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マクロ経済そして自然環境

経済的諸問題及び自然環境問題に感想、意見を書く事です。基本はどうしたら住みやすくなるかです。皆さんのご意見歓迎です。

”新古典派ー新自由主義”的対応ではギリシャ危機は解決困難

2011-12-07 13:15:13 | 経済

依然としてユーロ危機は去らないのでありますが、なにぶんややギリシャ等に付き、具体的情報に些か乏しいので判断付きかねるところもありますが、投稿者の理解したところから述べさせて頂きます。

 

イ)まず税制ですがユーロ諸国全般に言える様でありますが押しなべて法人税率が低く、ギリシャにおいても2007年に25%で有った物が現在20%になっておりこれは世界的な法人税率引き下げ競争の一環と思われます。

ロ)これは一般紙で見たものですが本日付け東京新聞によればギリシャでは”規制緩和”が進行し雇用した従業員は1年以内であれば保障なしに解雇できるようになったとの事でした。

また別の新聞によればタクシー免許が緩和され今まで20万ユーロ必要であったものが現在5千ユーロで取得可能になったとの事で借入金で免許を取得した運転手が怒っていたとの報道もありました。

 

 

 

 上記から判断するならこれは先般日本で盛んであった”新自由主義ー新古典派”の”理論”に基づく”改革”路線上にあるものと言わねばならないでしょう。

イ)の法人税率引下げについては投稿者は何度も言っていますが典型的合成の誤謬であり全体的に見れば世界の公債の増加、ギリシャにとっても財政赤字が増大するだけでありましょう。

(因みに11月14日臨時増刊週間エコノミスト(毎日新聞)によれば2009年~2010年の世界の金融資産の増加率は5.6%でありこれは世界の先進国でのGDP成長率が極めて低水準である事から比較するなら実体を反映しない極めて危険な事態といわねばならないでありましょう。)

 

ロ)の規制緩和についてはそれがやはり以前にも書きましたが、それは一般的に”投資”を拡大するものではあっても”需要”は保障されない不均衡拡大路線であると言わねばならないでしょう。(タクシーの規制緩和が日本で行われた後、車は増加しましたが乗客は増えず逆に一般的不況も影響し減った旨の新聞報道もされています。

 

これらをもしIMF等が”指導”しているなら極めて憂慮すべき事態と思われ早急に是正すべきと思われます(当面の流動性の確保は臨時的対症療法になっても根治作にはならないと言うべきであり、これの認識がどうなるかは今後の中期的展望に大きな影響が出ると言うべきでありましょう)

 

 

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引下げ過ぎのユーロ諸国法人税  ユーロ危機打開について

2011-11-24 14:56:46 | 経済

ユーロ危機が中々収まらない。その根拠の一つは各国の大幅な財政赤字である。各国の税制を見る中で解るのは法人税率が押しなべて低い事である。

http://www.oecd.org/dataoecd/26/56/33717459.xls

 

 

これは世界的に法人税率の引下げが競争的に行われており、1993年の平均38%→27.1%(2006)と言う事になっており彼のギリシャも2007年に25%であったものが現在は20%しかありません。(下記英語版Wik,OECDデータ参照, Wikでは2015年に20%予定とされておりOECDでは現在20%とされており前倒しされたものと思われます)

http://en.wikipedia.org/wiki/Taxation_in_Greece

諸国の法人税引下げの状況

http://tax.kpmg.or.jp/knowledge/research/pdf/200611.pdf

(KPMG税理士法人)

 

これらの中、日本も諸国の法人税が低いとの事で5%の引下げを行いましたがこのことはユーロ諸国、アメリカには当然競争強化、引下げ圧力となり特にユーロ諸国の現在の危機に対しマイナスにはなってもプラス要因とはならず更なる圧力となるでありましょう。

