大学時代、生物学の講義で自由研究の宿題を出された。<o:p></o:p>
そこで僕は爪を題材にしようと思った。<o:p></o:p>
なぜかというと、僕は少年時代に爪に関して不思議な体験をしていたからだ。<o:p></o:p>
砂場で数人の仲間と共に遊んでいた時、僕はそのうちの一人にホークで右手の人差し指を刺されたことがあったのだ。<o:p></o:p>
彼はホークで砂をグサグサ刺していたのだが、そこに僕が不用意に手を伸ばしてしまったことが原因だった。<o:p></o:p>
刺さったホークを強引に引き抜き、みんなに見守られながら、自宅に戻り、傷の手当てをしてもらった。<o:p></o:p>
ここからが不思議な話である。<o:p></o:p>
消毒したおかげか、傷は化膿せず、痛みもしばらく経ってなくなり、傷跡も消えたが、数週間後、穴の開いた爪が生えてきたのである。<o:p></o:p>
とても驚いた。<o:p></o:p>
穴は数週間に渡り、爪の成長と共に、爪の先へと移動し、最後には消えたが、僕はレポートにその体験を書いたのだ。<o:p></o:p>
百科事典で調べたら、ホークが刺さった部分は「爪母基(そうぼき)」と呼ばれる部分で、ここで爪が作られる。<o:p></o:p>
爪は、骨ではなく、角質化した皮膚である。<o:p></o:p>
角質化したとは要するに細胞が死んだということである。<o:p></o:p>
こういうことを僕はレポートに書いて提出したのである。<o:p></o:p>
痛い体験だったが、こういうところで役立ってよかったと思った。<o:p></o:p>
ちなみに僕は統合失調症の寛解過程で「統合失調症者は社会全体にとって爪のような存在かな」と思ったことがある。<o:p></o:p>
でも今はそういうふうには思わない。<o:p></o:p>
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