コロナ禍によってリモートワーク(テレワーク)を強いられることで、自然豊かな田舎勤務への憧れが加速していると羽鳥MSが何度も取り上げている。
現実には、そんなキレイゴトばかりでなく、田舎暮らしにつきもののデメリットも、たくさんあるんだよと警鐘を鳴らす人も出てきている。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00067/122100044/
確かに、仕事と勤務の区分がつきにくくなり、24時間緊張を強いられるという上の主張には説得力があり、会社勤めのライフサイクルのなかで、「仕事帰りの居酒屋で一杯」という習慣が与えてくれていた「心の潤い・癒やし」が失われることで生活にメリハリがつかなくなった……との苦しみも聞かれる。
だが、そんなことは、「居酒屋での癒やし」に匹敵する「自宅での癒やし」を新たに作り出せばいい話であって、ストレスに満ちた大都会でのライフスタイルから抜け出して、自然いっぱいの田舎暮らしを楽しんだ方が、長い人生にとっては大きなプラスに働くだろう。
テレワークの今後の展望だが、増えることはあっても、減ることはなさそうだ。これまではIT系、ソフトウェア技術者の独壇場だったテレワークの内容が、一般事務に大きく拡大していて、会議もリモートシステムに確実に変化している。
もし、コロナ禍が社会を変えるとすれば、真っ先に、リモートシステムの普及が挙げられるだろう。
さて、田舎暮らしの段取りだが、衣食住ライフスタイルの大部分が大都会とは大きく異なる。
まずは、大家や企業の管理する集合住宅から離れて、何もかも自分で管理しなければならない一軒家に移住するのが基本だ。
そして、目の前にスーパーやコンビニがあることは少ないので、食事は原則自炊、トイレや水も、自分で管理するのだが、厳冬期には特別の思慮が求められる。
一番簡単なのは、最寄りの駅(私で言えば中津川や恵那)に近い、アパートの一室を借りることで、2DKで月5万円も出せば、十分に便利で快適なアパートが借りられ、名古屋駅まで1時間で通勤できる。これなら、通勤が遠くなるだけですむ。
しかし、本格的移住を目指す人は、賃貸ではなく、別荘地に売り出されている土地付中古住宅を購入するのが適切である。
こうした中古別荘は、1980年代バブルで華々しく売り出されたもので、当時、40才代で購入した人々が、今では80才を過ぎて、不便な田舎暮らしに音を上げたり、死去したりして売りに出したものだが、信じられないほど安価に売られていて、300万円も出せば、立派な一軒家が購入できる。
https://realestate.yahoo.co.jp/used/house/search/05/21/21206/?ult_out=uh_gaw_0002&utm_source=ad_ryutsu&utm_medium=paid&utm_campaign=LS_gaw&utm_term=area&gclid=Cj0KCQiAgomBBhDXARIsAFNyUqPGofA0YHqES19X7zt1B2bl4MkT1lRbkifiwWVMn68AKxwp1SEmHy0aAqn2EALw_wcB&gclsrc=aw.ds
https://www.homes.co.jp/akiyabank/gifu/nakatsugawa/
中古住宅購入のメリットは、生活に必要な、水道・トイレ・電気・温水ボイラーなどが付属し、「すぐ使い」できることで、実は、新築したり、自分で家を建てると、そうした付帯設備の累積が、あっというまに数百万円に達してしまい、例え300万円出しても、設備の揃った中古住宅を購入する方が、圧倒的に有利である。
私は、完全な林野を自分で拓いて、自分でキットハウスの家を建て、自分で浄化槽や井戸や付帯設備を作ったので、それが、どれほど大変で、金がかかるものか思い知らされている。
