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精神科医師のブログ。
弱さを絆に地域を紡ぎ、コンヴィヴィアルな社会をつくりましょう。

「陽子の一日(南木佳士)」

2012年09月04日 | Weblog
文学界、2012年9月号に掲載された南木佳士の小説「陽子の一日」を読みました。

芥川賞作家の南木佳士の小説やエッセイは好きで学生時代からだいたい読んでいます。
疲れた気分の時に物悲しい音楽があうように、すこし鬱っぽい気分の時に読むと実にフィットします。



かつて私が佐久病院にいて、うつっぽくなり医局のソファでくたばっていたら南木佳士が前のソファにどっかと座って話をしてくださり、「底上げされた価値、世間虚仮」といった言葉を餞別としていただきました。

また針金で肺の模型をつくって胸部レントゲンの読み方を教えていただいたことも思い出されました。

「陽子の一日」では先輩医師である黒田が研修医にかかせて陽子に残した自らの病歴要約を中心に二人の人生が振り返られます。
いつものことですが南木佳士氏の小説は、小説なんだかルポなんだか自伝なんだかわかりません。
自宅に戻ると衛星放送の自然番組をみたり、泳いだり山に行ったり、実際にそういう生活をされているんだと思います。

老いの有様、地域との格闘、さまざまな医師の人生の交差・・。
私も南木佳士も勤務するモデルになった病院や地域にかつていたこともあり一つ一つの内容がリアルに迫ってきて引きこまれました。

しかしずっとポジティブに生きているお感じない人、医療者以外の人などはこの小説をどのように読みどのような感想をもつのでしょうかね?

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