人類史というものの本質は「ゼロサムゲーム」である。
地球という限られた資源の上で、無限大の発展・上昇はありえない。進歩があれば退化がある。上昇があれば下降がある。発展があれば衰退がある。
特定の集団が利権を貪り、豊かさを謳歌すれば、残りの集団、大多数の人々には貧しさと苦しみがやってくる。
豊かで幸福な大金持ちが生まれれば、その対極に必ず貧しい悲惨な集団が登場するのだ。それは経済の本質がゼロサムであることから来ている。
一つの国家、民族が発展し、上昇を続けてきて、それがピークに達し、下降に向かうことは絶対に避けられない法則だが、ほとんどの人々は、下降・衰退に転じても、そのことに気づかない。
だが、民族の命運が下降・衰退に転じるとき、非常に明瞭なサインが表れる。
それは「人口減少」である。
人口が減少に転じた国家には、滅亡という運命が避けられない。すべての社会活動の根源には「人口増加」というエネルギーが隠れているからだ。
人口増加という発展の本質的理由を失った民族に未来は存在しない。
日本という国の人口は、2008年に1.28億人のピークを迎え、以来、減少の一途を辿っている。
https://next.rikunabi.com/journal/20170219_d1/
これは、安倍晋三政権と竹中平蔵による、弱者・若者イジメというべき、消費税や低賃金、待遇悪化がもたらしたものだが、特権階級による強欲政治が是正されたとしても、おそらく人口減少に歯止めがかかることはない。
https://toyokeizai.net/articles/-/148363
仮に消費税が廃止されれば、日本経済は嘘のように上昇・拡大に転じるはずだが、一方で、無制限の経済拡大は、必ず環境破壊をもたらし、原発稼働=温排水による気温上昇など、致命的な生活破壊が起きる可能性が強く、人口増加による国家繁栄という結果にはならないだろう。
ひとたび人口減少に転じた民族・国家が、再び発展の栄華を取り戻した例は人類史に存在しない。
それは、人口増加時代に培われた発展・上昇への幻想が、人口減少局面に至っても人々を縛り続け、客観性を見失った暴走を繰り返し、自滅への必然性を生み出すからだ。
例えば、安倍政権時代に、JR東海が始めたリニア新幹線は、すでに東海道新幹線や高速道路網という交通インフラが完成し、何の需要も必然性もないまま、計画が実現に向けて暴走を始めた。たとえ強引に完成させたとしてもニーズなどほとんど見込めない。
なぜなら、品川駅から名古屋駅までの所要時間は40分と謳われているが、大深度駅のため、地上と駅を結ぶ時間は10分以上、おそらく15分にもなるので、実際の所要時間は1時間10分ほど。
新幹線を利用すれば、1時間半で行き来できて料金も安い。政府は新幹線に近い料金体系を謳っているが、現実問題として、凄まじい巨額の経費が、安価な運賃を許すはずがない。たぶん、JR東海の予定運賃の何倍にも設定されるのは確実であるし、安くすれば原発事故同様、税金予算からの補填が避けられない。
おまけに、南アルプスの水源地帯に巨大なトンネルを掘ることが、静岡県民の水源を破壊することが確実視されている。
こんなことは計画段階から分かりきっていたことで、事業の失敗がこれほど鮮明に約束されたプロジェクトも少ない。
実は、リニア新幹線計画をぶち上げ、安倍政権と密着して強引に実現させようとしている、JR東海、葛西敬之という人物は、それまで彼が手掛けた事業のほとんどで失敗を重ねている。
例えば、1998年開業の、御嶽山のかけがえのない大原生林を大規模に破壊したチャオというスキー・リゾート施設を作らせたが、これは、スキーというリクレーション分野が終焉を迎え、衰退を始めた時代に、葛西の金儲け幻想だけで突っ走った妄想である。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%A3%E3%82%AA%E5%BE%A1%E5%B2%B3%E3%82%B9%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%82%BE%E3%83%BC%E3%83%88