20年連続対外純資産世界一、恒常的経常収支黒字国の日本の役割は内需を拡大し国際的不均衡を是正する事でありましょう。

日本の法人税が高いと言う事が言われますが、上記のように結果論的には強すぎる円が問題であり、又国際競争力は税率だけでは決まらず例えば勤労者の労働時間にしても欧州諸国は殆ど一日あたり、一週あたりの規制がありますが日本にはそれは無く青天井であります。

 

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”人口減=内需減” TPP参加の首相の理論

2011-11-12 11:22:45 | 経済

  昨日、野田首相は国会で愁眉の問題であるTPP(環太平洋連携協定)への参加を表明しました。その際、首相は”人口減で内需が不足する”旨述べました(朝日11月11日夕刊)

 

しかしこれはちょっと考えれば解る様に些かと言うよりかなりおかしな”理屈”であります。人口減=内需減であるなら、彼のアフリカ諸国はどうなのか?と言う事であります。

日本は0.1%であるのに比べれば

アルジェリア   1.5%増

アンゴラ      3.3%増

ウガンダ      3.35増

上記あいうえお順に述べましたが(2000-2010平均:世界国勢図絵)多くはそのような傾向であります。つまりは人口減はそのまま内需減に直結はしないと言う事である事は明らかでありましょう。上記諸国は人口増に伴って経済が成長しているのでしょうか?

というよりも日本の場合で言いますとここ平成の中盤以降300万円未満の勤労者がうなぎのぼりであり、又他の統計では年収300万円未満の結婚率は明らかに低いと言う統計も有ります。

http://nensyu-labo.com/heikin_kakusa.htm

http://finalrich.com/sos/sos-economy-marriage-under300.html

 

 

さらに勤労者の報酬である”雇用者報酬の増加”が他国と比べ明らかに低くなっている統計もあります。

 

つまりここで政府がやらなければならないのは

勤労者の報酬→増加→婚姻率の上昇→人口増、雇用者報酬の増大→内需拡大→外需に依存しない強い体質の日本経済

と言う事であり、農業、医療、公共事業の明渡、等のTPPに参加する事ではないでしょう。

 

 

 

 投稿者は遺伝子組み換え食品は食べたくありませんが、スーパーで売ってる豆腐等は遺伝子組み換えでない旨表示がありますが(疑いつつ食べていますと言うより豆腐や納豆は最近殆ど食べません)、その表示が不能になれば一層ひどい事になるでありましょう。

 

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ケインズ学会発足 理論や思想、再注目  (日経2011.11.7)

2011-11-09 11:53:02 | 経済

 11月7日付け日本経済新聞によるとケインズ学会が発足するとの事である。第1回大会が12月3日にもたれ経済、歴史、哲学の研究者やジャーナリストなど、約100名が参加する予定との事である。

”昨今の経済変調の背景には、市場機能重視の流れの行き過ぎがあると見て、市場と国家の新たな関係を模索する。代表幹事の平井俊顕上智大教授は[国際通貨体制や1次産品市場の管理方法など、彼の発想は現代でも参考になる]と話す。”としています。

 

 

 

 2008年のリーマンショックや近年のユーロの危機等は昨今の国際金融体制がやはり不安定的であることを示していると思われることであり、やはり市場型経済は”何らかの形でのコントロール”が必要である事を示していると思われることであり一世を風靡した”新古典派ー新自由主義”の限界を示したものともいえます。

 

 多くの経済系の大学等で使われている”マクロ経済学テキスト”が基本的に分析用具としてIS-LMモデルを使い、説明等試みていますが、本来的に知られているようにこれ自体、一般理論を元に1937年にヒックスによって導入されたものであり、それに対してケインズ本人は必ずしも賛意を表していたとは見えないようでありますが、”古い問題である”として究明が求められる所でありましょう。

