奈良新聞の「明風清音」欄に月1~2回、寄稿している。木曜日(2022.7.21)に掲載されたのは〈「空腹」が健康の秘訣〉だった。私は最近は1日2食を基本にしていて、1食という日もある。あまりお腹が空かないのだ。だから胃袋はしょっちゅう「グー、グー」と鳴っている。
ある日、本屋に入ると『「空腹」こそ最強のリスク』という文字が目に飛び込んできて、ビックリした。空腹はリスクなのか、と本を手に取ると、そうではなく最強の「クスリ」だったので、ホッと胸をなで下ろした。それからは自信を持って1日2食を続けている。体調は良い。昨日(7/22)特定健康診査を受けたところ、1年前と比べて体重は1.3kgも減っていた、うれしい!では、記事全文を紹介する。
「空腹」が健康の秘訣
昨年秋に会社を完全リタイアしてから、1日3食という日がほとんどない。たいてい2食、時には1食という日もある。そんなにお腹が空かないし、「連れだってランチでも」ということがなくなったからだ。運動不足が原因というわけでもなくて、毎日近所を散歩するので最低でも1日4000歩、外出すれば8000歩以上は歩く。
「人は1日3食が基本」と思っていたので、これには少々罪悪感を覚えていた。しかし会社員時代、仕事で出会った新聞記者が「私は常に1日2食で、昼食は抜いています。なぜか2食の方が体調が良いのですよ。昼食のアポが入ったときは、朝食を抜いてきます」と言っていたので、健康に支障はないのだとは思っていた。
ところが『「空腹」こそ最強のクスリ』(アスコム刊 税別1400円)を読んで、目からウロコが落ちた。なんと〈「1日3食とるのが体にいい」は、間違いだった〉〈1日3食は、胃腸を疲れさせ、体の不調を招く〉(本書からの引用、以下同じ)というのだ。筆者は医学博士で生活習慣病専門医の青木厚氏なので、いい加減な話ではない。以下、本書の要点を紹介する。
▼オートファジーを動かす
オートファジーとは「古くなった細胞が新しく生まれ変わる」という体の仕組みのこと。この研究は2016年、ノーベル生理学・医学賞を受賞した。空腹の時間を作ればオートファジーが動きだす。
〈オートファジーによって、古くなったり壊れたりした細胞が内側から新しく生まれ変われば、病気を遠ざけ、老化の進行を食い止めることができるのです。つまり、空腹の時間を作ることで、●内蔵の疲れがとれて内蔵機能が高まり、免疫力もアップする。●血糖値が下がり、インスリンの適切な分泌が促され、血管障害が改善される。●脂肪が分解され、肥満が引き起こすさまざまな問題が改善される。●細胞が生まれ変わり、体の不調や老化の進行が改善される。といったさまざまな「体のリセット効果」が期待できます〉。
▼空腹の16時間を作る
オートファジーのスイッチを入れるためには「ものを食べない時間」を作ることが必要で、最後にものを食べてから16時間後にスイッチが入るという。簡単に言うと、一食抜いて「半日断食」を行うのだ。例えば、夜8時に夕ご飯を食べ終わる。11時に就寝して朝7時に起きる。朝食を抜いて正午にブランチを食べると16時間空腹になる。平日に実行するのが難しければ、土日にやれば良い。〈カロリー計算など、難しいこと、面倒なことを考えなくても、内臓の疲れがとれ、血糖値が下がり、脂肪が落ち、細胞が生まれ変わり、さまざまな体の不調や病気、老化を遠ざけることができます〉。
▼食べたくなったらナッツ
起きてから4~5時間の空腹はしんどい、という人もいるだろう。その場合はナッツ類(できるだけ素焼きのもの)を食べれば良いという。ナッツが苦手という人は、生野菜のサラダ、チーズ、ヨーグルトなどを食べる。ゼロカロリーの飲み物を飲むのも良い。〈大事なのは、無理せず、長く続けることなのです〉。なお筋肉が落ちないよう、階段の上り下りのような簡単な「筋トレ」が推奨されている。
最初から「空腹の16時間」を意識しすぎるとつらいので、「できるだけ空腹の時間を作り、それがたまたま16時間続けられればラッキー」というくらいの気構えで取り組めば良いだろう。