「交通アクセスの極端に悪い土地に作った、こんなもの失敗するに決まっている」と大方の地元民が思っていた通り、JR東海は経営難に陥り、結局のところチャオスキー場を売り飛ばしたが、2013年には事実上廃業してしまった。
破綻が分かりきっていた愚かな事業だったが、葛西敬之という独裁者に諫言できる人物もいないまま、同じように巨大な失敗が約束されたリニア中央新幹線事業を強行してしまった。
当の葛西は、2020年、事実上引退しているが、巨大な失敗、負の遺産を受け継がされたJR東海は、恐ろしい地獄のなかに転落してゆかねばならな運命だ。
人口減少=国家・民族衰退の時代に繁栄時代の妄想から抜け出せない人物が手掛けた事業は、必ず、このような凄まじい負の遺産となるが、それを是正する体制も作れないまま、究極の破滅に至るまで暴走と転落を重ねるしかない。
ちょうど、嘘と独善を重ねた東京電力が、福島第一原発事故に至ったのと同じメカニズムだ。
結局、JR東海は、東京電力・東芝・日立・三菱と同じ轍を踏んで奈落に落ちてゆくことだろう。
「五重苦」に見舞われたリニア中央新幹線、その“未来”はあるのか 8月5日現代ビジネス
https://gendai.ismedia.jp/articles/amp/85783?page=3&skin=amp
リニア中央新幹線、工事の残土は?
「燕沢(つばくろさわ)は、登山道と大井川のすぐ脇です。そこにJR東海は約360万立方メートルものリニア残土を積む予定。熱海の土石流は、それがいかに危険な行為であるかを証明したのではないでしょうか」
こう語るのは、『悪夢の超特急 リニア中央新幹線』の著書がある樫田秀樹氏だ。樫田氏は、これまでに反対運動の市民団体と2度、燕沢現地に入り、高さ70メートル、幅300メートル、長さ500メートルに及ぶ残土置き場の危険性を訴えてきた。
熱海土石流の起点近くの盛り土は約7万4000立方メートル。盛り土とは、土砂を運び込み、傾斜地を平らに造成する建築工法だが、地球温暖化を契機とする集中豪雨の多発が、河川の氾濫、崖の崩落などさまざまな惨事を生んでおり、熱海土石流はそれが全国の盛り土に及ぶことを証明した。
警告は、静岡県も発している。
<懸念3 大量発生する残土による生態系、環境への影響>
静岡県公式ホームページ「ふじのくに」は、こうしたタイトルで残土置き場の危険性を訴える。
<18ヘクタールもの大規模改変による環境破壊、70メートル規模の高盛土の崩落と大井川に流れ込むことによる濁水、河川閉塞(土砂ダム)による災害の発生が危惧されます>
リニア中央新幹線の工事で発生する残土量は東京ドーム50杯分の約5680万立方メートル。静岡県の約360万立方メートルはその16分の1に過ぎず、熱海土石流は工事の沿線で同じような問題が発生する危険性を印象付けた。
新型コロナ、工費増、さらに…
リニア中央新幹線に障害が多発している。
コロナ感染は業績を悪化させ、JR東海が4月27日に発表した20年度決算は、売上高が前期比55%減の8235億円で営業損益は1847億円の赤字だった。コロナ禍だけなら、ワクチン接種の普及で回復が期待されるが、リモートの活用による行動変容で、出張などによる移動の減少は避けられない。
右肩上がりなど望むべくもない状況で、東京―名古屋を40分、東京―大阪を67分で結ぶリニアが必要か、という議論が改めて噴出している。
加えて工費の増加。決算発表と同時に、東京―名古屋間の工費が5兆5000億円から7兆円に増加することも明らかとなった。
14年、国が実施計画を認可した時点で、リニアはJR東海の単独事業であり、リードしてきた葛西敬之元会長は「(大阪までの)事業費9兆円は自社で賄う」と、豪語していた。