又、その事は単に”理論の問題”ではなく我が国だけをとって見ても解るように旧与党に比較し”第三の道”を追求すると言っていた現与党が”自由”貿易参加、消費税値上げ、法人税引下げ等の旧来的新古典派路線に突き進もうとしている事等に対しても又政策的に再び新自由主義路線に戻ろうとしている勢力に対抗しうる、生活や景気の改善、を実現する理論、政策を打ち出せるか注目する所であります。

 

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”金融バブル”の下地は慢性的か? 余剰資金を実体経済に。

2011-10-26 13:37:34 | 経済

 

前回、前々回投稿で金融市場と実体経済の連関について大雑把な概略説明をさせて頂きましたが、要は”金融市場”と実体経済のバランスが崩れると金融恐慌ないし金融バブルが発生すると言う事でした。

2008年にリーマンショックによる世界的金融恐慌が勃発しましたが(投稿者の見解はやはり基本的には実態と金融との齟齬が恐慌に発展したものと思いますが)昨今の各種統計その他記事等見ますに現在もやはりその基本的齟齬から抜け出していないのではと言う事であります。

 

例えばまず1990年代後半からの富裕層への資金一極集中は各種の記事等でも取り上げられています。

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4655.html  参照 最近においても日本等でもその差は拡大していると見られます。

 

 しかしながら富裕層の資金の運用がどうなっていると言うなら、例えば”住宅以外”の純資産を100万ドル以上(現在7500万円、執筆当時で約1億円以上)持っている高額資産保有者の資産実態と言う事で言うなら(お金の流れはここまで変わった!:菊池正俊2008.11月)によると時系列的に若干変化はありますが2008年当時で

株式:33%

債権:27%

現預金:18%

不動産:11%

オルタナテイブ投資:11%

 

と言う事でありまして、株、債権だけで約60%を占めます。(元資料 メリルリンチ)

 

 

そういった中上記のように上位1%の人々に資産が集中する事になれば当然にもその消費は殆ど増えると言う事は考えられませんのでその分やはり何らかの”投資”に向かう、あるいは浮動資金として金融安定にそむく事になります。そこで上記、金融市場と実体経済の按分がバランスを崩すなら再び金融バブルないし金融恐慌へ進むおそれを否定し去ることは出来ないと言うべきでありましょう。

 

 

金融市場、世界の実体経済の安定の為にははやり浮動資金を課税等により、又所得再配分を行う等して実体経済と金融市場との連関を早急に正常に戻すのが昨今のユーロ危機等の根本的解決等の為に現在しなければならない事でありましょう。

 

 

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20年来の”GDPギャップ▲”は日本だけ。

2011-09-20 11:56:28 | 経済

 

 8月29日に内閣府よりGDP計測結果についての論評が発表されました(今週の指標no1007)がそれによりますと、2011年4-6月期のGDPギャップは、マイナス4%であり金額に換算して約20兆円とされます。

ところで、経済財政白書によれば日本のGDPギャップは過去20年間粗マイナスであり、このような国は他国にはないとされます。(平成22年版 経済財政白書p71)

上記内閣府の発表と併せて考えるなら90年以降マイナスが続いていると言う事になります。この事が日本における長期不振の大きな要因の一つになっていると思われます。

 

▼所得移転による内需の拡大のための税制とは

 昨今、復興財源をどうするかについて種々議論がありますが、社会保障”改革”についてなんらかの形で消費税税率を引上げるという考えが民主、自民、中心に有るようですがこれは前々回このブログでも書きましたが明らかに低所得階層に負担が来るものであり、又”給付”(払い戻し)を低所得層に行うという案もあるようですがどの階層に給付するか実務的にも困難は多く、であれば投稿者としては、歳入面の一つの重点としては所得税及び住民税の 最高税率、の引上げ(中層以上)で基本的に対応すべきと考えます。これは上記経済財政白書が、”需要の創造による成長”としているところからすればある意味当然の選択と言えます。(高額所得層は一般に有価証券を保有しておりそれが現在10%(所得税7%、住民税3%)に軽減されている事等から考慮すればある意味止むを得ないと思われます。