本書には、これを1年続けて脂肪肝が改善した50代の会社員や、血圧が下がり便秘も解消したという60代の主婦の例が紹介されている。あなたも試してみませんか?(てつだ・のりお=奈良まほろばソムリエの会専務理事)
ある日、本屋に入ると『「空腹」こそ最強のリスク』という文字が目に飛び込んできて、ビックリした。空腹はリスクなのか、と本を手に取ると、そうではなく最強の「クスリ」だったので、ホッと胸をなで下ろした。それからは自信を持って1日2食を続けている。体調は良い。昨日(7/22)特定健康診査を受けたところ、1年前と比べて体重は1.3kgも減っていた、うれしい!では、記事全文を紹介する。
「空腹」が健康の秘訣
昨年秋に会社を完全リタイアしてから、1日3食という日がほとんどない。たいてい2食、時には1食という日もある。そんなにお腹が空かないし、「連れだってランチでも」ということがなくなったからだ。運動不足が原因というわけでもなくて、毎日近所を散歩するので最低でも1日4000歩、外出すれば8000歩以上は歩く。
「人は1日3食が基本」と思っていたので、これには少々罪悪感を覚えていた。しかし会社員時代、仕事で出会った新聞記者が「私は常に1日2食で、昼食は抜いています。なぜか2食の方が体調が良いのですよ。昼食のアポが入ったときは、朝食を抜いてきます」と言っていたので、健康に支障はないのだとは思っていた。
ところが『「空腹」こそ最強のクスリ』(アスコム刊 税別1400円)を読んで、目からウロコが落ちた。なんと〈「1日3食とるのが体にいい」は、間違いだった〉〈1日3食は、胃腸を疲れさせ、体の不調を招く〉(本書からの引用、以下同じ)というのだ。筆者は医学博士で生活習慣病専門医の青木厚氏なので、いい加減な話ではない。以下、本書の要点を紹介する。
▼オートファジーを動かす
オートファジーとは「古くなった細胞が新しく生まれ変わる」という体の仕組みのこと。この研究は2016年、ノーベル生理学・医学賞を受賞した。空腹の時間を作ればオートファジーが動きだす。
〈オートファジーによって、古くなったり壊れたりした細胞が内側から新しく生まれ変われば、病気を遠ざけ、老化の進行を食い止めることができるのです。つまり、空腹の時間を作ることで、●内蔵の疲れがとれて内蔵機能が高まり、免疫力もアップする。●血糖値が下がり、インスリンの適切な分泌が促され、血管障害が改善される。●脂肪が分解され、肥満が引き起こすさまざまな問題が改善される。●細胞が生まれ変わり、体の不調や老化の進行が改善される。といったさまざまな「体のリセット効果」が期待できます〉。
▼空腹の16時間を作る
オートファジーのスイッチを入れるためには「ものを食べない時間」を作ることが必要で、最後にものを食べてから16時間後にスイッチが入るという。簡単に言うと、一食抜いて「半日断食」を行うのだ。例えば、夜8時に夕ご飯を食べ終わる。11時に就寝して朝7時に起きる。朝食を抜いて正午にブランチを食べると16時間空腹になる。平日に実行するのが難しければ、土日にやれば良い。〈カロリー計算など、難しいこと、面倒なことを考えなくても、内臓の疲れがとれ、血糖値が下がり、脂肪が落ち、細胞が生まれ変わり、さまざまな体の不調や病気、老化を遠ざけることができます〉。
▼食べたくなったらナッツ
起きてから4~5時間の空腹はしんどい、という人もいるだろう。その場合はナッツ類(できるだけ素焼きのもの)を食べれば良いという。ナッツが苦手という人は、生野菜のサラダ、チーズ、ヨーグルトなどを食べる。ゼロカロリーの飲み物を飲むのも良い。〈大事なのは、無理せず、長く続けることなのです〉。なお筋肉が落ちないよう、階段の上り下りのような簡単な「筋トレ」が推奨されている。
最初から「空腹の16時間」を意識しすぎるとつらいので、「できるだけ空腹の時間を作り、それがたまたま16時間続けられればラッキー」というくらいの気構えで取り組めば良いだろう。
本書には、これを1年続けて脂肪肝が改善した50代の会社員や、血圧が下がり便秘も解消したという60代の主婦の例が紹介されている。あなたも試してみませんか?(てつだ・のりお=奈良まほろばソムリエの会専務理事)