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『いわゆるA級戦犯』 小林よしのり

2006年08月08日 | 歴史
  

しばらく前、靖国神社に関して、中国・韓国が日本に対して怒っているというような内容がテレビで流れました。例によって、小泉首相の写真や、日の丸に火をつけていました。

すると歴史をほとんど知らないはずの、私の小学生の息子に 『当たり前だよね!だってそれだけひどいことを日本はずっとしてきたんでしょ』 と言われ、愕然としました。この小学校は何をどう教えているのでしょうか。それからはいろんな話をするようにしています。

私がブログを始めて、最初にリンクを貼っていただいたのは、ご夫婦で図書館司書をされており、ブログ 『 少林寺と図書館と病気と 』 を書いておられる HIRO。さんです。いつも“本のプロ”として、いろいろアドバイスをいただきます。本書もHIRO。さんからご紹介いただきました。

HIRO。さんは、氏のことを、右でも左でもなく、一匹狼と呼びます。確かに、小林氏は朝日新聞だけでなく、右寄りといわれる、読売新聞、産経新聞に対しても、『親米ポチ』 などと、容赦なく批判していますからね。

小林よしのり氏の著作はいくつか読んでいますが、『戦争論』 などのマンガは、過激な表現で感情に訴えかけようとする面があり、正直申し上げて、それがいかに正論であっても、子どもには薦められませんでした。小林氏の一般書籍の方がずっと読みやすいと感じていました。『 嫌韓流 』 や 『 嫌韓流2 』 にも同様のことが言えます。マンガという戦略はかなり有効なんですね。

さて、久しぶりに氏のマンガを読んだわけですが、これまでより冷静に、客観的な印象を受け、正直、驚きました。本書では、そもそも“A級戦犯”という概念自体が、不当なものであるという主張です。この前取り上げました、『南十字星に抱かれて(福富健一)』 と同様の意見です。

朝日新聞などは、サンフランシスコ平和条約 を日本が受け入れた以上、東京裁判、つまり戦犯の犯罪行為を認めたことであり、そのおかげで戦後の日本がある。今さら、平和条約を否定するのかという主張です。要するに、東京裁判批判は歴史的に許されないと。

小林氏の主張は、条約の意味は、“たとえ不当な裁判であっても、その判決は受け入れる”、と言っているだけなので、裁判自体が不当だったと主張しても、何の矛盾もないという立場です。なぜかということが詳しく書かれています。

実は、そこのところを知り合いの法律家に聞いてみました。政治がからむので、やはり難しいところだが、小林氏の主張も充分ありうるという意見でした。私個人は国際法というものは、まったくわかりませんが、東京裁判がかなりおかしなものだったということくらいは理解できます。

パール判事の日本無罪論(田中正明)』 や 『アーロン収容所(会田雄次) 』 などを読めば、学校で教えられる史観とはかなり違った意見をもつはずです。本書では、A級戦犯一人ひとりについて、コラムで紹介しており、もちろん、先日、天皇陛下に関する『富田メモ』で名指しされた、松岡洋右や白鳥敏夫も、取り上げています。

塾講師が政治的な本を薦めるのは、あまり好ましくないとは充分知っています。特に当教室周辺は朝日新聞がものすごく強いと感じますので(笑)。しかし、あのアメリカでさえ、原爆投下に疑問を投げかける議論が教科書に出てくる時代です。(『アメリカの教科書が教える日本の戦争(高濱賛)』)中国、韓国、北朝鮮問題は毎日報道されます。

教科書で一方的な歴史観を押し付けるのは、もう時代錯誤です。本書での小林氏は冷静で、かつての扇動家のイメージではありません。子どもの知性を伸ばすためにも、どちらか一方だけを信じこませ、相手の話を聞かないという方がマイナスだと私は考えます。

今後の平和のためにも、感情論ではなく、戦争にいたった経緯、あるいは戦争責任を、学校で討論できるような時代をそろそろ迎えるべきだと思いますし、本書はその議論の材料を与えていると思います。



http://tokkun.net/jump.htm

いわゆるA級戦犯―ゴー宣SPECIAL

幻冬舎

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