、夜は窓を開けて、安心して眠れます。

夏場の電気代(冷房代)が安く抑えられ、しかも快適で健康的です。


日中、外から見ると、

夕方には、


旧宅は2階建ての広い家で、窓を開け放しでは、侵入者の音や気配に気づかず、安心できませんでした。

夏、いい風が吹いていても「開かずの窓」がいくつもありました。

このシャッターのお陰で、今は、全部の窓を開けて、掃除機をかけたり、

独りで過す日中に、安心してお昼寝ができます。


中から見て、桟が水平時

桟が80%閉じている時

シャッターを上げて、室内用カーテンブラインドを利用している時


この室内用カーテンブラインドは、下場が上下するだけでなく、天場(上場)も上下するものを選びました。

理由は、外の通行人と視線が会わないように、また室内を覗かれないようにするためです。


純粋な数奇屋建築であれば、木造の雨戸を作りつけるものですが、

その風情より、電動シャッターの簡便さ、快適さ を選びました。

旧宅で、雨戸を開閉する度に、薮蚊が侵入するのに閉口していました。

シンガポールのホテルや、長崎のグラバー邸など、ブラインド型の木製雨戸を利用していますが、木製は特注で割高です。

しかし、ブラインド・シャッターを採用するにあたり、窓の幅が2.8mまで制限され、

南面の窓を、大開口にする夢は、消えました・・・・・

家物語 番外編 旧宅の想い出

2013年09月26日 | 家の設計、インテリア
2年前に家を建替ましたが、前の家は夫の父親が建て、築40年を過ぎていました。

両親と祖母、娘3人、息子1人の7人の家族が住み、事務所併設の8部屋ある、広い家でした。

夫が築30年の頃、1千万をかけて、同じ大工にリフォームを依頼しましたが、

息子の代に変わり腕は落ち、予定を超えて半年も掛かり、夫の母は疲れて「鬱」を発症してしまいました。



月日が経ち、娘は嫁ぎ、夫が独りで暮らすに所に、私は嫁ぎました。

昔の古き良き、大工の手による家で、私は九州の父方の故郷を 思い起こしました。

昔ながらの造作の家は、断熱材が入っておらず冬は寒くて、光熱費が3万5千円を越しても温まりませんでした。

リフォーム専業の住友林業ホームテックに、耐震の見積もりをしたところ、2千万円を提示され、

それでは、新築のほうが満足いく、ということになりました。




旧宅の玄関から、西側にある納屋とシラカシを撮影したものです。

納屋の裏側の敷地が、活用できませんでした。

庭は、先代が「植木の見本市」的な利用をして、木が整列していました。

私が嫁いでから、5月のGWと9月の連休時、夫の仕事の閑散期に、

二人で少しずつ「庭」作りに汗を流してきましたが、未だ完成していません。



庭を作るうちに、

夫の兼ねてからの夢「50にして家を建てる」を実現すべく、理想の家作りの模索が始まったのです。


新宅は、東端に納屋併設の事務所、中央部に母屋、西側は庭として配置をしました。

家が成った今、理想の庭作りが続きます。

植物は生き物ですから、庭は毎年新化して、完成はありえません。

それが、庭作りの醍醐味でしょう。