tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

奈良のうまいもの会が、設立10周年/おめでとうございます!

2022年07月21日 | 奈良にこだわる
昨日(2022.7.20)、奈良県コンベンションセンター天平ホールで、一般社団法人「奈良のうまいもの会」の設立10周年記念講演会が開催された。同法人の公式HPによると、
※2枚の写真は、奈良のうまいもの会イベント部のFacebookから拝借した

(一社)奈良のうまいもの会発足10周年記念講演会
平城遷都1300年祭を契機に発足した「(一社)奈良のうまいもの会」の10周年を記念し、奈良県知事及び東大寺上院院主(東大寺221世別当)筒井寛昭氏をお招きし、奈良の食についての講演会を行います。

日  時  令和4年7月20日(水)13時45分~17時00分
場  所  奈良県コンベンションセンター 天平ホール(奈良市三条大路一丁目691-1)
内  容  
記念講演① 講演者:荒井正吾 奈良県知事 奈良の食に関する取組について/奈良テレビ放送の特別企画「荒井知事に聞いてみよう」コーナー(公開録画)
記念講演② 講演者:筒井寛昭 東大寺上院院主(第221世東大寺別当) 東大寺の歴史と修二会における食について




荒井知事の話が興味深かった。手元のメモをもとにピックアップすると、

・JTB「食と旅に関する調査2017」によると、シニアの一番人気は「温泉」だが、若者の一番人気は「食・グルメ」。女性と若者に奈良の食をアピールしたい。
・「統計で見る都道府県の姿2017」によると、人口1,000人あたりの飲食店数で最も少ないのは奈良県(47位)。大阪と京都にお客を奪われているようだ。
・今年で13回目を迎える「奈良フードフェスティバル シェフェスタ」では全国から名うてのシェフが奈良に来られ、奈良の食のレベルが上がった。
・東京圏では、JR東海が「いざいざ奈良」のタイトルで奈良をアピールするCMを流してくれていて、とても評判がいい(=トップ動画「東大寺・ならまち編」)。
・「奈良のうまいもの」は伝統食とか地元食材とかあまり限定的に考えず「奈良は何でも美味しいですよ、和食も中華もイタリアンも…」というように、前広にアピールしていただきたい。
・東京(奈良まほろば館)のレストラン「TOKi」は好評で、リピーターも多い。
・料理に「万葉の花」を添えるとか、お茶に「鑑真和上が持ちこんだもの(薬草など)」を入れるとかの工夫(=文化のスパイス)が喜ばれる。
・うるさくならない程度の「説明力」を鍛えてほしい。




なお知事の公開録画は、7月27日(水)の奈良テレビ放送「ゆうドキッ!」でオンエアされる。会場では「奈良のうまいもの会の歩み」というリーフレットをいただき、舞台上のスクリーンでも映し出された(=末尾に記載)。「奈良のうまいものづくり部会」が設置されたのが2002年。この時私は「公募委員」に応募して委員となった。ということは私はもう20年間も「奈良の食」に関わってきたことになる。



奈良新聞(7/22付)の記事

イベントの最後には座席札を使った抽選会があり、当選した10人にプレゼントが渡された。終始、和気藹々(あいあい)とした雰囲気でイベントが進行し、とても楽しいひとときとなった。スタッフの皆さん、ありがとうございました。堂土(どうど)会長、10周年おめでとうございました、これからも奈良の「食」を盛り上げてください!



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季節を愉しむ 櫃屋(ひつや)が、料理を一新!

2022年07月20日 | グルメガイド
先日(2022.7.7)、奈良市小西通り商店街の「櫃屋」(奈良市小西町23 花小路1階)で、十数人の懇親会を開いた。コロナ禍で自粛していたので、この顔ぶれで集まるのは3年ぶりだ。ここはコロナ前からなじみがあるし、宴会場が広いので密にならないのが有り難い。お店のぐるなびによると、
※写真は@4,400円のコース料理(飲み物別)



【近鉄奈良駅徒歩1分】小西さくら通り商店街内
【お料理】ランチからコース料理まで、様々なシーンに…

旬を知る・日本を味わう・奈良を愉しむ。木と蚊帳生地を使った落ち着いた空間で、ゆったりと厳選された旬の食材を使った料理は、眼で見て感動し、舌で味わって満足感で満たされる。



刺身がグラスに入って出てきた(=トップ写真)。今思うに、真横から水平に撮れば良かった!