まずは、林の木の根を引っこ抜くだけで、大変な仕事なのだ。私の場合は、とりあえず寝泊まり可能なスーパーハウスを拠点に、100本以上をチェーンブロックで引き抜いた。さらに、家の基礎作りだけでも大仕事で1年以上もの時間がかかる。家が沈まないようにするためだ。
だから、それらの条件の揃った中古住宅は魅力的である。
ただし、本当に便利で役に立つ中古住宅は、持ち主も簡単には手放さず、親族や知人に譲ることが多いので、売りに出されるような住宅は、売りたくなるような何らかの理由があると考えるべきである。
安く売りに出す最大の理由は「不便」である。車がなければ、どうすることもできない場所にあることだ。
老いたり、怪我をして歩けなくなり、運転できなくなったとき、本当に、どうすることもできなくなるので、その不安感から売りに出すと思うのが自然だ。
中津川市の500万円以下の中古住宅の場合、住宅そのものがハズレである場合は少ないが、我が家のように、一日4本のバス便しかない(昔は8本あった)とか、バス停まで歩いて1時間以上とかのケースは非常に多い。
だから、土地も家も嘘のように安いのだ。ちなみに我が家の土地の実売価格は、坪5000円程度だ。
それでも、田舎暮らしの大原則である「地域での共同体」が成立するような関係があれば、助け合いながらなんとかなる。
だが、私の住む別荘地では、住人は、よその街で住めなくなったような悪事(傷害)を働いた者とか、不倫で家を追い出された自分勝手な男とかが非常に多くて、共同体を作り出せるような人間関係ではなく、基本的に地元での信頼関係はない。
だから、私は昔から、過疎の田舎に住むならば、友人関係のある最低三家族、可能なら五家族くらいが、まとまって同じ場所に移住すべきだと書いてきた。
それなら、全体を一つの家族と考えて、助け合い共同体が成立するのだ。
共同体が成立しないと何が困るかというと、大雪後の除雪とか、熊や猪の獣害対策などで、バラバラの人間関係だと、意思統一ができなくて困ることが多い。
また病気や怪我での車利用も、助けを請う相手がいないと困る。
そんな人間関係の確保できないときは、徒歩30分以内にスーパーやコンビニ、ドラッグストアがあることが大前提である。
売り出された家の解説には、そんな情報は含まれていない。スーパーが遠いことがバレては困るからだ。だから、自分で現地に行って確かめねばならない。
それから、可能ならば、土地に畑が付随しているか、開墾して作れることが重要だ。
わずか30坪ほどの畑があれば、連作障害のない大根やネギなど、3月~11月くらいまで作って利用できる。馬鈴薯や甘藷も作れる。
家庭菜園は、田舎暮らしの大切な娯楽の一つである。
それから、最近の過疎地には、車で30分程度でスーパー銭湯温泉があることが多い。中津川もたくさんあり、600円程度の料金で、サウナや温泉に心ゆくまで浸かれる。
わが中津川市でいえば、中古住宅を購入する目安として、下呂駅と中津川駅を結ぶ国道256号線に、徒歩で30分以内に出られることが必要だ。それなら運転できなくなっても、ある程度安心だ。
国道沿いに、ほぼ、あらゆる生活必需品店があるし、バスで「オンボイ湯」日帰り温泉に出かけることができる。名古屋に出るのも容易だ。バス便は日15本くらいある。
256号まで徒歩1時間以上かかるような別荘地は、どんな素晴らしい家でも遠慮した方がいい。
それから、家を自作しようと志す上級者向けの助言もしておきたい。
嘘のように安い土地、(路線価が平米1000円、実売、坪5000円程度)がゴロゴロしていて、自由に購入できて、おまけに中津川市では土地計画上の障壁もほとんどない。
だが、そこに自分で家を建てて住むハードルはかなり高い。
まずは、家を建てるために、地盤を平坦に均し、1メートルおきの格子状に穴を開けて、セメントなど粉のままで数キロずつ入れて半年放置し、雨で地盤が締まってゆくのを待つ。一年も待てば十分だ。これを怠ると、完成後に家全体が、いびつに沈降することになる。
家の基礎になる部分を掘り下げて、鉄パイプを1メートルおきに1.5メートルほど打ち込んで、数十センチほど頭を出す。グリ石を並べ、捨てコンを打つ。