個人住民税(地方税)は過去最大14段階に税率が区分されていましたがこの間の”構造改革”で一律10%の税率となっておりその事が住民の重税感の原因の一つになっていると思われます。

 

仮に消費税を10%にするなら、一般に日本の個人消費(内需)は60%といわれておりそのまま実施されるなら上記ギャップの一層の拡大は否定できず、

5/105(4.76%)→10/110(9.09%)と言う事でその差4.33%は消費のマイナスであり、

60×4.33=2.59であり概算で約3%のGDPマイナス要因となると思われますがこれらについて何らの考えも聞いた事も無く、単純な財政の数字合わせだけでは経済政策とはいえないと思われますが。

 

参照:今週の指標1007(内閣府)

http://www5.cao.go.jp/keizai3/shihyo/2011/0829/1007.html

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現代”ミクロ経済学”テキストに関する疑問ー2  需要曲線

2011-01-23 09:17:39 | 経済

 前回投稿で、現代の一般的”ミクロ経済学”テキストの疑問と言う事で、供給曲線に関する疑問を書かせて頂きましたが、今回は、その”需要曲線”について書かせて頂きます。

 

 最近の”ミクロ経済学”テキストにおいては、効用を測る図から2財モデルを作り、縦軸に財A、横軸に財Bを仮定しそこに同一の効用を示すとする”無差別曲線”を想定しそこに”予算制約線”を導入する事により、価格の限界を示す中で財Aの価格を固定し財Bが価格が変化する場合の曲線(価格消費曲線)を捉え、それが財Bの需要曲線となるとしているものがほとんどのようです。

 

  ここでやはり考えた場合、些かおかしいのは、本来的に基本になっているこの”図”は効用を測る、示すものであり、縦軸、横軸はそれらの”財の量、及び効用”を示しているということですが、そこに”予算制約線”というような”価格”概念が、定義なしに図に持ち込まれていると言う事です。しかもこの”線”の傾きは最低でも2財の”相対価格比”が分からないと描きようが無いと言う事でありまして、結果的には、”主観的な価値”を示す効用を示すグラフにおいて、価格概念がそれを測っている”ということになり、それは、前回、ジェボンズの所でも述べましたが、価格と価値(効用)について循環論になっているとしか考えられないと言う事であります。つまり、(価格概念→)効用概念→価格概念(需要曲線)→価格ということであります。

 この事は、例えば粗、世界的に金本位制が確立していた19世紀末を考えると一層明らかです。(つまりその当時価格の単位は全て、金××グラムと言う事で、商品価値が基礎であったからです。

 誰かが自転車を買おうとして、[自分としてはこの自転車の”効用”は効用単位一円であるから一円で売ってくれ]と言っても、売主は[この自転車は原価3円だから一円では売れません]と言われてしまえばそこでこの売買は成立しません。要はこの”売買”は効用で規定されているのでは無く、”価格”が基準になっていると言う事です。

 

 

(この事は現在でも同じと思いますが)

これは、経済学を全く知らない誰かに聞いてもおそらく答えは同じでしょう。テキストを暗記するのが経済学ではないとするなら意ある経済学部学生諸君の奮起を期待したい所であります

 

 

 

これは無差別曲線が、”基数的”であっても”序数的”であっても論理展開に変化はありません。(尚、”無差別曲線”自体は20世紀初頭に概念化されたようであります)

 

 

 

 

 

 

 

上記ご意見あればコメントをお願い致します。

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現代”ミクロ経済学”テキストに関する疑問-1 供給曲線

2011-01-16 16:59:10 | 経済
現在市販されている”ミクロ経済学”テキストは、

①無差別曲線→需要曲線
②生産要素、固定費用、可変費用、機会費用等→(短期)供給曲線

等延べ、価格決定、更に長期の、生産、費用の説明というような構成のものが多いように見受けられますが、

(投稿者自体は一般に”ミクロ経済学”の有用性が今一理解し得ないところからあまり関心が有りませんでしたが)”価値論”を考える中で最近、若干、関心を擁いている所でありますが、これらの”無差別曲線”、”機会費用”といった些か分かりにくいと言いますか、婉曲的表現が所謂”限界効用学派”から派生していると思えるのですが、