だが、リニアへの資金注入が、16年5月に開催された伊勢志摩サミットあたりから浮上し、葛西氏と親しい安倍晋三前首相は、同年7月の参院選公約として「リニアの大阪開業前倒しと財政投融資の活用」を挙げ、3兆円の投入が決まった。リニアは国家プロジェクトに昇格。それが今後、なし崩し的な予算増に見舞われることが危惧される。
さらに、6月20日の県知事選で強固なリニア反対派の川勝平太氏が、自民推薦候補を33万票もの大差で破って当選、4期目に入った。
選挙の最大の争点はリニア。22日に初登庁した川勝氏は、自民推薦候補がルート変更に言及したことを踏まえ、「地元の意向を踏まえ、(ルート変更を)自民党と協力してJR東海にぶつける」と、述べた。
リニア工事差し止めの民事訴訟も
リニアトンネルは、南アルプスの地下最大1400メートルの大深度を掘り進む。その影響で、河川の水量が減ることなどを理由に、川勝知事は静岡工区の着工に必要な河川法に基づく同意を見送ってきた。
ルート変更とは、静岡県を迂回するよう求めることだが、JR東海の宇野護副社長は6月23日に開かれた株主総会で、「ルート変更はあるのか」と、株主に問われ、地形や地質、環境など様々な条件を考えて現在のルートを設定、既に土地買収も進めており、変更すれば「すべてが振り出しに戻ってしまう。ありえない」と、答えた。
それでも知事の同意は必至。今後4年間、川勝氏を相手に厳しい交渉が続く。
そのうえ、東京・調布の道路陥没事故を起因としたリニア工事差し止めの民事訴訟が、7月19日、起こされた。大田区田園調布などの住民24人が原告となり、JR東海を相手取り、居住地域にある沿線ルートの工事差し止めを求めたもの。
昨年10月、調布の住宅地に縦横深さ5メートルの穴が開き、それが東京外郭環状道路(外環道)工事の影響であることが判明、今も工事はストップしている。
リニアも外環道も、地下40メートル以上深い地下部の空間を、直径10数メートルのシールドマシンを使って掘り進む。
筆者は、<菅首相に“決断力”はあるか…調布陥没事故で露呈した「ニッポンの深刻すぎる現実」>(21年3月25日配信)と題して、住民の許可なく超法規的な地下利用を認めた大深度法の危険性を訴えた。
その際、調布住民で、かねて陥没事故を予見、『住宅の真下に巨大トンネルはいらない!』を上梓していた丸山重威氏の次の言葉を紹介した。
「外環道とリニアの工事中止は、日本の将来を修正することにもつながる」
公共工事は、始まると止まらない。だが、リニアを巡る環境は、政府認可以降、大きく変わり、特にこの1~2年は、見直しを迫るものばかり。7兆円のうち昨年度までに執行されたのは1兆円。工事中止の「英断」が求められているのではないだろうか。
**************************************************************************
引用以上
リニア新幹線工事の無謀さを訴えた著書やブログが大量に出ているが、葛西グループ=安倍晋三らは、それを一顧だにせず、国民の税金から強奪した金で、問題解決できるとたかをくくっているようだが、熱海土石流事件は、そんな生易しい甘い見通しを根底から吹き飛ばしている。
熱海の千倍の規模での恐ろしい土石流による超巨大災厄が約束されているのだ。
彼らにとっては、日本の未来がどうなろうと知ったこっちゃない。民衆の生活にも何一つ関心がない。ただ、「在任中に自分がやらせた」と自慢したい一心の低俗下劣な動機で事業を強行しているのはオリンピックと同じだ。
オリンピック強行は、おそらく日本史上未曾有の恐ろしい結末を迎えることが約束されているが、リニア新幹線も同じで、南アルプスの水源を破壊し、中央構造線の作った超巨大な破砕帯にトンネルを掘るという信じがたい無謀工事を強行している。
冒頭で述べたように、日本は、すでに衰退下降局面に入り、もう地球社会で浮上することはありえない。バブル時代からの負の遺産が、日本国家を押しつぶす運命しか残されていない。
日本の強欲人種が、日本の民衆の生活を根底から破壊する第二次大戦のような事態が我々を待ち構えている。
