ホリデイ現役添乗員日記

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添乗員が眠れない日:旅券盗難

2011-11-08 14:59:52 | ホリちゃんその他
ホリちゃんです。今、EU先進国でも、雇用不安や失業者の増加など、経済的にままならない状況の中、盗難事故や犯罪も増えていて、以前にもまして油断できない、気をつけなければいけないと考え、一筆書くことにしました。

ヨーロッパ旅行中、盗難にあうリスクは今に始まったことではないので、私たち添乗員は、出発前のお客様へのお電話で、必ず、パスポートだけは別格に扱うように言います。ハンドバッグやウェストポーチは狙われやすいので、首からかけて洋服の下に隠せるネックポーチやベルトの下に腹巻のように身につけるものを持って行って、パスポートは、必ずその中に入れ込んで管理すること! 決して、バッグやウェストポーチには入れないということを、ツアーに行ってからも念を押します。考えてみて下さい。ウェストポーチは、その中に貴重品をまとめて入れてますよという象徴みたいなものです。手から離して、置引きにあうリスクは減るとしても、強盗やスリの前には無力です。むしろ、ターゲットになりやすいのです。

しかし、日本で暮らしていると、治安が良いせいか、なかなか、頻繁にスリや置引きなどの盗難事故が起きるということを、臨場感をもって理解していただけないので、他人事として聞き流していて、まさか自分の身にふりかかって来るとは想像していない方が多いのです。そして、バッグにパスポートを入れ歩いて盗難に遭う方がいます。ホリちゃんは、日本では、滅多に警察へは行きません。行くのは運転免許の書き換えくらいのときだけです。しかし、ヨーロッパでは、何度警察に行ったことかわかりません。

実際、パスポートを盗難にあうと、再発行されるまでは日本に帰国できません。ただし、それには、裏技もあって、旅券に代わる「一時帰国証明書」の発行を願い出て、
OKになれば、帰れます。ただ、それも、土曜・日曜は大使館が休みだからできません。そして、平日でも、必ずこちらの要求が通るとは限りません。あくまでも、「お願い」するしか手段はありません。もし、その手続きをしようと思ったら、大変手間がかかります。まずは、地元の警察に届け出て、盗難証明書を作成しなければなりません。受付で待たされ、面倒な調書作成のために質問もたくさんされます。言葉のバリアのあるため、普通、お客様だけで用が足りることはまれで、添乗員が付きそうのが当たり前です。当然のことながら、その個人のお客様に付き合っている間は、グループ全体の面倒は見られません。盗難証明書に加えて、顔写真を撮りに行かなければなりませんから、どこへ行けば写真が撮れるかを調べなければなりません。それが、片付いたら、本人同行で、顔写真と、警察の盗難証明書、それに昔なら航空券、今ならEーチケットが必要です。何日の何便で帰国するかを立証するものとして、そのE-チケットを持参しないと駄目です。一通り、必要書類がそろったらいよいよ、その都市の大使館か領事館へ行って手続きします。まさに半日はかかる仕事です。

また、旅券の盗難は、ご本人も大変な目に遭うのと同時に、発行している外務省にとっても由々しき問題なのです。テロリストの手に渡ったり、偽造旅券にされて国際的犯罪に使われることをとても警戒しています。日本人は、麻薬売買やテロリストに関与していないので国際的信用度が高く、ビザ(入国許可証)なしに、パスポートだけで行ける国が多いのです。顔写真欄を偽造して日本人になりすませば、世界中行ける国の選択肢が豊富になります。だから、盗難にあった日本人のパスポートは一冊20万か30万で売れるとも聞きます。恐ろしいことです。得てして、そういう事件が大使館・領事館が休みになる週末に起きます。当然、添乗員が眠れない夜になります。週末の関係で、大使館で手続きができず、余分な滞在費が生じた場合は、海外旅行保険で処理するしかありませんが、保険に入ってなかったらアウトで全額自己負担となります。

何度も海外旅行に行ったけど、盗難事故は一度もなく、危ない目にもあったことがないというあなた、決して現状、起きていることを甘く見ないでください。パリ、オペラ座の回りでは、多くの日本人が歩いているのを知っているジプシーの子供たちが、昔の新聞紙のかわりにアンケート用紙を持って歩いています。署名運動に協力して下さいと言って、その隙にバッグを開けるのです。手口は日々進化しています。パリへ近々行かれる方、決してひっからないように気をつけて下さい。

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