私の生まれ故郷・九度山町(和歌山県伊都郡)の「ふるさとセンター」(町役場の敷地内)で8月5日(土)、詩人・寮美千子さんの講演会「詩が開いた心の扉~奈良少年刑務所での試み~」(14:00~15:30)が開催される。入場無料・申し込み不要。寮さんのHPによると、
■寮美千子講演@九度山町「詩が開いた心の扉~奈良少年刑務所での試み~」
日時:8月5日(土) 13:00開場 14:00~15:30
※13:30~55開会行事、15:30~40質疑応答
場所:九度山ふるさとセンター (南海高野線「九度山」駅より徒歩6分)
和歌山県伊都郡九度山町九度山1190-1
料金:無料
申込:不要
主催:伊都地方人権教育研究協議会・伊都地方PTA連合会
後援:橋本市・かつらぎ町・九度山町・高野町・伊都地方教育委員会連絡協議会・伊都地方社会教育委員連絡協議会・伊都地方父母クラブ連絡協議会・伊都郡橋本市公民館連絡協議会
寮美千子、和歌山県九度山町での講演です。第11回伊都地方教育講演会。奈良少年刑務所での教育と、「奈良少年刑務所詩集」について話します。どなたでも無料で聴講できます。本の販売もあります。お近くのみなさま、ぜひ。
寮美千子さんは、奈良少年刑務所の「社会性涵養(かんよう)プログラム」の講師を務めておられた。受刑者たちの詩集『空が青いから 白をえらんだのです』(寮美千子編)は、私の愛読書である。本書の「はじめに」に、寮さんはこう書かれている。
この詩集は、奈良少年刑務所の更生教育である「社会性涵養プログラム」から生まれた作品を中心に57編を編んだものです。「詩」は、閉ざされた彼らの心の扉を、少しだけ開いてくれました。
詩など、ほとんど書いたことのない彼らには、うまく書こう、という作為もありません。だからこそ生まれる、宝石のような言葉たち。心のうちには、こんなに無垢で美しい思いが息づき、豊かな世界が広がつています。
そこから垣間見える、彼らのやわらかな心、やさしさや苦悩。彼らはいつか、あたりまえの心を素直に表現できるようになるでしょうか。
あたりまえの感情を、あたりまえに表現できる。受けとめてくれる誰かがいる。それこそが、更生への第一歩です。受刑者たちの心の声に、どうか耳を傾けてみてください。
本のタイトルの「空が青いから 白をえらんだのです」も、「くも」と題する1編の詩である。寮さんはこんな解説を書いている。
Aくんは、普段はあまりものを言わない子でした。そんなAくんが、この詩を朗読したとたん、堰(せき)を切ったように語りだしたのです。「今年でおかあさんの七回忌です。おかあさんは病院で『つらいことがあったら、空を見て。そこに私がいるから』とぼくにいってくれました。それが、最期の言葉でした。おとうさんは、体の弱いおかあさんをいつも殴っていた。ぼく、小さかったから、何もできなくて……」
Aくんがそう言うと、教室の仲間たちが手を挙げ、次々に語りだしました。(中略) たった一行に込められた思いの深さ、そこからつながる心の輪。「詩」によって開かれた心の扉に、目を見開かれる思いがしました。
母親を詠ったこんな詩もある。タイトルは「誕生日」。
小さいころは いつも手を引いてもらったのに
いつのまにか その手を拒み 避けてきた
「産んでくれなんて 頼んでない」
勢い余って そう言ったとき 泣き崩れた母
きょうは わたしの誕生日
それは あなたが母になった誕生日
産んでくれなんて 頼まなかった
わたしが自分で
あなたを親に選んで 生まれてきたんだよね
おかあさん 産んでくれてありがとう
消すことのできない過去を背負った受刑者のLくんは「まほうの消しゴム」という詩を書いた
なんでもかんでも 消せる消しゴム
いやなことや
いろんな人に迷惑かけたこと
こんな自分を 消せる消しゴム
そんな消しゴムが あったらいいな
最後に、こんな初々(ういうい)しい詩を紹介しておく。タイトルは「雨と青空」。
ざんざんぶりの雨のなか
水玉のカサをさして
花柄のスカートが少し濡れて
かわいくって 恋におちました
窓から見える 青い空
ぼくの好きな人も 見ているかな
寮さんが紀州・九度山で、どんなお話をされるか楽しみである。紀北にお住まいの皆さん、ぜひ足をお運びください!
