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精神科医師のブログ。
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地域住民の救急受診を断るケース

2012年09月11日 | Weblog
当院で救急外来の受診を断られて他の病院にくようにといわれたという地域住民からの苦情があったという。

安曇総合病院は医師の1人当直とはいえ、夜間休日も看護師と臨床検査と放射線のスタッフも当直している。
高度なインターベンションができる3次医療機関ではないが患者さんや家族の判断や、救急隊が現場や車内でできること、診療所よりは出来ることははるかにたくさんあるので専門外とはいえ診察もせずに受診を断ることは合理的ではない。

ただし一刻も早い高度のインターベンションが必要な多発外傷や頭部外傷、脳卒中(tPAや穿頭術が必要な可能性がある)は3次医療機関に救急隊がトリアージして行くプロトコールとなっている。それは患者さんの利益にかなうことだ(近くの病院でみてもらえず不本意かもしれないが)
中途半端に途中に2次救急病院に立ち寄ってもたつくことインターベンションのゴールデンタイムを失ってはいけない。
そのあたりは救急隊がトリアージするがバイタルが揺れているような場合は途中で立ち寄ってルートキープ、大量補液、薬剤投与などは行うこともある。



地域住民も救急外来は夜間外来ではなく翌日まで放置しておけば悪化したり急変する可能性のある疾患を除外して最低限の処置をおこなう場所であることを承知しておく必要があるだろう。

結局医療ニーズと医療技術のマッチングの問題なのだが、これは単一の医療機関で解決はできない。
当院の規模では専任のERチームをつくることは難しいし、すべての疾患をみることはできない。
高度なインターベンションもできず地域の最後の砦で原則断らないという方針の病院でもない。
しかし地域の急患で当院でみるべきケースをみられないことはあってはならない。

救急外来の業務のレベルアップを図るために、救急外来にでる医師は救急外来の業務に専念できるように翌日は休める体制をつくり、情報を共有し、ケースカンファや勉強会などへの参加を義務付けるべきだろうと思う。
救急診療委員会を機能させ、電話でも断ったケースに関してその判断が正しかったのかきちんと分析し、その情報を公開するべきだと思う。

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