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 放射線被曝の遺伝的影響と閾値について

2021年02月27日 | 未分類
 私は1980年頃、放射線取扱主任・核燃料取扱主任・原子炉主任技術者資格を取得する目的で、放射線に関する本格的な勉強を始めた。
 もちろん学校など行かず自習だけだが、当時の教科書は、通商産業研究社から出ていた6冊の解説書だった。これは第一種放管を対象にしたもので、当時の出題を網羅しているとの評判だった。

 今、ホコリだらけの書棚から引っ張り出した参考書は、4冊しか残っていない。一番肝心な「放射線生物学」(北畠隆・森田皓三)が消えている。
 このなかに、もの凄く大切な情報があった。
 それは、北畠隆による「被曝遺伝は7世代続く」というものだった。(一世代を30年と仮定すれば、実に210年ということになる)

 2011年のフクイチ事故後、ネット上には、「被曝による障害は一切遺伝しない」と決めつける核開発推進者の捏造情報が溢れていた。だが、「遺伝しない」のは一般的細胞のDNA・染色体の被曝損傷だけのことで、「生殖細胞被曝は7世代遺伝する可能性がある」のが真実である。

 「被曝は遺伝しない」説を声高に主張していた無知蒙昧な連中は、生殖細胞に関する知識が皆無だったのだ。一般の細胞のDNA損傷など問題ではない。それはテロメアを破壊し、細胞寿命を短くするが、次世代に引き継がれるものではない。
 ここでは、最初に、「旧動燃」シンクタンクの作った原子力事典から引用しよう。

 以下、日本の原子力村による公式見解、ATOMICAから抜粋引用(日本原子力機構=動燃の作った原子力百科事典)
 https://atomica.jaea.go.jp/

 https://atomica.jaea.go.jp/data/detail/dat_detail_09-02-03-04.html

 人の生殖細胞が放射線を受けると、そのために染色体の異常や遺伝子の突然変異が生じ、それが原因となって、親とは違った形質が子孫に出現し、子孫の身体的または生理的な形質や機能に何等かの影響が発現してくることがある。

 これが遺伝的影響である。「子孫に伝えられていく」という意味で「経世代的影響」ともいわれる。被ばくした人の生殖細胞以外の細胞の遺伝物質に生ずる影響、例えば、血液のリンパ球の染色体異常や突然変異も「遺伝(学)的影響」と呼ばれることがあるが、これらは子孫に伝えられない。遺伝的影響のリスクは国連科学委員会などが推定している。 2001年03月   

1.放射線の遺伝的影響

 1927年にアメリカの遺伝学者H.マラー(Hermann Joseph Muller)は、ショウジョウバエにエックス線を当てると羽根の短い個体や目の色の変わった個体などが生まれてくるなどの遺伝的影響が生ずることを見出し、これが放射線による「遺伝子突然変異」であることを明らかにした。

 放射線の遺伝的影響にはこのような遺伝子「突然変異」と、多数の遺伝子の集まった構造体である染色体の形や数に異常が生ずる「染色体異常」とがある。放射線によって遺伝子突然変異や染色体異常が、被ばく者の生殖細胞に生じ、それが子孫に伝えられてそのために身体の異常(奇形など)や疾病が発現するのが「放射線の遺伝的影響」である。

 なお、遺伝子や染色体の異常は、生殖細胞に限らず一般の体細胞でも生ずる。例えば、放射線に被ばくするとその人の末梢血リンパ球の染色体異常が生ずる。また、ムラサキツユクサに放射線を照射すると、その花の雄しべの毛の色が変化するが、これは雄しべの細胞の遺伝物質に変化が生じたためである。
 このように体細胞の遺伝物質に変化が起こったために発現する影響も「遺伝(学)的影響」ということがある。

2.遺伝病

 異常を生じた遺伝子や染色体が親から子に伝わることによって、子に生ずる病気や奇形を遺伝病、あるいは遺伝障害と呼ぶ。遺伝病には優性遺伝子による優性遺伝病、劣性遺伝子による劣性遺伝病、性染色体が関係していて男女により伝わり方の異なる伴性遺伝病があり、更に原因となる染色体異常が判っている遺伝病がある。優性遺伝病及びその疑いのあるものは2000種類以上、劣性遺伝病及びその疑いのあるものは約1250種類、伴性遺伝病及びその疑いのあるものが約230種類知られている。

 代表的な遺伝病の種類と発生頻度を 表1 に示してある。国連科学委員会(UNSCEAR)によると生きて産まれてくる赤ちゃん100人にのうち約10人に何等かの先天性の異常があり、そのうちの約1人は遺伝子の障害によるもの、残りは遺伝子と環境因子の両方が関係して異常が生じていると推定されている。

 遺伝病は、ダウン症のように早くから発現するものやハンチントン舞踏病のように青年期を過ぎてから発現するものなど、病気あるいは障害として現れてくる時期は様々である。

3.放射線による遺伝的影響のリスク

(1)遺伝的影響のリスクの推定方法
 ある一定量(単位線量、例えば1Gy)の放射線を親の生殖細胞が被ばくした時に、その後に生まれてくるその子孫に重篤な遺伝病(遺伝的疾患ともいう)が、どの程度発現するかを見積ったものが「放射線による遺伝的影響のリスク」である。