地球という限られた資源の上で、無限大の発展・上昇はありえない。進歩があれば退化がある。上昇があれば下降がある。発展があれば衰退がある。
特定の集団が利権を貪り、豊かさを謳歌すれば、残りの集団、大多数の人々には貧しさと苦しみがやってくる。
豊かで幸福な大金持ちが生まれれば、その対極に必ず貧しい悲惨な集団が登場するのだ。それは経済の本質がゼロサムであることから来ている。
一つの国家、民族が発展し、上昇を続けてきて、それがピークに達し、下降に向かうことは絶対に避けられない法則だが、ほとんどの人々は、下降・衰退に転じても、そのことに気づかない。
だが、民族の命運が下降・衰退に転じるとき、非常に明瞭なサインが表れる。
それは「人口減少」である。
人口が減少に転じた国家には、滅亡という運命が避けられない。すべての社会活動の根源には「人口増加」というエネルギーが隠れているからだ。
人口増加という発展の本質的理由を失った民族に未来は存在しない。
日本という国の人口は、2008年に1.28億人のピークを迎え、以来、減少の一途を辿っている。
https://next.rikunabi.com/journal/20170219_d1/
これは、安倍晋三政権と竹中平蔵による、弱者・若者イジメというべき、消費税や低賃金、待遇悪化がもたらしたものだが、特権階級による強欲政治が是正されたとしても、おそらく人口減少に歯止めがかかることはない。
https://toyokeizai.net/articles/-/148363
仮に消費税が廃止されれば、日本経済は嘘のように上昇・拡大に転じるはずだが、一方で、無制限の経済拡大は、必ず環境破壊をもたらし、原発稼働=温排水による気温上昇など、致命的な生活破壊が起きる可能性が強く、人口増加による国家繁栄という結果にはならないだろう。
ひとたび人口減少に転じた民族・国家が、再び発展の栄華を取り戻した例は人類史に存在しない。
それは、人口増加時代に培われた発展・上昇への幻想が、人口減少局面に至っても人々を縛り続け、客観性を見失った暴走を繰り返し、自滅への必然性を生み出すからだ。
例えば、安倍政権時代に、JR東海が始めたリニア新幹線は、すでに東海道新幹線や高速道路網という交通インフラが完成し、何の需要も必然性もないまま、計画が実現に向けて暴走を始めた。たとえ強引に完成させたとしてもニーズなどほとんど見込めない。
なぜなら、品川駅から名古屋駅までの所要時間は40分と謳われているが、大深度駅のため、地上と駅を結ぶ時間は10分以上、おそらく15分にもなるので、実際の所要時間は1時間10分ほど。
新幹線を利用すれば、1時間半で行き来できて料金も安い。政府は新幹線に近い料金体系を謳っているが、現実問題として、凄まじい巨額の経費が、安価な運賃を許すはずがない。たぶん、JR東海の予定運賃の何倍にも設定されるのは確実であるし、安くすれば原発事故同様、税金予算からの補填が避けられない。
おまけに、南アルプスの水源地帯に巨大なトンネルを掘ることが、静岡県民の水源を破壊することが確実視されている。
こんなことは計画段階から分かりきっていたことで、事業の失敗がこれほど鮮明に約束されたプロジェクトも少ない。
実は、リニア新幹線計画をぶち上げ、安倍政権と密着して強引に実現させようとしている、JR東海、葛西敬之という人物は、それまで彼が手掛けた事業のほとんどで失敗を重ねている。
例えば、1998年開業の、御嶽山のかけがえのない大原生林を大規模に破壊したチャオというスキー・リゾート施設を作らせたが、これは、スキーというリクレーション分野が終焉を迎え、衰退を始めた時代に、葛西の金儲け幻想だけで突っ走った妄想である。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%A3%E3%82%AA%E5%BE%A1%E5%B2%B3%E3%82%B9%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%82%BE%E3%83%BC%E3%83%88