 (因みにこの”機会費用”と言う用語は、全く”専門用語”でありまして一般的には非常に分かりにくい概念であると思う事です。
簡単に言うなら、財Aの生産に犠牲とされた(生産を断念した)財Bのもつ価値(効用)と言う事だそうですが(経済学史 大野忠雄 岩波書店p181)なにゆえそのような概念の導入が必要なのか不明であります。
(これは”労働価値説”に反駁するあまり論理に無理を強いていると思えるのですが)


 
 財(サービス)の価格は需要供給の一致するところで決まる と言う事はもっともと思われますが、需要曲線は一定、主観的なところと言いますか、好みで決まると言うのも事実と思いますが、(これについても見解がありますが、それは又の機会にしまして)
”供給曲線”について考えるならこれが需給表の何処に位置するかは、例えば自転車の供給曲線よりは、自家用車の供給曲線のほうが上位にあると思うのは、費用の曲線から明らかと思えるのですが、(全て生産物はその”部品”から成り立ちその部品の価格はどの様に決定されたかを考えるならその需給による としか言いようが無いと思われそれは更に遡ると思いますが、一般的”テキスト”でその様な事は殆ど触れず、かなり脈絡不明のまま”機会費用”の概念が説明されているのが一般的のようですが、私見に於いてはその様な些か無理な概念構成が”ミクロ経済学”を一層分かりにくくしており、結果的に果たしてその用途は?と言うような事になると思う事です。


 
 
 




 
 その事がまず第一点で二番目として、”限界効用学派”の始祖としては、一般的に
メンガー、ワルラス、そしてジェボンズの三者と言われていますが、既に他でも言われている事かもしれませんが、ジェボンズの代表的著作としては、経済学の理論”がある訳ですが、その4章交換価値のところの”価値の起源”のところでこう言っています。

生産費は供給を決定する。
供給は最終効用度を決定する。
最終効用度は価値を決定する。

と言う事で、しかしこれは一読して分かるように簡単な三段論法でありまして、究極的には”生産費は価値を決定する”と言う事になってしまい、価値の決定としては全くの循環論であります。(小泉信三他訳p123)

これにつき、マーシャルはその”経済学原理”三巻(馬場敬之助訳p294)でも、”このような連鎖は存在しない”と言っています。



 私の疑問はこのような論理を平気で使っているジェボンズが限界効用派の始祖の一人として一般に言われ、一般的”ミクロ経済学”テキスト等でもなにも言われていない事であります。
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”マンデル=フレミング・モデル”への疑問

2010-10-31 13:44:11 | 経済
 現在、世情、一般的なマクロ経済学の教科書は、所謂”IS=LMモデルで説明を行うパターンが一般的である(このモデル枠組み自体にも批判がありますが)。ところで知られているように、このIS=LMモデルはケインズの一般理論を元に、ヒックスが開発した物であり当然、ヒックスは一般的にはケインズ後継と看做されている。

 ①しかしながら”マンデル=フレミング・モデルの開発者であるマンデルは1999年にノーベル経済学賞を受けている。ここにおいて、些か疑問を持たざるを得ないのは、英語版wikipediaでの解説によれば、http://en.wikipedia.org/wiki/Robert_Mundell
彼は政治の分野では”減税とサプライサイド経済学者として知られている”との事であり、しかし他方、”マンデル=フレミング・モデル”が、IS=LMモデルの開放体系とされていることである。
又上記英語版wikpedeiaでは彼がノーベル経済学賞を受ける時のスピーチで主としてサプライサイドの事を述べたとされる事である。(当然、サプライサイドと言えば”新古典派”の分類でありましょう)尚、日本語wikipeiaのマンデルの解説では70年代以降自分の学説を否定して”サプライサイド”の提唱者になったとの事である。
 これらwikpediaの記事が正確なら投稿者としては、一体彼の理論構造は一体、どうなっているのか疑問を持たざるを得ないと言う事でありますが、当の提案者が否定している学説を殆どの(日本の)マクロ経済学のテキストが殆ど無批判に乗せている事に関し投稿者は疑問を持たざるを得ないと言う事です。


