リカバリー志向でいこう !  

精神科医師のブログ。
弱さを絆に地域を紡ぎ、コンヴィヴィアルな社会をつくりましょう。

病院がない?大北医療圏

2013年01月07日 | Weblog
ローカルタブロイド紙の恒例の新春対談の中に地元選出の宮澤敏文県議の驚愕の発言があった。

これまでさんざん述べてきたように院長と県議は安曇総合病院の老朽化した病棟の建て替えに計画にからめて地域医療再生基金という公的資金を用いてリニアック(放射線治療機器)を導入し、安曇総合病院を将来のがん拠点病院にしようと画策した。そしてどう考えても無理があるこの計画を秘密裏にそして強引におしすすめた。
その結果として本来急がれる耐震基準を満たさない病棟の建て替えの計画は遅れ、混乱を引き起こした挙句に院長が交代するという一種のスキャンダルとなった。


(大糸タイムス 2013年1月5日より)

その動きの中心人物であった地元選出の宮澤敏文県議が、今度は大北地域には「病院がない」という発言をした。

確かに大北地域には、がん治療からあらゆる救急医療まで全てを叶えられる病院はないかもしれない。
高度医療や超急性期医療は市立大町総合病院でも安曇総合病院では担えておらず、脳外科治療や緊急手術、心臓カテーテルインターベンション、がん放射線治療などは松本医療圏の病院に頼らざるをえない。
安曇野市や松本地域の基幹病院の医者に「大北には病院がないのか。ε-(ーдー)ハァ」といわれてしまうのは仕方がない面はある。

しかし安曇総合病院が自分の思い通りにならなかったからといって地元選出の宮澤県議が言っていい発言ではないと思う。
大北医療圏には安曇総合病院や市立大町総合病院という2つの病院があり、地域医療を守る努力を懸命にしている。
これは2つの病院の現場の職員をあまりに馬鹿にした発言であると思う。

その一方で、この対談の後半で県議は「県と県議でがん対策推進条例(仮称)をつくっています。地域完結医療として、大北は6万5000人と広域としては小さいわけですが、知事が大北は医療広域として残すという方向性をだしていただきました。大町病院と安曇病院の連携をしていくことを本気になって考えなくてはならないということを感じます。」と述べているのである。
「当地には病院はない」から高規格道路を作る必要があるといったその口でこのようなことをいう分裂ぶりである。

結局、無選挙で当選した宮澤県議のいう「病院」とは「自分の言うことを聞き、あらゆる高度医療ができ、職員は文句を言わずに働き、赤字にならない病院」なのだろう。

しかし病院は政治の道具ではないぞと言いたい。

このような政治家に利用されないように病院職員も地域住民ももっと賢くなる必要があるだろう。
医療ということにたいして病院から地域住民に情報を発信することが必要である。
まずは、この失言に対しては安曇総合病院と市立大町総合病院は病院として正式に抗議をすべきだろうと思う。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