先日紹介したDVD「KLUNKERZ」にすっかりやられちゃいました。ので、今日の僕のMTBライフの始まりを書こうかと思います。
 今から25年ぐらい前の話。当時、僕はBMXにぞっこんでした。
僕の行きつけのBMXショップは、日本初のMTBプロショップでもあったので、MTBはしょっちゅう見ていたのですが、「アレはオヤジの乗り物」と思っていて、乗ろうとも思いませんでした。
 その年のクリスマス前後、仲のいいBMXerから「今度MTBのツーリング・ミーティングがあるんだけど、一緒に行かない?自転車も貸すよ」と言われて、なぜだかその時は行ってみようかなと思いました。
 世田谷からクルマでわずか1時間ちょい。その場所は「田舎」、そして「自然」な場所でした。それだけでも驚き。
 集合場所の広場には、すでに先に到着していたMTBの人達がクルクル走り回ったりしていました。
 BMXer達はどちらかというと身なりも行動も「トッポイ」感じの人が多かったけど、MTBの人たちは「素朴」という雰囲気。なんか違う世界に来ちゃった感じがしました。
 軽く挨拶をしてから、走り始めました。
 砂利の浮いた林道に続き、けもの道(当時はシングルトラックなんて呼び名はしてなかった)に入っていきます。
 BMXに乗ることには自信がありました。日本タイトルも獲ったし、コーナーやジャンプのテクニックも負けないと思っていました。
 しかし、作られたコースではない、自然の道にBMXのテクニックだけではまったく不足なのがすぐに体感できました。
 ブレーキの使い方が悪く、急斜面では転げ落ち、コーナーではすべりまくる。何度転んだことか。なんかBMXは違う。
 昼をはさんでまた走り始めた頃から、だいぶブレーキのかけ方がわかってきて、そうすると視界も広がります。
 そんな状況のときに、ゆるい下りが数百メートル続く場所をライド。
 落ち葉が積もった道の上を走る浮遊感、微妙なコントロールを要求される緊張感、そして全身で受け止める風がまるでリズムを取るかのように歌って聞こえてきました。
 その新鮮な感覚を体験し、僕の目からウロコが100枚ぐらい落ちました。
それまでのMTBに対する偏見や、考えが180度変わりました。
 この感覚、以前にも味わったことがあるな、と考えたら、小学生のときに初めて補助輪無しの自転車に乗れたときに「うわあ!これさえあれば何処へでも行ける!」と、世界がグーンと広がった感覚を思い出し、まさにあの時と同じだ!と思いました。
 僕のMTBライフはこの瞬間に始まりました。
 大した距離ではありませんでしたが、十分に刺激的なライドを終え、MTBの人たちとおしゃべり。みんな熱い熱い!。BMXerも熱いヤツが多かったですがMTBも同じです。面白い人たちがいっぱいいるなあ、と。
 今はすばらしいハードウエアや、情報が簡単に入手できますが、それ以前に大切なのは、まずはペダルを漕ぎ出して走り出してみることだと思います。きっと歌う風が全身を包んでくれると思います。