平坦にしたら仮枠を置いて鉄筋を組む。ここで基礎コンクリートを打ち込むのだが、自分でやるときは、もの凄い重労働なので、個人用ミキサーを使うしかない。
それからコンクリアンカーを打ち込んで、家の基礎を作って接続する。
私の場合は、山の斜面に土地を自分で造成したのだが、地滑りを起こさないように20センチの土留めコンクリート壁を作った。これがもの凄い重労働だった。
キットハウスを組み立てて置いただけで、基礎とは接続していない。
親和建設のログキットハウスを150万円ほどで購入したが、これは立派な木材基礎が付随していて、地面に置くだけになっている。
https://www.shinwa-m.com/logkit/
これで家は簡単にできるが、問題は、その後だ。まず飲料水を確保しなければならないが、山の中では井戸を掘るしかないので、造園屋に20万円で浅井戸を作ってもらった。
通常は、50万円程度出せば、安全な深井戸が確保できる。
公共水道の分担金は、100万円近く取られる場合があるので、井戸が良い。
井戸ポンプを取り付け、家に配管し、台所などを作った。
風呂は中古のログハウスを20万円で建てて、10万円の灯油温水ボイラーを設置した。
井戸の水質は、トリウム鉱山が近いためか、トリウム系列のスペクトルが現れたので、飲料用には、安いペット水を利用している。風呂はトロン温泉だ。
一番、問題になるのはトイレだ。一番簡単なのは、中古の農業用1トンタンクを購入して、上にトイレを作り、汲み取りボットン式にするのが簡単だが、私の場合は、浄化槽を自作し、EM菌によって永久に汲み取り不要の完全自己完結式トイレを作った。
排水は畑に流している。悪臭も皆無だ。
電気配線も、入り口までは電力会社が設置してくれるが、屋内用は電気屋に頼んで7万円で電柱と配電盤を作ってもらった。内部は自分で配線した。
これだけの手間で、ざっと200万円くらいはかかっていると思う。
したがって、キットハウスが安くとも、中古別荘を購入した方が、はるかに安く上がる。ただ、私は自分で何でも作ってみたかっただけだ。
なお、太陽光パネルによる自家発電も模索したが、これは大失敗した。夜間用の蓄電池の寿命が短すぎて、上手に機能しなかった。
結局、結論からいうと、自作家屋は、中古家屋と同じ性能で、倍以上の金がかかる。
だから、300万円程度の土地付き中古家屋が一番リーズナブルだ。他に、300坪の農地を購入できれば、自給自足が可能になる。
なお、金が有り余っていて、新築する場合は、必ず地元の業者を選ぶこと。大都会の業者を選んだら、土地の事情を知らないのでとんでもないことになる。
近所の一色というところで、名古屋の業者が建て売り住宅を作ったが、なんと高床式で床下が吹き抜けだった。当地での吹き抜け家屋は、尋常な寒さではなく居住不適住居になってしまう。
購入者は、床下をベニヤで密封することも知らないようなので、寒さで体を壊してしまうだろう。北海道に匹敵する寒気のある当地では、床下開放は厳禁なのだ。
こういう欠陥物件を掴まされないように予備知識を持っていた方がよい。
私が中津川市に移住して、何が大変だったかというと、それは冬期の凍結である。
最初のうちは知識がなかったので、一晩で8カ所も水道管を凍結破裂させたことがあった。
保温資材を巻き付ければ解決すると思い込んでいたが、マイナス6度以下では何の役にも立たない。破裂部品の交換の邪魔になるだけだ。
配管も水抜きを考慮していなかったので、ほぼ全部作り替える羽目になった。
極寒地での水仕舞いは、特別の知識が必要になる。水抜きやチョロ出しで対応するのだが、移住後10年を経ても凍結破裂が続いた。
自分の経験的自信の脆さを思い知らされた。僻地暮らしは凍結との戦いだと覚悟した方がいい。
もし金に余裕があれば、マイナス10度にもなる土地では、家の床下を掘り下げて「オンドル」を設置することを考えた方がいい。オンドルは、床下に薪ストーブを置くイメージでいい。もちろん、吹き抜けは禁止、入り込んで薪を燃せるスペースを最初に作る。これなら、本当に冬を暖かく過ごせて凍結も少なくなる。
