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『空からやってきた魚』 アーサー・ビナード

2007年06月27日 | エッセイ


空からやってきた魚.jpg


著者のアーサー・ビナード氏をご存知でしょうか。アメリカ人の詩人なのですが、日本語での詩集、『釣り上げては』 で、なんと中原中也賞を受賞してしまうほど、日本語になじんでいる方です。

この方、イタリア語も短期間遊学しただけでマスターしているそうですし、日本語にいたっては大学で、卒論を書く際にはじめて触れ、その日本語に魅惑されてから始めた日本語学習です。言葉の天才でしょうね。


本書はエッセーです。こういう言い方はどうかと思いますが、読み終わって、本書そのものというより、この作者がおもしろいと感じました。やっぱり天才詩人は目の付け所が違うというか…、変わっているというか…、何でもないものに眼を向けますし、そこからいろいろなことを夢想したり、自由に論じたりします。

“好奇心旺盛” という言葉から想像するレベルを越えているのではないでしょうか。死に装束を着てみたり、真夜中の池袋へ行ったり、アメリカでは嫌われものの銀杏や虫が気になってしまったり、とにかく神出鬼没、縦横無尽に頭も体も動く印象です。


アメリカでの思い出なども書かれていて、著者が幼いころから言葉に非常に敏感であったことを感じさせますが、言葉だけでなく、ありとあらゆるものに関心を示しています。



1章
 初めての唄(なに人になるか;初めての唄 ほか)

2章
 空からやってきた魚(団子虫の落下傘;ビーバーと愉快な仲間たち ほか)

3章
 地球湯めぐり(いま何どきだい?;地球湯めぐり ほか)

4章
 若きサンタの悩み(共和国の蛙に忠誠を誓う;林檎や無花果、アダムの臍 ほか)

5章
 骨の持ち方(忘れる先生;アライグマと狸 ほか)


書名の『空からやってきた魚』は、日本に来た自分を例えたものです。


本書の中で、時々筆者の作った“歌”、川柳のような短歌のようなものが書かれています。例えば…

   新聞の勧誘くれば日本語の 二の字も知らぬガイジンとなる ” 

と、これは笑えるものですが、

  “ 川の瀬に捨てられし古き自転車を 隠すがごとく落花群がる ” 


というのもあります。全編ユーモアの精神を失わず、アメリカ人が見た日本の魅力やカルチャーショックを受けたところが淡々と、時におもしろく書かれています。
 
本書を私が読んだきっかけは、NHKラジオで本書が朗読されていたのをおもしろく聞いたからでしたが、今、調べて見ますと、新しいエッセイ集 『日本語ぽこりぽこり』 というのがすでに出版されていました。

私は未読ですが、こちらの目次は


1 海を挟んでつれション

2 メロンの立場

3 夜行バスに浮かぶ

4 鼾感謝祭

5 ターキーに注意

6 おまけのミシシッピ


となっており、言葉中心に40のエピソードが紹介されているそうです。おそらく内容は似ていると、勝手に想像しますので、まことに無責任ですが(笑) こちらもいいかなという感じがいたします。

 

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