本格的な日本料理を提供する櫃屋。大和食材と豊富な旬食材を使ったコース料理や一品料理。宴会では、今の社会状況を考慮し、少人数でお楽しみいただける空間づくりとお料理を提供します。また、様々なお酒類もご用意しております。『古都奈良のゆったりとした時間』をお楽しみください。





久しぶりに訪ねて驚いたのは、運ばれてきた料理が以前とは全く違ったこと。美味しいのは同じだが、盛り付けが段違いなのだ。店員さんにうかがうと「料理長が代わりましたので」、とのことだった。それにしてもよくこのように斬新な盛り付けを考えたものだ。このお店、以前にも当ブログで、ランチ宴会メニューを紹介してきたが、こんなに盛り付けが変わるともう一度紹介しないといけないと思い今回、この記事を書いている。


小鍋までついてきた!



懇親会に参加したメンバーは以前から懇意にしていた者ばかりだったので、大いに盛り上がった。やはり社会人には、このようなコミュニケーションの場が必要なのだ。


デザートも、こんなにお洒落だ!

櫃屋さん、ごちそうさまでした、またお邪魔いたします。皆さん、ぜひ櫃屋をお訪ねください!
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田中利典師の『吉野薫風抄』白馬社刊(9)/親の有り難さ、子の有り難さ

2022年07月19日 | 田中利典師曰く
田中利典師の処女作にして最高傑作という『吉野薫風抄 修験道に想う』(白馬社刊)を、師ご自身の抜粋により紹介するというぜいたくなシリーズ。第9回の今回は「子供が居てこその親」。約30年前に執筆されたというが、第一子をもたれた親御さんの気持ちがよく伝わる文章である。以下、師のFacebook(5/1付)から抜粋する。
※写真は、「花空間けいはんな」(2009年に閉園)のハス

シリーズ吉野薫風抄⑨「子供が居てこその親」
今、私の傍らで我が子が戯(たわむ)れている。原稿が仕上がらず、ねじり鉢巻で苦しむ父の心を知ってか知らずか、ただ無邪気に独り遊びに興じている。可愛いものだとつくづく思う。親であることの有難みを感じるのは、こんなたわいない一時であるのかもしれない。

おれはおまえの親なんだぞ、と偉そうに言っても、子供が居てこその親である。親の有難みというが、子供の有難みというのもあるはずである。わが娘を抱いてみて知ったのは、親の有難みだけでなく、子供を持つ有難みもあることであった。

子育てというが、なにも親が子を育てるばかりでなく、子供によって親自身が育てられているのかも知れない。夜中に熱を出したり、階段からころがり落ちたり、プラスチックを飲みこんだり、この数年の間、いろんなことが起きたけれど、その都度、右往左往して、少しずつ親として成長させられてきた。まさに子供が居てこその、お蔭である。

私は親として、そう大した出来ではないだろう。自分の感情のままに子供を叱ったり、子供相手にムキになったり、全く大人気(おとなげ)ない。子供にとって、こんな親を持つのは災難のようなものかもしれない。

いつかこの稿で、子供は神仏からの授かりものであると書いたことがあるが、その想いは今も変わらないにしても、現実にはついついわがままが出るのである。そしてそんな不出来な親だからこそ、時に子供の有難みに思いを至しているのである。

年末に二人目の子供が生まれる予定である。次は男の子が欲しい、と思う気持ちもあるが、そうかといって、「願」を掛けるとか、男の子を作るための努力とかは何事もなさなかった。男でも女でもよい、自然のまま、神仏におまかせするのみである。

まだまだ半人前の親であるが、子供とともに少しずつでも成長していきたいと思っている。それが我が子への責任であり、私自身が自分の両親から受けた恩に対する責任であろう。

ところで、こういうことを感じられるのも、自分自身が神仏の深い加護の元にあるからに他ならないだろう。子の有難み、親の有難み、そして神仏の有難みに、改めて感謝申し上げたい。

************

本稿に出てくる第一子長女も今年35歳、そのあと生まれた長男も32歳。あっという間の30年であった。親として、不十分なままだったと、今さらながら、自分の文章を述懐・反省をしている。人生は難しい・・・。
◇◇
私の処女作『吉野薫風抄』は平成4年に金峯山時報社から上梓され(26歳から35歳まで書いたコラムを編集)、平成15年に白馬社から改定新装版が再版、また令和元年には電子版「修験道あるがままに シリーズ」(特定非営利活動法人ハーモニーライフ出版部)として電子書籍化されています。「祈りのシリーズ」の第3段は、本著の中から紹介しています。Amazonにて修験道あるがままに シリーズ〈電子版〉を検索いただければ、Kindle版が無料で読めます。
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円成寺(奈良市・柳生街道)が、クラウドファンディングで修復費を募集!(2022 Topic)

