玉川上水みどりといきもの会議

玉川上水の自然を生物多様性の観点でとらえ、そのよりよいあり方を模索し、発信します

新設された柵の意見交換(2023.5.1)

2023-09-02 13:21:45 | 記録
5月1日に小平の西部に新設された柵を見て、意見交換をしました。こちら
いつも第2日曜日に行っている観察会を今月は1日に行いました。それは小平の西に今年の1月に新しい柵が作られ、それがこれまでのものより高く、縦棒の間隔が狭く、我々自然観察をするものにとってははなはだ好ましくないので、これに関連した集まりにすることになったからです。私もこれを見て強い違和感を感じました。



 このことを問題だと感じた水口さんはじめ関係者8人は緑地事務所に説明を聞きに行きました。それでわかったのは建設局は「史跡玉川上水整備活用計画」(2009)に基づいて設置したの一点ばりだということです。そして繰り返し言ったのは、安全を重視したものにし、水道局と相談して決めたということです。そして予算は確保できたので、新小川橋から東に向けて久右衛門橋まで延長し、今年の夏頃には発注したいということでした。
 その後、4月24日に関係者が集まり、今後のことを話し合いました。

 当日は、玉川上水に1時集合としました。いつも数人でのんびり歩くのですが、今回は初めての人も含め24人が集まりました。
 自己紹介が終わって歩き出しました。ニセアカシアの花が咲いていました。「小平にアカシア通りと言ってこの木がある通りがありますが、正くはニセアカシア通りです」笑

 ツルウメモドキの花が咲いていたので説明しました。そのほかニガナ、キンランなどが咲いていましたが、全体に花はさほどありませんでした。

 小平監視所のところで、松山さんにこれより上流の水とこれより下流の水が違うことを説明してもらいました。


説明する松山さん

 天気予報では夕方から雨が降るということでしたが、1時過ぎから少しパラパラときました。
 監視所の近くで玉川上水の水面まで降りてみることができる小平小橋があるのでそこにおりました。

 新しくできた柵は斜めから見るといかにも黒々として植物を見るのも難しいし、強い威圧感がありました。


新しい柵で説明

 しばらく歩いてから私から説明をしました。
「この柵のほか、この辺りには4つのタイプの柵があります。


これがここから小金井の間に次のように配置されています。擬木横柵が広い範囲に作られています。東がわの右岸に「金属低い」が、ところどころに「金属細い」が。小金井の右岸に「金属高い」があります。新しい黒い柵が西側の左岸(黒い線)に作られた訳ですが、これが久右衛門橋まで延長したら長いのでとんでもないことになりますね。


現在の久右衛門橋のところにある「金属細い」はまだ新しく見えるし、威圧感はないので取り替えて欲しくないです。これら四つの柵のどれと比べてもこの新しい柵は良くないものです」

 水口さんから4月19日の緑地事務所での話し合いの報告がありました。その要点は次の通りです。
「この黒い柵は平成28年から杉並の方から始め、今後統一していく。規格は整備計画に書いてある。幅はJIS規格。予算がついたので新小川橋から久右衛門橋まで延長する。」

 リーさんからは、
「これまで説明会があって市民の意見を聞きますが、聞くだけで実行されず、説明会をしたことがアリバイのようにされている。
所長は強引には設置をしないと言っていたから、対立ではなく協働を表明してくれたと思っている。今までにはありえなかったことなので、それを信じて働きかけたい。」
という発言がありました。

それから参加者から意見を聞きました。以下は要点です。

- 小学生に玉川上水のことを教えているが、この柵だと高すぎるし、縦棒の間隔が狭くて観察がしにくいのでとても困る。
- 場所により事情が違い、玉川上水の意味や機能も違うのに、同じ柵で統一するのは良くない。この柵は人々と玉川上水を隔離する感じがする。
- 玉川上水沿いには、柵と法面が近接して危険な箇所もある。そこを放置して、危険性が低いところに転落防止柵を付けるのはおかしい。まず水路の状況の調査をきちんとしてほしい。柵を付ける目的をよく考えてほしい。
- 小平市では玉川上水を訪れる人を誘致して観光に利用しようという動きもある。そのためにはこのような柵はマイナスとなるので良くない。市からも意見を言ってもらいたい。
- 行政が、予算がついたから実施するということがよくあるが、必要ないと思われるものも多い。もっと必要なことに使って欲しい。この柵もその例だと思う。
- 同じ緑地事務所が作った井の頭公園の柵は低い。足元に低い柵を作っていてこちらに高い柵を作るのは矛盾している。
- この柵は単価が安いのではないか。もっと高くて細い金属のような目立たないものにして距離は短くした方がよい。
- 子どもに意見を聞いてみたらどうだろうか。子どもが立ち入って危険ということなら、子どもに立ち入り防止のポスターを描いてもらって、柵に掲示するなどしたらどうか。三鷹には上の横棒が回転して立ち入りができないようにしたものもある。
- 本当に危険な場所には設置しないで、危険とも思えないところに設置している。玉川上水の調査をきちんとしてから設置場所を決めて欲しい。
- 柵というより塀のようだ。

その上で私から追加説明をしました。
「この柵はご覧のようにとても圧迫感がありますが、これを設置した緑地事務所は玉川上水整備計画に基づいて作ったと言いますが、その計画を見ると、安全のことだけでなく、重要なポイントが三つあるとしています。その三つとは1)玉川上水を見せる、2)玉川上水への理解を深める、3)より多くの人が安全・快適に利用し、親しめるようにする、です。この柵はこのどれにも反します。
 またこの整備計画は2009年に水道局が作ったものですが、この計画は2007年の「史跡玉川上水保存管理計画」に則っています。その中には以下のような文章があります。
『玉川上水は、貴重な土木施設・遺構であると同時に、水と緑の空間として都民に親しまれ、学校教材にも取り上げられるなど、郷土史を学ぶ上でも非常に重要なものと位置付けられている。しかし、近年では水路の法面崩壊、法面崩壊の要因となる樹木の巨木化等、維持管理上の課題が生じている。
また、玉川上水が 9 市 3 区を通過し、維持管理等に関係する団体も多いことから、保存管理を適切に推進していくためには、保存管理に関して関係機関が共通認識を持ち、 取組を推進することが必要である。本計画は、史跡「玉川上水」を適切に保存管理し、後世に継承していくための指針として策定されるものである。さらに、国民の財産である史跡「玉川上水」 について、多くの市民が理解し、活用できるよう、保存管理の方針・方法や整備活用の方向性について明らかにすることを目的とする』
これはとてもよく書かれています。もしこれが実行されていたらこういう柵にはならないはずです。」

それからアンケートを書いてもらいましたが、紙が雨に濡れて書きにくいので、後で送るという人もいました。こちらあ

 最後に挨拶を兼ねてまとめました。
「今日、色々意見をもらいありがとうございました。予算がついたという状況で中止や大幅な変更は難しいかもしれませんが、多くの市民がこの柵には悪印象を受け、これを延長して欲しくないこと、また決定のしかたにも納得できないことが確認できたので、これを背景にして、この決定の問題点を指摘し、強引には進めないように申し入れをします。その場合、小平市の意向も聞きたいし、水道局の考えも確認したいと思います」

として14:40くらいに解散としました。

* 写真の多くは豊口さんによるものです。

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