②又、一般的マクロ経済学テキストによれば、”マンデル=フレミング・モデル”の解説として、変動為替相場制の資本移動完全自由の元での適応において、財政政策を行うと

 国内金利上昇→資本流入→為替レート上昇、交易条件悪化→輸出減少となり国内経済状況には効果が無いと言うような説明で現在のような変動相場制での財政政策に否定的な解説が殆どであるが、

 独立行政法人経済産業研究所の宇南山氏等の研究によれば、定額給付金、子供手当てのような政府支出の補助金について、定額給付金の実証研究ではその支出は消費性向は0.33であったとの事でこれは約1.49の乗数効果があったと見込まれます。これは変動相場制の下での効果を否定している事が実証的に否定されている物であり(氏は新古典派について述べていますが、アメリカでの最近の減税等の消費性向についても0.2~0.4程度であったとされます)一般的マクロ経済学の内容も型に嵌った物では現実的ではないと投稿者は考える物であります。
http://www.rieti.go.jp/jp/columns/a01_0280.htm 

 又上記マンデル=フレミング・モデルの仮定では、財政政策→国内金利上昇となっていますが、諸外国でも検討されているように富裕層の方々に”増税”させて頂ければ金利の上昇は起こらないと言う意味でもこの”モデル”は当てはまらないと思います。

 


 

 
 又、宇南山氏も述べているように”政治の場で経済学に基づく議論を歓迎したい”と言われていますが、それについては投稿者も賛成する所であります。
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”規制緩和”は景気対策になりうるか?

2010-10-20 09:10:00 | 経済
 本投稿もあまり批判ばかり書きたくありませんが、”論争でいい意見が出るとも考えられますので” 論者の中には”規制緩和”も景気対策になるとの論もかいま見られますが、しかしこれには些か疑問が有ると言うべきでしょうか。私自身さる××年前、さる経済学を学んだと言う英国人と話す機会があり、”お国の不況対策は何か?”と聞いたところ、”規制緩和です”と聞いた事も有り、日本だけの問題ではないと考えていますが、

 これは要は

一般に規制緩和は緩和により”投資は増えるが、それに伴う需要を保障するものでは無い”と言う事です。

 例えば
①タクシー等の免許の緩和
これも一部で報道されていましたが、タクシーの台数はふえた訳ですが、それに伴っては乗客は増えず逆に減っている事が報道されています。
これは、バスの運送事業等でも同じで台数は増えて過当競争状態とも言われています。


②港湾運送事業への新規参入
港湾運送事業はその仕事の特殊性、危険性から規制がされており、又中小も多いとされていますが緩和したとしても取り扱い荷物がふえるわけではなく、やはり過当競争になる恐れが強いと言えるでしょう。
 


③労働者派遣事業
これもここで説明するまでも無く、この実施により数百万の派遣労働者が生まれましたが、やはりその多くは無権利状態におかれ”日雇い派遣などと言う言葉もありますが)、日本の社会状況の不安定の一つの大きな原因になっています。
失業率も昭和の後半から現在4%~5%へじりじり上がり続けています。
(”新自由主義”の経済理論である新古典派では労賃が”伸縮的”であれば(賃下げ、賃上げ)完全雇用が達成されるとする)






 上記、一部のみ記載しましたが、他にも多くの同様な状態があると思いますが、これは”理論的”には新古典派そのものであり、その問題性を露呈していると言うべきでしょう。
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