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『塩狩峠』 三浦綾子

2006年08月09日 | 小説

あまり小説を読まない、自分の無教養をさらすようで恥ずかしいのですが…、

かなり前のこと、新聞にある方(忘れましたが、ある有名人)が、こう書いておられました。

『私はおろかにも、三浦綾子 は、曽野綾子 が三浦朱門 と結婚して、三浦綾子になったとカン違いしていた』

これを読んで、私は『えっ、そうでしょ?違うの? 』 と…、実は私もこの方と全く同じように、三浦綾子は曽野綾子だと思い込んでおりました。アマゾンなんかで見ても、お二方とも“生と死” とか“神” というような題の本がありましたから。

今から思えば、三浦綾子氏には『氷点』 というすばらしい作品がありますし、あのテレビ番組、『笑点』 も氷点から名前を取ったとか、W綾子と呼ばれているとかで、いや本当に自分が情けなくなるできごとでした。

で、さっそくその方が衝撃を受けたという本書 “塩狩峠” を読んでみました。

主人公は自分の結納の当日、自らの命を捨ててまで転覆しそうな列車を止め、乗客の命を救った、実在した鉄道マンであり、牧師である人物。それをモデルにした小説です。かつて映画にもなったそうです。

明治初期、まだ少年だった主人公の母親が“ヤソ=キリスト教信者” であったことから、彼の人生は大きく揺れ動きます。ヤソであると分かれば、親類の縁を切られる時代です。

死とは、信仰とは、愛とは何か、そういう重いテーマを突きつけられる物語ですが、読みやすいことと、スリリングなストーリーのために、最後まで一気に読んでしまいました。

感動した小説というのは、読み終わっても主人公がいつまでも心から離れないのですが、本書もまさにそういう一冊でした。主人公の永野信夫の顔が、私は見えるような気がします。

あとがきを見ますと、本書のテーマは“犠牲”。出版された当時(昭和40年代)、筆者は昔の自己犠牲の精神が日本から失われていることを憂いていたようです。

私自身はその頃生まれた(ちょっとミエが入りました。正しくはそれ以前) 典型的な日本の仏教徒ですが、最後の方はついつい涙が出てしまいそうになる感動の一冊でした。素人の分際で、偉そうですが(笑)、お薦めします。子どもたちにもぜひ。


http://tokkun.net/jump.htm

塩狩峠

新潮社

詳  細

『塩狩峠』三浦綾子
新潮社:459P:660円



■■ いや、岡本綾子 ならファンですし、どうでも良いのですが、私の母の名も綾子(笑)で、仕事仲間にも素敵な綾子さん。勉強不足でした。
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