■寮美千子講演@九度山町「詩が開いた心の扉~奈良少年刑務所での試み~」
日時:8月5日(土) 13:00開場 14:00~15:30
※13:30~55開会行事、15:30~40質疑応答
場所:九度山ふるさとセンター (南海高野線「九度山」駅より徒歩6分)
和歌山県伊都郡九度山町九度山1190-1
料金:無料
申込:不要
主催:伊都地方人権教育研究協議会・伊都地方PTA連合会
後援:橋本市・かつらぎ町・九度山町・高野町・伊都地方教育委員会連絡協議会・伊都地方社会教育委員連絡協議会・伊都地方父母クラブ連絡協議会・伊都郡橋本市公民館連絡協議会
寮美千子、和歌山県九度山町での講演です。第11回伊都地方教育講演会。奈良少年刑務所での教育と、「奈良少年刑務所詩集」について話します。どなたでも無料で聴講できます。本の販売もあります。お近くのみなさま、ぜひ。
空が青いから白をえらんだのです ―奈良少年刑務所詩集― | |
寮美千子編 | |
新潮文庫 |
寮美千子さんは、奈良少年刑務所の「社会性涵養(かんよう)プログラム」の講師を務めておられた。受刑者たちの詩集『空が青いから 白をえらんだのです』(寮美千子編)は、私の愛読書である。本書の「はじめに」に、寮さんはこう書かれている。
この詩集は、奈良少年刑務所の更生教育である「社会性涵養プログラム」から生まれた作品を中心に57編を編んだものです。「詩」は、閉ざされた彼らの心の扉を、少しだけ開いてくれました。
詩など、ほとんど書いたことのない彼らには、うまく書こう、という作為もありません。だからこそ生まれる、宝石のような言葉たち。心のうちには、こんなに無垢で美しい思いが息づき、豊かな世界が広がつています。
そこから垣間見える、彼らのやわらかな心、やさしさや苦悩。彼らはいつか、あたりまえの心を素直に表現できるようになるでしょうか。
あたりまえの感情を、あたりまえに表現できる。受けとめてくれる誰かがいる。それこそが、更生への第一歩です。受刑者たちの心の声に、どうか耳を傾けてみてください。
本のタイトルの「空が青いから 白をえらんだのです」も、「くも」と題する1編の詩である。寮さんはこんな解説を書いている。
Aくんは、普段はあまりものを言わない子でした。そんなAくんが、この詩を朗読したとたん、堰(せき)を切ったように語りだしたのです。「今年でおかあさんの七回忌です。おかあさんは病院で『つらいことがあったら、空を見て。そこに私がいるから』とぼくにいってくれました。それが、最期の言葉でした。おとうさんは、体の弱いおかあさんをいつも殴っていた。ぼく、小さかったから、何もできなくて……」
Aくんがそう言うと、教室の仲間たちが手を挙げ、次々に語りだしました。(中略) たった一行に込められた思いの深さ、そこからつながる心の輪。「詩」によって開かれた心の扉に、目を見開かれる思いがしました。
母親を詠ったこんな詩もある。タイトルは「誕生日」。
小さいころは いつも手を引いてもらったのに
いつのまにか その手を拒み 避けてきた
「産んでくれなんて 頼んでない」
勢い余って そう言ったとき 泣き崩れた母
きょうは わたしの誕生日
それは あなたが母になった誕生日
産んでくれなんて 頼まなかった
わたしが自分で
あなたを親に選んで 生まれてきたんだよね
おかあさん 産んでくれてありがとう
消すことのできない過去を背負った受刑者のLくんは「まほうの消しゴム」という詩を書いた
なんでもかんでも 消せる消しゴム
いやなことや
いろんな人に迷惑かけたこと
こんな自分を 消せる消しゴム
そんな消しゴムが あったらいいな
最後に、こんな初々(ういうい)しい詩を紹介しておく。タイトルは「雨と青空」。
ざんざんぶりの雨のなか
水玉のカサをさして
花柄のスカートが少し濡れて
かわいくって 恋におちました
窓から見える 青い空
ぼくの好きな人も 見ているかな
寮さんが紀州・九度山で、どんなお話をされるか楽しみである。紀北にお住まいの皆さん、ぜひ足をお運びください!