昨日の奈良新聞(2022.7.1付)一面トップに、〈シカの食害深刻 吉野・七曲坂のアジサイ園 新芽や葉に被害 防御柵など対策検討〉という大きな記事が出ていた。〈背の高いアジサイは上の方で花を咲かせ、背の低いアジサイは枯れ木のような姿に〉と、これは深刻だ。
※これら2枚の写真は、奈良新聞の同記事サイト(2022.7.1)から拝借した
吉野山は毎年のように訪れるが、アジサイの時期に訪ねたのはもう13年も前なので、私は全く気づいていなかった(当時のブログ記事は、こちら)。幸い奈良新聞の記事と写真は無料公開されているので、以下に全貌を紹介しておく。
以下の写真は「吉野山あじさいまつり」の時期に私が撮影した七曲坂のアジサイ(2009.6.13)
シカの食害深刻 吉野・七曲坂のアジサイ園
新芽や葉に被害 防御柵など対策検討
吉野山(奈良県吉野町)の玄関口、七曲坂のアジサイ園がニホンジカのために深刻な被害を受けている。シカが届く高さの新芽や葉が食い荒らされるため、背の高いアジサイは上の方で花を咲かせ、背の低いアジサイは枯れ木のような姿に。最盛期は約4千株あったアジサイは現在、10分の1にも満たない状態だという。町観光協会では防御柵の設置など対策を検討している。
七曲坂のアジサイ園の植栽は、通年型観光を目指して30年以上前にスタート。地元の旅館や商店が10年以上かけて苗を植え続け、毎年剪定や草刈りをして育ててきた。シカは新芽を好んで食べる。2015年頃からアジサイ園でシカの食害が見つかり、町観光協会が補植してはシカに食べられるイタチごっこを繰り返してきた。状況は悪化の一途をたどり、19年から「あじさい祭り」は中止に。20年以降はコロナ禍の影響で補植もできず、食害は一層拡大した。
シカが増えた主な原因には、天敵の不在▽温暖化で積雪が減り、越冬するシカの個体数が増えたこと▽シカ肉や毛皮の需要が減り、捕獲数が減ったこと―などが挙げられるという。
シカの食害対策は、侵入を防ぐ防御柵が効果的だ。県農業水産振興課鳥獣対策係によると、吉野町でのシカ捕獲数は17年が276頭、20年が366頭と増加傾向。07年の67頭と比較すると、約5倍に増えている。商業的農業の被害面積と金額は17年が7ヘクタール115万円、20年が2ヘクタール65万円。これまでの被害のピークは10年151ヘクタール8400万円で、防御柵等の対策が効果を発揮している。一方で、対策が及んでいない自家菜園の被害報告が目立つという。
ただ、国立公園に位置し、04年に世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部に登録された吉野山では、景観保護の観点や面積も広大であることから、柵の設置には行政への許可申請が必要だ。町観光協会の東利明会長(69)は「先代から受け継いだアジサイ園を守り、復興していきたい。どこに、どれくらいの防御柵を作れるか、鳥獣被害として助成を受けられるかも含めて行政に相談していけたら」と話し、対策を検討している。
※これら2枚の写真は、奈良新聞の同記事サイト(2022.7.1)から拝借した
吉野山は毎年のように訪れるが、アジサイの時期に訪ねたのはもう13年も前なので、私は全く気づいていなかった(当時のブログ記事は、こちら)。幸い奈良新聞の記事と写真は無料公開されているので、以下に全貌を紹介しておく。
以下の写真は「吉野山あじさいまつり」の時期に私が撮影した七曲坂のアジサイ(2009.6.13)
シカの食害深刻 吉野・七曲坂のアジサイ園
新芽や葉に被害 防御柵など対策検討
吉野山(奈良県吉野町)の玄関口、七曲坂のアジサイ園がニホンジカのために深刻な被害を受けている。シカが届く高さの新芽や葉が食い荒らされるため、背の高いアジサイは上の方で花を咲かせ、背の低いアジサイは枯れ木のような姿に。最盛期は約4千株あったアジサイは現在、10分の1にも満たない状態だという。町観光協会では防御柵の設置など対策を検討している。
七曲坂のアジサイ園の植栽は、通年型観光を目指して30年以上前にスタート。地元の旅館や商店が10年以上かけて苗を植え続け、毎年剪定や草刈りをして育ててきた。シカは新芽を好んで食べる。2015年頃からアジサイ園でシカの食害が見つかり、町観光協会が補植してはシカに食べられるイタチごっこを繰り返してきた。状況は悪化の一途をたどり、19年から「あじさい祭り」は中止に。20年以降はコロナ禍の影響で補植もできず、食害は一層拡大した。
シカが増えた主な原因には、天敵の不在▽温暖化で積雪が減り、越冬するシカの個体数が増えたこと▽シカ肉や毛皮の需要が減り、捕獲数が減ったこと―などが挙げられるという。
シカの食害対策は、侵入を防ぐ防御柵が効果的だ。県農業水産振興課鳥獣対策係によると、吉野町でのシカ捕獲数は17年が276頭、20年が366頭と増加傾向。07年の67頭と比較すると、約5倍に増えている。商業的農業の被害面積と金額は17年が7ヘクタール115万円、20年が2ヘクタール65万円。これまでの被害のピークは10年151ヘクタール8400万円で、防御柵等の対策が効果を発揮している。一方で、対策が及んでいない自家菜園の被害報告が目立つという。
ただ、国立公園に位置し、04年に世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部に登録された吉野山では、景観保護の観点や面積も広大であることから、柵の設置には行政への許可申請が必要だ。町観光協会の東利明会長(69)は「先代から受け継いだアジサイ園を守り、復興していきたい。どこに、どれくらいの防御柵を作れるか、鳥獣被害として助成を受けられるかも含めて行政に相談していけたら」と話し、対策を検討している。