ハッタリと出任せには俺も自信があるが、相方は一枚も二枚も上手。ヤクザの香典はパクるわ、地上げ屋の眼前でストリップショウを企むわ、欲深い奴らを手玉にとって涼しい顔。「四面堂遙」この女、タダモノではない…。要領よし、逃げ足早し、正義感少しあり、腕力なし。世渡り上手の世間師コンビが大活躍するウィットたっぷりの痛快短編集。
コンゲーム小説=詐欺師があの手この手を使ってカモを釣り上げる過程を、スリリングかつユーモラスに描いた犯罪小説。主人公は人の心のスキを巧みにつき、お金を巻き上げるのを生業としている人。
主人公・カモ・仕掛け・語り口の四点が魅力的であること。
・いそがしい世間師~痴漢常習犯にいかに仕返しし、慰謝料を巻き上げるか
・痩せる女~古本屋への融資を渋る銀行から、いかに金を引き出すか
・弦の嘆き~幻の名器と言われるギターを、如何に入手し利鞘を稼ぐか
・八里の寝床~地上げを謀る不動産会社を、いかに出し抜くか
・「弔いはおれがする」~ヤクザの香典から、いかにして掠め取るか
5つの短編。手口の面白いし、オチがよいです。完璧じゃなくて。ユーモラス。愉快な気分になります。
主人公は、沢山の名前と顔を持つ男。ちょっぴり正義感と人情を持ち合わせた人物。金無し、力なし、女無し…。
相棒の経営コンサルタント四面堂遙が、何ともグラマラスで悪女!そして、彼女の巧みな会話と堂々たる態度に圧倒されます。
この二人がくむ世間師=世情に通じていて、世渡りのうまい人間 の仕事。
なかなか、痛快でした。