現実には、そんなキレイゴトばかりでなく、田舎暮らしにつきもののデメリットも、たくさんあるんだよと警鐘を鳴らす人も出てきている。
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確かに、仕事と勤務の区分がつきにくくなり、24時間緊張を強いられるという上の主張には説得力があり、会社勤めのライフサイクルのなかで、「仕事帰りの居酒屋で一杯」という習慣が与えてくれていた「心の潤い・癒やし」が失われることで生活にメリハリがつかなくなった……との苦しみも聞かれる。
だが、そんなことは、「居酒屋での癒やし」に匹敵する「自宅での癒やし」を新たに作り出せばいい話であって、ストレスに満ちた大都会でのライフスタイルから抜け出して、自然いっぱいの田舎暮らしを楽しんだ方が、長い人生にとっては大きなプラスに働くだろう。
テレワークの今後の展望だが、増えることはあっても、減ることはなさそうだ。これまではIT系、ソフトウェア技術者の独壇場だったテレワークの内容が、一般事務に大きく拡大していて、会議もリモートシステムに確実に変化している。
もし、コロナ禍が社会を変えるとすれば、真っ先に、リモートシステムの普及が挙げられるだろう。
さて、田舎暮らしの段取りだが、衣食住ライフスタイルの大部分が大都会とは大きく異なる。
まずは、大家や企業の管理する集合住宅から離れて、何もかも自分で管理しなければならない一軒家に移住するのが基本だ。
そして、目の前にスーパーやコンビニがあることは少ないので、食事は原則自炊、トイレや水も、自分で管理するのだが、厳冬期には特別の思慮が求められる。
一番簡単なのは、最寄りの駅(私で言えば中津川や恵那)に近い、アパートの一室を借りることで、2DKで月5万円も出せば、十分に便利で快適なアパートが借りられ、名古屋駅まで1時間で通勤できる。これなら、通勤が遠くなるだけですむ。
しかし、本格的移住を目指す人は、賃貸ではなく、別荘地に売り出されている土地付中古住宅を購入するのが適切である。
こうした中古別荘は、1980年代バブルで華々しく売り出されたもので、当時、40才代で購入した人々が、今では80才を過ぎて、不便な田舎暮らしに音を上げたり、死去したりして売りに出したものだが、信じられないほど安価に売られていて、300万円も出せば、立派な一軒家が購入できる。
https://realestate.yahoo.co.jp/used/house/search/05/21/21206/?ult_out=uh_gaw_0002&utm_source=ad_ryutsu&utm_medium=paid&utm_campaign=LS_gaw&utm_term=area&gclid=Cj0KCQiAgomBBhDXARIsAFNyUqPGofA0YHqES19X7zt1B2bl4MkT1lRbkifiwWVMn68AKxwp1SEmHy0aAqn2EALw_wcB&gclsrc=aw.ds
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中古住宅購入のメリットは、生活に必要な、水道・トイレ・電気・温水ボイラーなどが付属し、「すぐ使い」できることで、実は、新築したり、自分で家を建てると、そうした付帯設備の累積が、あっというまに数百万円に達してしまい、例え300万円出しても、設備の揃った中古住宅を購入する方が、圧倒的に有利である。
私は、完全な林野を自分で拓いて、自分でキットハウスの家を建て、自分で浄化槽や井戸や付帯設備を作ったので、それが、どれほど大変で、金がかかるものか思い知らされている。
まずは、林の木の根を引っこ抜くだけで、大変な仕事なのだ。私の場合は、とりあえず寝泊まり可能なスーパーハウスを拠点に、100本以上をチェーンブロックで引き抜いた。さらに、家の基礎作りだけでも大仕事で1年以上もの時間がかかる。家が沈まないようにするためだ。
