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『秘伝 中学入試国語読解法』 石原千秋

2007年06月02日 | 中学受験関連【算数・国語参考書など】


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中学受験の国語が苦手な生徒さんや、そのご父母には、非常に参考になる一冊です。少し前に出されていますので、中学入試に関する情報などは変わっていて、注意が必要ですが、それでも私がこれまで読んできたいろいろの中学入試、国語の参考書の中では際立って実用的な本だと思います。


筆者の著作は、以前、大学入試の現代文(小説)の参考書 『大学受験のための小説講義』 を取り上げました。そちらもすばらしい内容で、大学受験の現代国語の小説で得点が伸び悩んでしまう生徒だけでなく、一般の読者でも充分楽しめる一冊です。


本書は、二部構成。第1部がご自分の息子さんとの中学受験体験記です。国語の問題分析もためになるのですが、中学受験というものをさまざまな角度から論じたり、学校というものについても忌憚なく意見を述べています。

第2部は中学入試の国語読解の法則のようなものを紹介しています。これは別の本でも読んだことのある気もしますが、悩める受験生には有益だと思います。ただし、最近はここで紹介されているものより、さらに大人びた文章が出てきていますので、傾向分析は慎重に行う必要がありますが…。

 


第1部
 僕たちの中学受験(僕たちの学校;受験が始まった;入試問題とはどういうものだろうか;塾と家庭 ほか)

第2部
 入試国語を考える(隠されたルール;「国語」の基本型;二元論で考える;「言葉」を読む ほか)


新書よりひとまわり大きいサイズで、400ページを越える分厚い一冊です。その上、入試問題文は、二段になっていて小さい文字サイズですから、全体ではかなりの情報量があり、さしずめ “読解事典” のおもむきです。

第1部では筆者の学校に対する考え方や、教育観をかなりはっきり打ち出しており、考え方の異なる人が読めば、反感を招きかねない内容です。学級崩壊に関するあたりなど、私もちょっと首をかしげました。


すべて実名での学校論評ですから、おもしろいのですが、やや受験生の親としての感情が先走り、学者らしからぬ書き方です。こうして親までも巻き込む、それが中学受験だとも言えますね。(東京中心に関東の男子校だけですが)

そんなことを割り引いても、お読みになって損はないと思います。特に第2部は圧巻です。書名の “秘伝” ということばがふさわしいかどうかわかりませんが、中学受験での役立つテクニックが出てきます。読めばすぐに成績が上がるということではありませんが、出題者の意図をわかりやすく説明しています。


こういうことを頭に入れて、実戦を重ねる。つまり実際に時間を使って問題を解き、しっかり復習していけば、筆者の主張が実感できるのではないでしょうか。常に申し上げている、中学受験は過去問が最高の参考書だということを再認識できました。

 

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