 人類集団での遺伝的影響は確認されていないので、遺伝的影響のリスクはマウスやサルなどの実験動物を用いた実験研究に基づいて推定されている。推定の方法には2つあって、その1つは自然に生じている遺伝病(表1参照)の発生頻度が、倍になるような放射線線量を求めてそれに基づいて行う方法(倍加線量法)と、線量効果関係を動物実験によって求め、これを人間に適用して行う方法(直接法)とがある。
 直接法は、マウスなどで実験的に得られた結果を人間に適用する際、パラメータの数値の不確実さが大きいので、倍加線量法が遺伝リスク推定法の主体となっている。

(2)遺伝的影響のリスク
 国連科学委員会(UNSCEAR)による遺伝的影響のリスク推定値を 表2 に示してある。同委員会は、自然発生率が倍になるような線量(倍加線量)を1Gyと見積っている。

 これによると、例えば、片方の親が1Gy被ばくする場合の重篤な遺伝的疾患の発生率は子(第1世代)では1万人当り18、それ以降の平衡状態においては1万人当り115人となる。

 遺伝的影響のうち約80%は、優性突然変異とX染色体 突然変異によるものであり、そのうち約15%が最初の2世代のうちに発現する。
 劣性突然変異は最初の2〜3世代では殆ど影響しないが、その後の世代に徐々に遺伝的障害が蓄積し、発現する。

 一方、糖尿病などの、人の病気の多くは環境要因と遺伝的要因とが複合して発現しており、これを「多因子性疾患」と呼んでいる。
 多因子性疾患が、放射線による遺伝的影響としてどの程度増えるかは現時点ではまだ見積られていない。人間での直接的なデータとしては、広島・長崎の原爆被ばく者子孫のデータが唯一のものであるが、現在までのところ遺伝的影響は観察されていない。

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 引用以上

 ここで言っていることは、生殖細胞(男子は睾丸の精原細胞・女子は卵巣の卵母細胞)を被曝させられ、染色体上に折りたたまれたDNAが損傷した場合、奇形を発現する。
 ただし、染色体異常による奇形は、見えるものと見えないものがあり、外見上の奇形児は、ごくわずかであり、大半が外から「見えない」器質的異常を引き起こす。
 DNAと染色体の関係
 https://www.hamajima.co.jp/bio/2015/01/22/dna%E3%81%AF%E6%9F%93%E8%89%B2%E4%BD%93%E3%81%AE%E4%B8%AD%E3%81%A7%E9%81%A9%E5%BD%93%E3%81%AB%E6%8A%98%E3%82%8A%E3%81%9F%E3%81%9F%E3%81%BE%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B/

 当時、我々が学んだ被曝遺伝障害は、染色体が二重に絡まった螺旋構造をしており、電離放射線がヒットしても、片方だけの損傷の場合は、対側の染色体をコピーして、ただちに修復される。
 しかし、一対の染色体上のDNAが同時にヒット(ダブルヒット)した場合は、もう、同じ細胞には戻れず、「誤修復」を起こして、細胞は病変を起こす。というものだった。

 これを詳しく解説してくれている京大原子炉研の解説がある。

  放射線䛾継世代(遺伝的)影響 研究の現状と問題点
核被害者次世代の人権を考える 振津かつみ
医薬基盤健康栄養研究所 2017年11月12日 東京 世界䛾核被害に関する研究成果報告会
   http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/KKSGI/furitsu.pdf

 非常に画像グラフが多く、テキスト抽出で説明しにくいため、本文は上のリンクを参照していただきたい。
 重要な資料を以下にコピーする。表現が不親切で、分かりにくいが、チェルノブイリ事故の場合、生殖腺被曝を受けた二世代目に癌や白血病が多発したことを示す。
 詳しいメカニズムは、上のリンクを読めば分かる。

 rosiaiden.jpg


iden02.jpg



  実は、1980年代から、世界原子力産業を代表するGEやWH、アレバ社などが、原子力発電を正当化する目的で、都合の悪い理論やデータを力任せに隠蔽捏造するようになった。
 アレバ社などは息のかかった学者をICRP・IAEA・WHOなどに送り込み、「被曝閾値論」=LNT仮説をでっちあげて、「ある程度以下の被曝に実害はない」という認識を国際機関で強要するようになった。

 原発は、事故のない日常的な運転でも、ある程度の放射能を外部にまき散らすことを避けられない。もしも、閾値が存在せず、被曝量に応じた実害が出ることが真実なら、世界中の原発が例え、事故を起こさなくとも、絶えず人々を被曝させて被害を与え続けていることになるから、「一定量以下の被曝には害はない」という屁理屈は、原子力産業の命運にとって実に都合の良い、絶対的な論理である。
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%8E%E7%B7%9A%E9%87%8F%E8%A2%AB%E6%9B%9D%E5%95%8F%E9%A1%8C