「交通アクセスの極端に悪い土地に作った、こんなもの失敗するに決まっている」と大方の地元民が思っていた通り、JR東海は経営難に陥り、結局のところチャオスキー場を売り飛ばしたが、2013年には事実上廃業してしまった。
破綻が分かりきっていた愚かな事業だったが、葛西敬之という独裁者に諫言できる人物もいないまま、同じように巨大な失敗が約束されたリニア中央新幹線事業を強行してしまった。
当の葛西は、2020年、事実上引退しているが、巨大な失敗、負の遺産を受け継がされたJR東海は、恐ろしい地獄のなかに転落してゆかねばならな運命だ。
人口減少=国家・民族衰退の時代に繁栄時代の妄想から抜け出せない人物が手掛けた事業は、必ず、このような凄まじい負の遺産となるが、それを是正する体制も作れないまま、究極の破滅に至るまで暴走と転落を重ねるしかない。
ちょうど、嘘と独善を重ねた東京電力が、福島第一原発事故に至ったのと同じメカニズムだ。
結局、JR東海は、東京電力・東芝・日立・三菱と同じ轍を踏んで奈落に落ちてゆくことだろう。
「五重苦」に見舞われたリニア中央新幹線、その“未来”はあるのか 8月5日現代ビジネス
https://gendai.ismedia.jp/articles/amp/85783?page=3&skin=amp
リニア中央新幹線、工事の残土は?
「燕沢(つばくろさわ)は、登山道と大井川のすぐ脇です。そこにJR東海は約360万立方メートルものリニア残土を積む予定。熱海の土石流は、それがいかに危険な行為であるかを証明したのではないでしょうか」
こう語るのは、『悪夢の超特急 リニア中央新幹線』の著書がある樫田秀樹氏だ。樫田氏は、これまでに反対運動の市民団体と2度、燕沢現地に入り、高さ70メートル、幅300メートル、長さ500メートルに及ぶ残土置き場の危険性を訴えてきた。
熱海土石流の起点近くの盛り土は約7万4000立方メートル。盛り土とは、土砂を運び込み、傾斜地を平らに造成する建築工法だが、地球温暖化を契機とする集中豪雨の多発が、河川の氾濫、崖の崩落などさまざまな惨事を生んでおり、熱海土石流はそれが全国の盛り土に及ぶことを証明した。
警告は、静岡県も発している。
<懸念3 大量発生する残土による生態系、環境への影響>
静岡県公式ホームページ「ふじのくに」は、こうしたタイトルで残土置き場の危険性を訴える。
<18ヘクタールもの大規模改変による環境破壊、70メートル規模の高盛土の崩落と大井川に流れ込むことによる濁水、河川閉塞(土砂ダム)による災害の発生が危惧されます>
リニア中央新幹線の工事で発生する残土量は東京ドーム50杯分の約5680万立方メートル。静岡県の約360万立方メートルはその16分の1に過ぎず、熱海土石流は工事の沿線で同じような問題が発生する危険性を印象付けた。
新型コロナ、工費増、さらに…
リニア中央新幹線に障害が多発している。
コロナ感染は業績を悪化させ、JR東海が4月27日に発表した20年度決算は、売上高が前期比55%減の8235億円で営業損益は1847億円の赤字だった。コロナ禍だけなら、ワクチン接種の普及で回復が期待されるが、リモートの活用による行動変容で、出張などによる移動の減少は避けられない。
右肩上がりなど望むべくもない状況で、東京―名古屋を40分、東京―大阪を67分で結ぶリニアが必要か、という議論が改めて噴出している。
加えて工費の増加。決算発表と同時に、東京―名古屋間の工費が5兆5000億円から7兆円に増加することも明らかとなった。
14年、国が実施計画を認可した時点で、リニアはJR東海の単独事業であり、リードしてきた葛西敬之元会長は「(大阪までの)事業費9兆円は自社で賄う」と、豪語していた。
