玉川上水みどりといきもの会議

玉川上水の自然を生物多様性の観点でとらえ、そのよりよいあり方を模索し、発信します

22.7.2 花にくる虫しらべ 2 室内でのまとめ

2022-07-02 20:34:50 | イベント
 皆さん、炎天下にもかかわらず熱心に観察してくださいました。オカトラノオともう一つの花を見てもらい、公民館に移動することにしました。

 そこで、今日の観察の説明をしました。そのために私は「教材」を準備していました。一つは昆虫の触覚です。それを子供につけてもらいました。

触覚をつけてもらう

 あとでこの「触覚」をつける子もいました。

 

「いろんな花があって、いろんな虫が来るわけですが、大きく分けると花には2タイプがあります。一つは皿型のもので、もう一つは筒型のものです。今日見たもらったオカトラノオは皿型のほうです。」

それから「複眼」とハエの口を模したものをマスクに付けました。

ハエの口

 それから息を吹くと紙の筒がビューンと伸びるおもちゃをチョウの口に見立てました。それをペットボトルで作った筒状の花に突っ込みました。

筒状の花を吸う蝶

「チョウはこういう口を持っているから蜜が吸えますが、ハエは舐める口なのでこういう花の蜜は吸えません」
「これはチョウやハチはどうぞ、でもハエやアブには意地悪をしているわけです。いろんな昆虫が来てくれた方が花粉を渡してもらうのにいいのに、なぜそんな意地悪をするのでしょうか」
「それには訳があって、いろいろな虫がくるのはいいけど、その虫は別の花に行く可能性が大きく、それでは花粉を確実に渡してもらえません。その点、チョウならチョウに限定すれば、そのチョウが同じ花に行ってくれる確率がずっと高くなる訳です。言ってみれば、皿型の方は安い一杯飲み屋、筒型の方は高級バーみたいなものです。一杯飲み屋は値段が安い分、お客さんにたくさん来てもらって売り上げにします。そういう商売もあるし、高級バーのように客の数は少ないけど、高いので商売が成り立つ商売もある訳です」

「酒は安いが客が多い」一杯飲み屋と「客は少ないが値段が高い」高級バー

 この説明は子供にはわからなかったような気がしますが、大人は笑顔で納得したようでした。

「いろいろな花がいていろいろな虫が来る訳ですが、そこには花が虫に来てもらうための工夫があり、その結果、花の形に応じて来る虫が違うというルールがあるようなのです」

 机の上に今日採集してきた昆虫をシャーレに入れて置きました。

シャーレに入れた昆虫

そしてルーペや小ったい顕微鏡でのぞいてもらいました。
「うわあ、でかい!」
「こうなってるんだ」
子供も大人も歓声を上げていました。

ルーペや顕微鏡でのぞく

 子供たちに調査の意味がどれだけわかったかはわかりませんが、それでも花の前で昆虫が来るのを待った体験が子供たちの心に何かを残してくれたらいいなと思います。テレビなどで豊富な情報が流れますが、そういう受け身の情報ではなく、自分自身で生き物のことを調べて自然のことを理解することが楽しいことだということに気づいてくれることを期待したいと思います。

* 写真の公開は了解を得ています。


 
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22.7.2 花にくる虫しらべ 1 野外観察

2022-07-02 18:39:21 | イベント
調べた結果は こちら
室内でのまとめは こちら
参加者の感想は こちら 


以下のようなチラシを準備しました。


 当日の朝、8時半に鷹野橋に集まり、うさぎ橋に移動して、9時に挨拶、説明をしました。
 挨拶では主催者「びちち」のリーさんから、趣旨、気をつけること、特に暑さ対策の説明があり、私は玉川上水の価値、今日のテーマである訪花昆虫の意義、記録の仕方などを説明しました。

落ちていたノウゼンカヅラで受粉の説明をする

ついでにジャノヒゲの花が咲いていたので、解説しました。

 それから歩き始めましたが、しばらくすると子供が何かを見つけたらしく、地面を指差しています。近づくとイヌの糞らしいものがありました。でもよく見るとそうではなさそうでした。というのはピンセットを取り出してバラすと甲虫の翅などが入っていたからです。ドッグフードを食べている犬は昆虫などまず食べません。それにそういう犬の糞はベトついていますが、これはパサついていました。私はタヌキの糞分析をしているので、夏になると昆虫が出てくることを知っています。そういうことからこれはタヌキの糞である可能性が大きいと思いました。

糞を調べる

 いずれにしても、興味があったのはその糞にきていた糞虫です。2匹いて、1匹はメスで名前はわかりませんでしたが、もう1匹はこの辺りによくいるコブマルエンマコガネではなく、クロマルエンマコガネでした。

 
コブマルエンマコガネ    クロマルエンマコガネ

 その後である子が樹液に来ている虫を採ってきました。ヨツボシオオキスイという長さ1cmくらいの光虫ですが、後で接写して拡大してみて驚きました。名前の通り、翅に4つホシ(点)があるのですが、ただ色が黄色だけでなく、象嵌(はめ込み)になっていて、黒っぽくザラザラした翅の中に半透明な宝石のような別物が埋め込まれたようになっていました。

ヨツボシオオキスイ

 こういうことをしていると先に進まないので、説明を終えて進むことにしました。ところがまたしばらく進むと、子供たちが集まっています。去年、ナラ枯れが起きたためにコナラの木が伐採されて、その切り株があります。そこに何かあったというので見ると、イヌザクラの種子でした。
「これはサクラのタネで、落ちただけではこんなにかたまっていないから、これは鳥がここで、糞をしたか、口から吐き出したものだよ。こうしてタネを運ぶんだよ」
 その先でまた切り株を囲んでいる子がいました。見るとメスのカブトムシの死骸で、バラバラになっていました。きっとカラスにでも食べられたのだと思います。

切り株にあったカブトムシの死骸

 子供たちは大人以上に自然の中から何かを見つけるのがうまいものですが、この時もそう思いました。「次に何があるかな?」と思ったのか、先を競って走りだす子もいました。例外なく男の子です。

 木陰を歩いたのですがそれでも30度を超えました。よく歩く道なのですが、いつもより長く感じました。

暑い中を歩く

ところどころ樹液の匂いがしました。カナブンを見つけてとろうとしましたが、この時はうまくいきませんでした。

虫を見つけてとろうとする子と見つめる子供たち

ようやく小川水衛所につき、そこで右岸に移って四阿(あずまや)で説明をしました。

四阿(あずまや)で説明

「この先は野草保護観察ゾーンといって明るい場所にはえる野草を戻すために上にある木を伐採したんです。今オカトラノオ という白い花が咲いているので、ここで観察をしてもらいます。花の前で10分間待って、昆虫がきたら時間と虫の名前を記録してください」

そうして家族ごとにオカトラノオ数本分をみてもらうことにしました。


「あっ、きたよ!」


「あそこにもいたよ』

ノカンゾウを見る家族

「よく見てね』

花と昆虫のスケッチ


* 写真の公開は了解を得ています。

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