だから、それらの条件の揃った中古住宅は魅力的である。
ただし、本当に便利で役に立つ中古住宅は、持ち主も簡単には手放さず、親族や知人に譲ることが多いので、売りに出されるような住宅は、売りたくなるような何らかの理由があると考えるべきである。
安く売りに出す最大の理由は「不便」である。車がなければ、どうすることもできない場所にあることだ。
老いたり、怪我をして歩けなくなり、運転できなくなったとき、本当に、どうすることもできなくなるので、その不安感から売りに出すと思うのが自然だ。
中津川市の500万円以下の中古住宅の場合、住宅そのものがハズレである場合は少ないが、我が家のように、一日4本のバス便しかない(昔は8本あった)とか、バス停まで歩いて1時間以上とかのケースは非常に多い。
だから、土地も家も嘘のように安いのだ。ちなみに我が家の土地の実売価格は、坪5000円程度だ。
それでも、田舎暮らしの大原則である「地域での共同体」が成立するような関係があれば、助け合いながらなんとかなる。
だが、私の住む別荘地では、住人は、よその街で住めなくなったような悪事(傷害)を働いた者とか、不倫で家を追い出された自分勝手な男とかが非常に多くて、共同体を作り出せるような人間関係ではなく、基本的に地元での信頼関係はない。
だから、私は昔から、過疎の田舎に住むならば、友人関係のある最低三家族、可能なら五家族くらいが、まとまって同じ場所に移住すべきだと書いてきた。
それなら、全体を一つの家族と考えて、助け合い共同体が成立するのだ。
共同体が成立しないと何が困るかというと、大雪後の除雪とか、熊や猪の獣害対策などで、バラバラの人間関係だと、意思統一ができなくて困ることが多い。
また病気や怪我での車利用も、助けを請う相手がいないと困る。
そんな人間関係の確保できないときは、徒歩30分以内にスーパーやコンビニ、ドラッグストアがあることが大前提である。
売り出された家の解説には、そんな情報は含まれていない。スーパーが遠いことがバレては困るからだ。だから、自分で現地に行って確かめねばならない。
それから、可能ならば、土地に畑が付随しているか、開墾して作れることが重要だ。
わずか30坪ほどの畑があれば、連作障害のない大根やネギなど、3月~11月くらいまで作って利用できる。馬鈴薯や甘藷も作れる。
家庭菜園は、田舎暮らしの大切な娯楽の一つである。
それから、最近の過疎地には、車で30分程度でスーパー銭湯温泉があることが多い。中津川もたくさんあり、600円程度の料金で、サウナや温泉に心ゆくまで浸かれる。
わが中津川市でいえば、中古住宅を購入する目安として、下呂駅と中津川駅を結ぶ国道256号線に、徒歩で30分以内に出られることが必要だ。それなら運転できなくなっても、ある程度安心だ。
国道沿いに、ほぼ、あらゆる生活必需品店があるし、バスで「オンボイ湯」日帰り温泉に出かけることができる。名古屋に出るのも容易だ。バス便は日15本くらいある。
256号まで徒歩1時間以上かかるような別荘地は、どんな素晴らしい家でも遠慮した方がいい。
それから、家を自作しようと志す上級者向けの助言もしておきたい。
嘘のように安い土地、(路線価が平米1000円、実売、坪5000円程度)がゴロゴロしていて、自由に購入できて、おまけに中津川市では土地計画上の障壁もほとんどない。
だが、そこに自分で家を建てて住むハードルはかなり高い。
まずは、家を建てるために、地盤を平坦に均し、1メートルおきの格子状に穴を開けて、セメントなど粉のままで数キロずつ入れて半年放置し、雨で地盤が締まってゆくのを待つ。一年も待てば十分だ。これを怠ると、完成後に家全体が、いびつに沈降することになる。
家の基礎になる部分を掘り下げて、鉄パイプを1メートルおきに1.5メートルほど打ち込んで、数十センチほど頭を出す。グリ石を並べ、捨てコンを打つ。