だが、リニアへの資金注入が、16年5月に開催された伊勢志摩サミットあたりから浮上し、葛西氏と親しい安倍晋三前首相は、同年7月の参院選公約として「リニアの大阪開業前倒しと財政投融資の活用」を挙げ、3兆円の投入が決まった。リニアは国家プロジェクトに昇格。それが今後、なし崩し的な予算増に見舞われることが危惧される。
さらに、6月20日の県知事選で強固なリニア反対派の川勝平太氏が、自民推薦候補を33万票もの大差で破って当選、4期目に入った。
選挙の最大の争点はリニア。22日に初登庁した川勝氏は、自民推薦候補がルート変更に言及したことを踏まえ、「地元の意向を踏まえ、(ルート変更を)自民党と協力してJR東海にぶつける」と、述べた。
リニア工事差し止めの民事訴訟も
リニアトンネルは、南アルプスの地下最大1400メートルの大深度を掘り進む。その影響で、河川の水量が減ることなどを理由に、川勝知事は静岡工区の着工に必要な河川法に基づく同意を見送ってきた。
ルート変更とは、静岡県を迂回するよう求めることだが、JR東海の宇野護副社長は6月23日に開かれた株主総会で、「ルート変更はあるのか」と、株主に問われ、地形や地質、環境など様々な条件を考えて現在のルートを設定、既に土地買収も進めており、変更すれば「すべてが振り出しに戻ってしまう。ありえない」と、答えた。
それでも知事の同意は必至。今後4年間、川勝氏を相手に厳しい交渉が続く。
そのうえ、東京・調布の道路陥没事故を起因としたリニア工事差し止めの民事訴訟が、7月19日、起こされた。大田区田園調布などの住民24人が原告となり、JR東海を相手取り、居住地域にある沿線ルートの工事差し止めを求めたもの。
昨年10月、調布の住宅地に縦横深さ5メートルの穴が開き、それが東京外郭環状道路(外環道)工事の影響であることが判明、今も工事はストップしている。
リニアも外環道も、地下40メートル以上深い地下部の空間を、直径10数メートルのシールドマシンを使って掘り進む。
筆者は、<菅首相に“決断力”はあるか…調布陥没事故で露呈した「ニッポンの深刻すぎる現実」>(21年3月25日配信)と題して、住民の許可なく超法規的な地下利用を認めた大深度法の危険性を訴えた。
その際、調布住民で、かねて陥没事故を予見、『住宅の真下に巨大トンネルはいらない!』を上梓していた丸山重威氏の次の言葉を紹介した。
「外環道とリニアの工事中止は、日本の将来を修正することにもつながる」
公共工事は、始まると止まらない。だが、リニアを巡る環境は、政府認可以降、大きく変わり、特にこの1~2年は、見直しを迫るものばかり。7兆円のうち昨年度までに執行されたのは1兆円。工事中止の「英断」が求められているのではないだろうか。
**************************************************************************
引用以上
リニア新幹線工事の無謀さを訴えた著書やブログが大量に出ているが、葛西グループ=安倍晋三らは、それを一顧だにせず、国民の税金から強奪した金で、問題解決できるとたかをくくっているようだが、熱海土石流事件は、そんな生易しい甘い見通しを根底から吹き飛ばしている。
熱海の千倍の規模での恐ろしい土石流による超巨大災厄が約束されているのだ。
彼らにとっては、日本の未来がどうなろうと知ったこっちゃない。民衆の生活にも何一つ関心がない。ただ、「在任中に自分がやらせた」と自慢したい一心の低俗下劣な動機で事業を強行しているのはオリンピックと同じだ。
オリンピック強行は、おそらく日本史上未曾有の恐ろしい結末を迎えることが約束されているが、リニア新幹線も同じで、南アルプスの水源を破壊し、中央構造線の作った超巨大な破砕帯にトンネルを掘るという信じがたい無謀工事を強行している。
冒頭で述べたように、日本は、すでに衰退下降局面に入り、もう地球社会で浮上することはありえない。バブル時代からの負の遺産が、日本国家を押しつぶす運命しか残されていない。
日本の強欲人種が、日本の民衆の生活を根底から破壊する第二次大戦のような事態が我々を待ち構えている。