リカバリー志向でいこう !  

精神科医師のブログ。
弱さを絆に地域を紡ぎ、コンヴィヴィアルな社会をつくりましょう。

ストレングスの視点を活かした就労支援グループワーク

2011年05月25日 | Weblog
リカバリー、レジリエンス、ストレングス(強み)というのは今日の精神科領域において支援の中心となる概念だ。

今日の就労支援は段階的に訓練して行くのではなく、本人の希望する職場の現場で直接的に支援を行うIPS (Individual Placement and Support) 方式が主流となりつつあり、病院の中にも食器洗浄やクリーニング場など障害就労の場も増えて、いろんな選択肢がでてきたことでディケアのメンバーも多くがそれぞれの形で就労に移行していっている。

一方、ディケアでは週1回、就労支援プログラムがおこなわれており、栄養士、薬剤師、人事課長(病院の)・・・などなどが持ち回りでテーマを決めてレクチャーやグループワークを行っている。
精神障害をもちながら就労をめざしている、あるいは一部就労をしている当事者(うつ病、双極性障害、統合失調症など)が対象だ。
段階的訓練方式のレクチャーやグループワーク中心のプログラム方式の就労支援では、なかなか実際の就労にはつながらないのではあるが、それなりに意味はある。

これまで自分が講師をつとめたときはレジリエンス概念を中心ととしてストレスマネジメントやメンタルヘルスを中心に話しをしてきた。
いつも同じではつまらないので今回はストレングスをテーマにしたグループワークにしてみた。

ストレングスとは「強み」のことだ。
出来ないことに目を向けるのではなく、出来ることに目を向ける。
持っていないものに目を向けるのではなく,持っているものに目を向ける。

時には価値の転換も起こる。

支援者も一緒になって、それぞれの人にストレングスを強みを健康、日常生活状況、経済状況、日中活動、社会的支援、レジャー趣味、その他などテーマごとにあけてもらった。



そのうえで何を希望するのか、過去に利用したストレングスはなにか、まだ利用していないストレングスは何か?とアセスメントを行った。いろんな意見が出た。

「プライドが低いことです。」・・・・これはスゴイ!
「実家が農業をやっていて農業ができること。」・・・・確かにそれは強い。
「山菜採りに行った」
「かつて銀行で働いていた。」
「断酒の必要性を理解している。」・・・・次は断酒しよう!
「家の近くにディケアと作業所があり、利用できる。」

ストレングスを知れば次にどのようなことができるのか見えてくる。

本当は働いている人がクラブハウス方式で集まれる場所があり、就労をしている当事者やこれから就労を目指す当事者がいっしょになって働き方を研究するグループワークができればいいなとおもっているのだが・・。
そしてそれは職場のメンタルヘルス向上にもかならずやつながるだろう。

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