智の庭

庭の草木に季節の移ろいを感じる、日常を描きたい。

飛び火、アナと雪の女王

2014年08月15日 | 読書、観劇、映画
お盆休み、甥っ子達がお泊りにやって来たが、

今年は、次男坊6歳が、皮膚病の飛び火に罹って、

本人は必死に治そうと、朝昼晩とシャワーを浴びては薬を塗っていたそうです。

母親と祖母が「お泊り」を止める様言いますが、聞き入れず一緒にやってきました。


母親と祖母から私に、「次男に「だめだよ」と言って」と忠告されていました。

さて、我が家のリビングで、大はしゃぎする兄弟ですが、

弟が、おやつに好物のおせんべいを食べたい、と聞いてきましたので、

私が、「草加せんべいを、自宅に帰ってから食べなさい」と答えると、

弟の顔から笑顔が消え去り、じっと考え込む表情で、私を見つめ続けます。


私、その甥っ子の視線が、とても痛く辛かった・・・・

しばらくして、弟が、静かに私へ語りかけました

「智子おばちゃん、ボクの皮膚見て。それで、泊まっていいか、だめか、判断して。」

その、大人びた冷静な口調が、ぐっと胸に迫りました。


そして、洗面所で上着を脱いで、患部を覆った布を剥がして、私の元へ来ました。

「どれどれ、よーく、見せてご覧・・・・・

うーん、古いのは、まあくんが、頑張って薬塗って治療したから、治りかけているね。

でも・・・新しく、移ったところが、まだ、赤いね・・・・・

まあくん、これを、おじちゃんには見せられません、おじちゃんは、びっくりします。

まあくんは、お家に帰って、きっちりと治してから、また遊びに来なさい」

ときっぱりと告げました。


本人、がっかりして、その後の遊びに、参加しなくなりました・・・

夫も「治ったら、いつでも泊まりおいで」と慰めますが、

甥っ子は黙っておじちゃんを見上げるばかりです。

私、悲しくて、かわいそうで、まあくんの頭をなでなでして「また、おいでね」


さて、甥っ子長男9歳は、我が家に泊まって、

持参した「アナと雪の女王」を、3回も鑑賞しました。

私も、久しぶりの秀作に感動し、3回ともおつきあいしました。


それにしても「ありのーままのー・・・」と翻訳されていますが、

内容の成り行きから、しっくりこないので、英語・英文字幕で視聴しましたが、

直訳では「ほっといて!」かな・・・?

私は、雪だるまのオラフが、夏にあこがれて歌うシーンが印象的でした。

そして、氷の表現が、美しく見事ですね。


夏目漱石、「心」

2014年08月08日 | 読書、観劇、映画
今、朝日新聞朝刊で、漱石の「こころ」を100年ぶりに連載しており、

毎朝、楽しみにしている読者の一人です。

確か、中学生の頃、夏目漱石の著書に傾倒した時期がありました。

大人になったら、もう一度読んでみよう、と当時思ったものですが、

大人になって、ずいぶん久しいのですが、朝日新聞がきっかけを与えてくれました。


ある日、漱石先生の一文に「うーん」と唸って、早速、夫に音読して聞かせました。

皆様にも、ご紹介申し上げます。


「あなたもご承知でしょう、兄妹の間に恋の成立した例のないのを。」

「始終接触して親しくなり過ぎた男女の間には、恋に必要な刺激の起こる清新な感じが

失われてしまうように考えています。」

「香を嗅ぎ得るのは、香を焚き出した瞬間に限る如く、

酒を味わうのは、酒を飲み始めた刹那にある如く、

恋の衝動にもこういう際どい一点が、時間の上に存在しているとしか思われないのです。


一度平気で其所を通り抜けたら、馴れれば馴れるほど、親しみが増すだけで、

恋の神経はだんだん麻痺して来るだけです。」

「私はどう考えな直しても、この従妹を妻にする気にはなれませんでした。」


私の夫君は、妻である私との距離感、男女の緊張感を大切にするところがあります。

音読後、夫に「あきちゃんが、言っていたことって、このことよね」

夫も「うんうん」と肯いておりました。

「なるほど!」漱石先生ありがとう。先生の名文で、夫の心理が読み解けました。

それにしても、漱石先生、シェークスピアのようですね。