玉川上水みどりといきもの会議

玉川上水の自然を生物多様性の観点でとらえ、そのよりよいあり方を模索し、発信します

フクロウの食べ物調べ 検出物

2023-01-29 21:14:18 | イベント
資料としてネズミ、モグラ、鳥の骨の一覧を配りました。



これに対応する形で今回の検出物を並べてみました。ただし尺骨(つまり前肢の下方)の鳥は未確認だったが、爪が検出されたので、ここに並べました。


 検出物の数を数えたら次のようになりました。


 これから左右の多い方を取り上げます。そうするとアカネズミ8、ハタネズミ10、ヒミズ9、モグラ1となります。この巣箱はK3という番号で、ここではアカネズミとハタネズミがほぼ半数食べられていたということになります。
 こういうサンプルが7個送られてきたので、残りをこれから分析します。

このほか、次のようなものが出てきました。おそらくフクロウと思われる焦茶色の羽毛のほか、黄色いものがありました。これは違う鳥だと思います。


 ネット検索したらカワラヒワの羽毛がそっくりでした。

カワラヒワの羽毛(ネット情報)

 そのほか注目されるものとして次のものがありました。ヒミズの上腕骨で、ヒミズというのはモグラの仲間でモグラよりはずっと小さい動物です。これが16本もありました。


 また非常に特殊なものとしてモグラの鎌状骨が2本検出されました。モグラは土を掘るために腕が非常に良く発達しており、掌(てのひら)も驚くほど大きいです。その掌を野球のキャッチャーミットに例えると、親指の外側にもう一つ骨がついていて、それが鎌あるいはブーメランのような形をしています。



 これの妙味は、土が柔らかいときは負荷が小さいので、そのまま広い面積の土を掘れますが、土が硬いと負荷が非常に大きくなってモグラはそれを後ろに運べません。そのとき、この鎌状骨が自然に折れ曲がって掘る土の量が減って、その分の負荷が小さくなるというわけです。実にうまくできているます。これはいわばモグラの「第6の指」といえます。ただ不思議なことに掌そのものは出てきませんでした。
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フクロウの食べ物調べ 13

2023-01-29 13:47:39 | イベント
渡したフクロウ人形です。


紙粘土と書きましたが、それでもできるのですが正確には石粉粘土で、紙粘土よりは重く、固まると石膏のように硬くなります。手でこねて球にした後、顔の部分を親指で押して凹ませます。それで出来上がりですが、安定させるために底を平らにしておきましょう。乾いたら、顔の部分に色鉛筆でハート型の輪郭を描き、顔の下の方に目を描きます。その後オレンジ色でクチバシを描きます。あとは胸の部分に縦長の点をちょんちょんとつけ、太めのペンに水をたっぷり含ませて、焦茶色でザクザクっと頭、背中、両側を塗り、乾かせば完成です。
 たくさん並べたら、声が聞こえてきそうでした。

 実はこれを配った後に、こんなことがありました。私がサンプルの片付けをしていたら、内気そうな小学一年生くらいの女の子がおずおずと、
「先生」
と話しかけてきました。
「ん?」
「あのお、私の妹にもあげたいので、これをもう一つもらえませんか?」
「ああ、いいよ」
と言ったら、緊張していた顔がほころんで、にっこり笑いました。
 もしかしたら、この子は大人、それも男の人に何かをお願いするという体験は初めてだったのかもしれません。緊張した表情から私はそう察しました。その子は、
「これは私が妹のために言わないといけない」
と考えたのだと思います。

 フクロウが残っていてよかったです。参加者が20人以上になるということだったので少し多めに作ってはいたのですが、どのくらい配ったかは知らなかったのです。もし残っていなったら、その顔が悲しいものになっていたはずで、そう思うと胸が痛くなります。
 そんな心の動きもありました。

 小さい子が多かったので、この単調な作業には飽きてしまうだろうと心配していましたが、その心配は全く外れました。感想文を読むと、宝探しのように面白かったようです。内容についてどのくらい理解したかはわかりませんが、なんとなく生き物の面白さ、それを調べることのおもしろさを感じてくれたような気がしました。そして、「学ぶことは楽しいということを伝える」、そして「生き物は遊びながら学ぶ」というモットーがある程度実現できたかなと思います。

参加者の感想は こちら

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フクロウの食べ物調べ 12

2023-01-29 11:11:07 | イベント
こうして大人も子供もフクロウの食べ物を調べるというなかなかできない体験をすることができました。そこで次のような「ミニ・博士号」を手渡すことにしました。




この子は素晴らしいスケッチをしていました。このミニ博士号のほか、フクロウの羽1枚と小さな紙粘土のフクロウ人形をプレゼントしました。



*写真は青木計意子さんによるものです。写真の公開は了解を得ています。
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フクロウの食べ物調べ 11

2023-01-29 11:08:30 | イベント
分析が終わり、時間も来たので、まとめのお話をしました。フクロウはネズミを食べる鳥で、そのためにほかの鳥にはないような体や行動をします。ところが人が林を切ってしまったので、住む場所がなくなり、それまで食べていたアカネズミがいなくなりました。でもハタネズミという別のネズミが住むようになってフクロウは食べ物を切り替えました。
 それでも牧場にはハタネズミがいたからよかったのですが、町になるとそういうネズミもいなくなるので、町にはフクロウがいなくなります。私は偶然、津田塾大学で死体を見つけましたが、この辺で鳥を調べている人に聞くと、私が死体を拾った頃からフクロウの鳴き声が聞こえなくなったそうです。つまり私が小平の最後のフクロウを拾ったということです。
 人が便利な生活をしようと開発すると、多くの野生動物が暮らせなくなり、苦しい気持ちになります。そうした中で一つ明るい話があります。
 青森県という北の方にあるところに弘前という町があり、リンゴをたくさん作っています。ところが農家の人が歳をとって大きなリンゴの木では農作業が大変になってきたので、大きな木を切って若い木を植えたんだそうです。そうしたら、困ったことにそれをハタネズミがかじるようになりました。そうなると木が枯れてしまい、大被害です。そこで農家の人はネズミを毒で殺すことにしました。ところが、少しは減ったものの、ネズミの被害は止みません。その時、弘前大学の東先生が、フクロウの巣を置いてフクロウを呼ぶ戻す計画を進めました。実はこの先生は私が東北大学で若い研究者だったときにまだ学生で、青森にある八甲田山の実験所にいて、私もそこに毎年行っていたので知り合いでした。ともかくその東先生の計画がうまくいって、フクロウが戻ってきてネズミをたくさん食べてくれたおかげで、リンゴの被害がなくなったのです。
 この例は、自然の仕組みをよく理解した研究者のアドバイスで、農業がうまくいった例となりました。だから私は、玉川上水にもついこの前までフクロウがいたのだから、また戻って来れるような良い自然になるように市民が努力したらいいと希望を持っています。


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フクロウの食べ物調べ 10

2023-01-29 10:25:52 | 5月の植物
八ヶ岳でネズミを捕獲した話をしましたが、その時、スライドでシャーマントラップの説明をしました。間のいいことに、久保さんがシャーマントラップの現物を持ってきておられて、どうなると入口が閉まるかの説明をしてくれました。


シャーマントラップの説明をする久保さん(中央)

その時に、男の子たちが寄ってきて、食い入るように見つめて
「それで、どうなると入口が閉まるの?」
と盛んに質問していました。
どうも男の子は捕まえることに関心が強いような気がします。


*写真は青木計意子さんによるものです。写真の公開は了解を得ています。

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