平坦にしたら仮枠を置いて鉄筋を組む。ここで基礎コンクリートを打ち込むのだが、自分でやるときは、もの凄い重労働なので、個人用ミキサーを使うしかない。
それからコンクリアンカーを打ち込んで、家の基礎を作って接続する。
私の場合は、山の斜面に土地を自分で造成したのだが、地滑りを起こさないように20センチの土留めコンクリート壁を作った。これがもの凄い重労働だった。
キットハウスを組み立てて置いただけで、基礎とは接続していない。
親和建設のログキットハウスを150万円ほどで購入したが、これは立派な木材基礎が付随していて、地面に置くだけになっている。
https://www.shinwa-m.com/logkit/
これで家は簡単にできるが、問題は、その後だ。まず飲料水を確保しなければならないが、山の中では井戸を掘るしかないので、造園屋に20万円で浅井戸を作ってもらった。
通常は、50万円程度出せば、安全な深井戸が確保できる。
公共水道の分担金は、100万円近く取られる場合があるので、井戸が良い。
井戸ポンプを取り付け、家に配管し、台所などを作った。
風呂は中古のログハウスを20万円で建てて、10万円の灯油温水ボイラーを設置した。
井戸の水質は、トリウム鉱山が近いためか、トリウム系列のスペクトルが現れたので、飲料用には、安いペット水を利用している。風呂はトロン温泉だ。
一番、問題になるのはトイレだ。一番簡単なのは、中古の農業用1トンタンクを購入して、上にトイレを作り、汲み取りボットン式にするのが簡単だが、私の場合は、浄化槽を自作し、EM菌によって永久に汲み取り不要の完全自己完結式トイレを作った。
排水は畑に流している。悪臭も皆無だ。
電気配線も、入り口までは電力会社が設置してくれるが、屋内用は電気屋に頼んで7万円で電柱と配電盤を作ってもらった。内部は自分で配線した。
これだけの手間で、ざっと200万円くらいはかかっていると思う。
したがって、キットハウスが安くとも、中古別荘を購入した方が、はるかに安く上がる。ただ、私は自分で何でも作ってみたかっただけだ。
なお、太陽光パネルによる自家発電も模索したが、これは大失敗した。夜間用の蓄電池の寿命が短すぎて、上手に機能しなかった。
結局、結論からいうと、自作家屋は、中古家屋と同じ性能で、倍以上の金がかかる。
だから、300万円程度の土地付き中古家屋が一番リーズナブルだ。他に、300坪の農地を購入できれば、自給自足が可能になる。
なお、金が有り余っていて、新築する場合は、必ず地元の業者を選ぶこと。大都会の業者を選んだら、土地の事情を知らないのでとんでもないことになる。
近所の一色というところで、名古屋の業者が建て売り住宅を作ったが、なんと高床式で床下が吹き抜けだった。当地での吹き抜け家屋は、尋常な寒さではなく居住不適住居になってしまう。
購入者は、床下をベニヤで密封することも知らないようなので、寒さで体を壊してしまうだろう。北海道に匹敵する寒気のある当地では、床下開放は厳禁なのだ。
こういう欠陥物件を掴まされないように予備知識を持っていた方がよい。
私が中津川市に移住して、何が大変だったかというと、それは冬期の凍結である。
最初のうちは知識がなかったので、一晩で8カ所も水道管を凍結破裂させたことがあった。
保温資材を巻き付ければ解決すると思い込んでいたが、マイナス6度以下では何の役にも立たない。破裂部品の交換の邪魔になるだけだ。
配管も水抜きを考慮していなかったので、ほぼ全部作り替える羽目になった。
極寒地での水仕舞いは、特別の知識が必要になる。水抜きやチョロ出しで対応するのだが、移住後10年を経ても凍結破裂が続いた。
自分の経験的自信の脆さを思い知らされた。僻地暮らしは凍結との戦いだと覚悟した方がいい。
もし金に余裕があれば、マイナス10度にもなる土地では、家の床下を掘り下げて「オンドル」を設置することを考えた方がいい。オンドルは、床下に薪ストーブを置くイメージでいい。もちろん、吹き抜けは禁止、入り込んで薪を燃せるスペースを最初に作る。これなら、本当に冬を暖かく過ごせて凍結も少なくなる。