2022年07月18日 | お知らせ


運慶仏で知られる柳生街道沿いの円成寺(えんじょうじ・奈良市忍辱山町)が、雨漏りがする本堂(重文)と、劣化の著しい春日堂・白山堂(国宝)の修復費800万円をクラウドファンディングで募っておられる。

なおこのお寺は、毎日新聞奈良版の「やまと百寺参り」(2020.2.13付)でも紹介された。末尾に記事画像を貼り付けておく。同寺のクラウドファンディングを手がけるGoodMorning(CAMPFIRE)のサイトによると、

奈良・円成寺は、仏師・運慶が制作した大日如来坐像でよく知られる寺院です。室町時代に再建された本堂(重要文化財)は経年劣化によって近年雨漏りがあり、修復が必要になりました。また、春日堂・白山堂(国宝)もあわせて修復工事をおこないます。建物と堂内の文化財を護るため、お力添えをよろしくお願いします。

はじめに
奈良県奈良市に位置する忍辱山・円成寺は、天平勝宝8年(756)、虚滝和尚によって開山されたと伝えられています。円成寺には国宝や重要文化財を含む多くの文化財が伝わっていますが、中でも仏師・運慶が弱冠20歳代に制作したとされる木造大日如来坐像が最も知られているものでしょう。

運慶の大日如来像が昭和時代まで安置されていたのが、室町時代に建立された本堂です。文正元年(1466)に焼失した旧本堂をそのままに再建したもので、国の重要文化財に指定されています。

その本堂は経年劣化によって近年雨漏りがあり、対処するために屋根の葺き替え工事をおこなう修復が必要になりました。また、国宝である春日堂・白山堂も葺き替えが必要であったため、あわせて修復工事を計画しまして、こちらは令和3年度に完了しました。

そのための費用の合計は1億5000万円程度が見込まれています。国宝・重要文化財の修復であるため国と県から補助がありますが、それでも2000万円程度は所有者である円成寺の負担となります。今回はそのうちの800万円をクラウドファンディングでご支援いただきたく、皆様のご協力をお願いいたします。


このお寺には、2010年秋にガイドとしてお邪魔したことがある。伽藍や仏像はもちろんだが、紅葉の鮮やかさには驚いた。もともと檀家の少ない寺だったが、コロナ禍で参拝者も減っているのだろう。交通アクセスも良くないので、痛手は大きいとお察しする。ご支援はこちらのサイトから。皆さん、ぜひご協力をお願いいたします!

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奈良の地酒「輸出」への取り組み/ナント経済月報(2022年7月号)

2022年07月17日 | 奈良にこだわる
興味深いレポートを読んだ。一般財団法人「南都経済研究所」が発行する『ナント経済月報』(2022年7月号)に載った「奈良県における日本酒輸出の取り組みについての一考察」だ。

執筆者は上席研究員で中小企業診断士の刀祢善光さん。南都銀行のもと同僚で、大学も同窓だ。全12ページの力の入った大論文で、全貌は同法人のHPに掲載されている。

なおタイミング良く今日と明日(2022.7.17~18)は、遣唐使船前(平城宮跡歴史公園)で、「奈良酒まつり」が開催され、刀祢レポートで紹介された今西清兵衛商店(奈良市)も梅乃宿酒造(葛城市)も出展される。チラシは、こちら(PDF)だ。平城宮跡歴史公園のHPには、

奈良酒の「文化」「歴史」について学びながら、おいしい奈良酒や「奈良しゅわボール」、古都華サイダーなどを飲んでみませんか。新発売のご当地サイダー「富有柿サイダー」も登場! もちろん無料試飲もしていただけます。奈良の街が育んだ飲み物に囲まれて、素敵な午後を県営平城宮跡歴史公園でお過ごしください。参加蔵元 〇今西清兵衛商店〇奈良豊澤酒造〇八木酒造〇北村酒造〇梅乃宿酒造

では以下に、刀祢レポートの要点を抜粋して紹介する。

(P8)高度経済成長期にピークをつけた日本酒の国内消費量は、以後減少傾向となっているが、近年は日本産の農林水産品や食品について海外での支持が広まり、日本酒においても輸出量が拡大を続けている。

まずは日本酒を含む様々なアルコール飲料を合計した「日本産酒類」の動向を見る。2021年度の輸出金額は約1,147億円(対前年比161.4%)となり、初めて1,000億円を突破し、10年連続で過去最高を記録した。2022年4月の輸出金額においても118.9億円(対前年同月比110.3%)となり、好調に推移している。

品目別ではウイスキーと日本酒は前年比の増加率が60%を超え、特に伸びが著しい。近年、海外での日本産酒類はウイスキー、日本酒を中心に支持を広げているといえる。また、国・地域別では中国、アメリカ、香港が牽引している。