 ICRP内部の、真面目な研究者たちは、この「閾値論」の導入に激しく抵抗し、どんなに小さな被曝であっても、量に応じて、それなりの実害が発生するという理論を守ろうとしたが、もし、それが真実なら、どんな小さな被害も受けたくないという人間感情から、世界中の原発が運転できなくなってしまうのだ。
 そこで日本を含む、世界中の核開発国家が、健康被害の正当化のために「閾値論」=LNT仮説に固執し、大々的に宣伝し、人々を欺すことで原発の日常的な放射能放出を正当化することになった。

 原子炉は、完全な密封系ではない。沸騰水型では80気圧の蒸気をタービンに送り、巨大な煙突から外部に放出している。
 原子炉では、燃料被覆管にクリープやピンホールが生じて内部の希ガス類、クリプトン85・キセノン133・ヨウ素131などが、絶えず蒸気に漏れ出して環境を汚染しているのだ。
 このために、原発周辺では、必ずといっていいほど、白血病罹患率が上がり、癌や心臓病の発症率も上がる。泊原発の地元、泊村では、心不全死亡が全国平均の4.4倍になっている。
 http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-340.html
 http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-342.html
 http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-345.html
 http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-347.html
 http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-349.html
 http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-351.html

 原発推進側は、「閾値論」で、どんな屁理屈を使っているかは、電事連の以下のリンクに詳しい。
 https://www.fepc.or.jp/nuclear/houshasen/eikyou/kakuteiteki/index.html

 ここでは、放射線による晩発性影響=確率的影響には閾値が存在せず、確定的影響(直接被曝)には100ミリシーベルトという閾値があり、それ以下の被曝では障害は起きないと主張している。
 だが、これも真っ赤なウソだ。そんなに安全を強調したいなら、自分の子供や孫、近親者に100ミリを被曝させてみればいい。この屁理屈を主張している誰一人、恐ろしい結果を知っているから、そんなことは絶対にやらせない。

 物理学も、人体の生物学的本質にも、「閾値」などという虚構は存在できない連続的なものである。直接被曝影響にせよ、晩発性影響にせよ、閾値などという原発側にだけ都合の良い現象など完全な嘘である。
 それは。「あらゆる被曝は、その量に応じた害が生じる」という真理だけが唯一の真実である。

 だが、原発運営の都合、医療上の都合などで屁理屈が並べ立てられ、真実が隠蔽され、彼らに都合の良い嘘がまかり通ってゆく。

 一般的なガンマ線被曝でも、生殖細胞だけ避けて通るような放射線は存在しない。だから、被曝というものは、何世代も遺伝的に伝播してゆくものだ。
 「100ミリシーベルトの閾値以下なら安全」という屁理屈が、どれほど悪質なデマかは、以下のリンク先に述べられている。

 https://www.rerf.or.jp/programs/roadmap/health_effects/uteroexp/physment/

 ここでは、胎児が0.005グレイ=5ミリシーベルト被曝すると、4.4%に重度知的障害などの被曝影響が現れることが、広島長崎のデータから明記されている。

 また低線量被曝の危険性を警鐘する研究者が多くなっている。
 https://hodanren.doc-net.or.jp/iryoukankei/seisaku-kaisetu/140225hibaku.html

 だが、これらの研究も、外部からのガンマ線被曝だけを対象にしており、実は、呼気や飲食を通じて体内に取り込まれる放射能内部被曝は、外部被曝の1000倍もの危険性があると最高レベルの被曝研究者が指摘している。
 http://www.e22.com/atom/page08.htm

 「100ミリシーベルト以下の被曝は安全」というのは、原発事故を想定した原発側の悪質なデマである。ICRP・IAEAは原発推進側に乗っ取られている。
 私の言うことはデマだというネット上での評判があるが、実はデマは、そういう風評を流布している原子力産業そのものなのだ。

 すでに、これまでの長い核開発の歴史のなかで、ICRPが推奨する、一人年間1ミリシーベルト以下にするという規制、安倍政権が定めた、一人年間20ミリシーベルトまで許容するという基準が、どのような恐ろしいものか何度も書いてきた。
 http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/etc/13-10-3Nitiben.pdf

 上のリンクで、ICRP2007による年間1ミリシーベルト被曝によるリスク係数は、日本人1.3億人が1ミリシーベルトを被曝すると、年間8000名の確率被曝死者(癌・白血病)が出ると説明していて、これを安倍政権が導入した年間20ミリシーベルトを全員が被曝すると、実に16万人が死亡するという結果になる。
 これでは、安倍晋三による日本国民ジェノサイドといっても過言ではない。

 だから、私は原子力産業と自民党、安倍晋三は、ヒトラー・スターリンにも匹敵する歴史的な殺戮者であると断じている。

 原子力産業は、「閾値論」の嘘が暴かれた瞬間に、その生命を失う。もう日本には二度と原発を作れなくなる。
 人々は、ほんのわずかであっても被害が及ぶなら、それを絶対に許さない。
 また、被曝による遺伝子障害は7世代200年以上続く。子々孫々に至るまで、被曝の影響が遺伝するのだ。
 これがわかっていて、どうして核開発、原発を許すことができようか!