(しかし)国内における日本酒の課税移出数量(以下「出荷量」と表記)は昭和48年度をピークに減少を続け、令和2年度には約41万㎘とピーク時の約30%以下の水準まで落ち込んでいる。

(P9)日本酒の出荷量が減少していく一方で、単価は上昇傾向である。要因は、原料と製法で日本酒を区分した「純米」や「吟醸」などの特定名称酒が高付加価値品として出荷量を維持しているためである。

(P10)奈良県で出荷される酒類は、日本酒とリキュールとで95.5%とその大勢を占める。概ね日本酒が全体の2/3、梅酒などのリキュールが1/3という内訳である。

(P11)酒類製造業及び酒類卸売業の概況(国税庁・令和3年調査分)によると奈良県内では15事業者が輸出している。過去も含めると8割程度の酒蔵に輸出実績があると見られる。同報告によると、日本酒の輸出量は近年急速に増加している中、奈良県においても2021年度は729㎘(対前年比151.4%)となり大きく増加している。

2020年で国内出荷量と輸出量の割合を全国と比較すると全国の5.6%と比べ奈良県は22.5%と輸出の割合が高い。



今西清兵衛商店の本社。同社の公式HPから拝借した

(P13)県内企業の取組事例
1.株式会社今西清兵衛商店(奈良県奈良市)
「日本名門酒会(※注)」に加盟し、奈良県の酒蔵の中でもいち早く1970年代から首都圏へ進出を果たした。海外取引も日本名門酒会の国際流通部門のサポートにより、1984年からアメリカ、ドイツ、中国などへの進出を実現した。

(※注)日本名門酒会は「良い酒を 佳い人に」をスローガンに、全国約120社の蔵元が丹精こめて造った良質の日本酒を、全国1,500店あまりの酒販店を通して流通させてきたボランタリー組織(独立した小売業者や卸売業者が、スケールメリットを活かし共同で商品仕入れ活動が行えるように立ち上げる組織)。

(P14)コロナ禍が収束に向かいはじめ、海外への渡航が再開されようとしている中、さらに新しい国・地域への市場展開を進めることを望んでいるが、それには各国市場の詳細情報など海外進出を加速できる支援策がまだまだ必要と感じている。

「当社の商品は世界中で気軽に楽しんでもらえるアルコール飲料の1つになりたい。実直に品質を磨き上げていくことが酒蔵の役割だ」と今西社長は力を込める。



新蔵オープンの告知画像。梅乃宿酒造の公式HPから拝借した

2.梅乃宿酒造株式会社(奈良県葛城市)
海外への進出は2002年にアメリカから始まり、現在は25の国・地域へ広がりを見せている。(中略)その割合は全体の4割と他社よりもかなり高くなっている。

同社では比較的早い時期から海外取引に取り組んだことから、いろいろな経験をノウハウとして蓄積できており、2018年には奈良県海外展開リーディングカンパニー(輸出)表彰を受賞している。

(P15)同社の場合海外における代理店は基本的に1国1社としており、選定にあたっては、その国にはどういう市場があって、市場規模や酒類消費の構成割合がどうか、その代理店がどの市場を得意としているか等、同社の販売戦略に沿った観点で代理店を見極めている。

コロナ収束後は、主要な国・地域に続き更なる拡大を見据える。ただ、新しい国への進出は種まきから収穫までに長い時間が必要なことから、できる限り対象を広げて種をまいていく方針だ。

(P17)今後の展開に向けた方策
(1)地域としてのブランドの確立
 ①奈良酒(ブランド価値の向上) 「古都のお酒で乾杯しよう実行委員会」が進めた「奈良しゅわボール」プロジェクトは、近畿経済産業局「地域ブランド」活用の第1号事例となった。奈良の地酒を炭酸で割る日本酒ハイボールという飲み方を提案し2022年1~3月に奈良市でフェアを開催した。今後、同実行委員会は歴史×奈良酒でも物語を作りブランド価値を高めることにも挑戦していくとしている。

 ②「GI(地理的表示)制度」の認証(の促進) 地域のブランド化には大変有効な制度で、メリットとして以下が挙げられる。製造されたお酒とその産地とのつながりが明確になり、「地域ブランド」としての付加価値向上が期待できる。/他の製品との差別化も図れ、行政の取り締まりが可能となるため、模造品の流通を防ぐこともできる。似たような表示も禁止されるため、 努力して築き上げた地域のブランドへの「タダ乗り」も防止できる。

 ③奈良と日本酒の所縁(ゆかり)(のアピール) 酒の神を祀る奈良県桜井市三輪の「大神神社」のご神体である三輪山の杉の葉で作られた杉球(杉玉)を「酒林(さかばやし)」と呼び、新酒ができる時期に酒蔵や酒販店の軒先に飾られることも多い。/現在の奈良県奈良市にある菩提山正暦寺で作られた「菩提泉」(ぼだいせん)を最初の日本酒(清酒)とする説もあり、同寺には「日本清酒発祥の地」の碑が立っている。「菩提泉」は、現代の日本酒造り技術にも通ずる様々な卓越した技術によって醸されたとされる。

(P18)(2)国、地域ごとに濃淡のある情報提供力の向上
 ① 輸出実績の上位(国への対応) アメリカ、中国などは市場が大きく、伸ばせる余地が大きいものの、市場としてはまだまだ未知の部分もある。マーケットインの調査として、例えば、「日本産酒類輸出に向けた調査結果 最終報告書(令和3年)」の発展施策として、既存進出の国・地域の深堀りを進めることは有効と考える。

 ②フロンティア国(への対応) 次のグループとなる国・地域への拡大については「フロンティア国における酒類輸出拡大支援」で経済交流が活発化することにより輸出の増加が期待できる国(タイやオーストラリアなど9か国)を対象とする。令和4年度事業で商談会を実施予定で、情報の質・量の面で充実が期待できる。

 ③海外の輸入業者の情報(の提供と収集) 「日本産酒類輸出促進コンソーシアム」では輸入業者、現地の大手小売店や飲食関係のバイヤーとの商談会を企画している。また、「酒類輸出コーディネーター」を設置し北米、アジア、欧州に10名を配置し現地バイヤーの発掘、情報収集、商談サポートを行い、より実効性の高い支援策に踏み込んでいる。

(3)アフターコロナに向けた早急な対応
新規コンテナの確保や手配・輸送など運営の効率化について国をあげて対処すべき問題である。

(P19)(4)マーケットインの経営戦略
近年、各蔵でコンセプトを明確にした高品質の商品が販売されている。蔵元自身もさらに商品力を磨き、有望な市場へ思い切った経営資源投入を図ることが重要である。

(5)県内でのインバウンド向け発信
酒蔵の見学ツアーや試飲など日本酒をテーマにしたイベント、スタンプラリーなどの仕組みづくり、外国人向けツアーのプロデュースなどインバウンド旅行客の記憶に残る体験をしてもらい、自国へ戻ってからも奈良の日本酒のファンとなってもらうことが重要である。また、他の観光資源との連携を目指すことで、地域一体の取り組みへの広がり、単発のイベントで終わることのない通年型の観光持続性の確保など地域活性化と日本酒の普及の双方に相乗効果が期待できる。

おわりに
対策の主体として、①輸出支援策、コロナ対策は国・自治体などの支援機関が行う。②ブランド化や商品力や販売力強化は酒蔵が行う。③広報や地元の盛り上がりの創出は我々シンクタンクなどの協力者が行う。そして、それぞれが一体となって盛り上げていくことで奈良の日本酒がより一層光るものになっていく。こうしてブランド力を持ちステータスを向上させた奈良の酒をできるだけ広い地域で、多くの方に楽しんでもらいたい。

国内で日本酒の出荷額が伸び悩んでいることは聞いていたが、逆に輸出がこんなに伸びていたとは!しかも全国の酒蔵の輸出割合は5.6%なのに、奈良県は22.5%、実に4分の1近くが輸出に回っていたとは!

「最近は●●酒造の酒が手に入らない」というぼやきを聞いていたが、これは本当だったのだ。この状況が続くようならいつかは酒樽が底をつく。今から設備投資をして、奈良酒を増産してほしいものだ。梅乃宿酒造は、今年(2022年)7月1日に新蔵を竣工されたが…。

以前、ある酒販店と組んで、「奈良の地酒と地場産品を楽しんでもらおう」というイベントをやったことがある。私は日本酒の歴史を、酒販店の社長が奈良酒の特徴などをお話しした。イベントの最後に、ある老紳士から手が挙がった。「私は今日まで、こんなに奈良の地酒が美味しいとは知らず、ひたすら大手メーカーの酒ばかり飲んできて今、大いに後悔しています。明日からは奈良酒に切り替えます!」とおっしゃって、会場内から拍手が巻き起こった。

これからも奈良の酒造業界は、「おわりに」にあったように、国・自治体による輸出支援、酒蔵によるブランド力・販売力の強化、シンクタンクやコンサルによる演出や認知度の向上に取り組んでいただきたい。この美味しい奈良酒を全世界に広めましょう!



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