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奈良ものろーぐ(13)モリソン万年筆/御所市で創業 一世を風靡 「カフェ&バー」が人気

2017年05月04日 | 奈良ものろーぐ(奈良日日新聞)
奈良日日新聞(週刊)に毎月第4金曜日に連載している「奈良ものろーぐ」、いよいよ2年目に突入した。4月(4/28掲載)は「モリソン万年/ 御所市で創業 一世を風靡」だった。私の実家にも黒軸に金のトリム(装飾の輪)の入ったモリソン万年筆があって、使っていた経験がある。しかしこのメーカーが御所市の企業だったとは、全く知らなかった。
※写真は、カフェに展示されているモリソン万年筆

その本社建物を利用して、「モリソン万年筆&カフェ」というカフェ&バーが昨年(2016年)11月にオープンした。ランチタイムのカレーライスや、夜の一品料理が人気だ。では、記事全文を紹介する。

最近はとんと万年筆を使わなくなった。そのつどインクに浸さなけなければならないペン(鋼ペン先)に対し、軸内にインクを蓄えておく筆記用具が万年筆だ。「末長く使える筆」という意味で、内田魯庵(ろあん)が名付けたとされる。戦後から昭和30年代にかけて盛んに生産され、輸出もされた。

故大橋巨泉の「みじかびの きゃぷりきとれば すぎちょびれ すぎかきすらの はっぱふみふみ 分かるね?」というなんとも人を食ったパイロット万年筆のテレビCMが話題になったのは、昭和44年のことだった。

パイロット、プラチナ、セーラーが御三家といわれたが、それに次ぐブランドとして、関西圏を中心に支持を集めたのがモリソン万年筆だ。書き心地の良さとモダンなデザイン、細いペン先が特徴だ。

樹林舎刊『写真アルバム 大和高田・御所・香芝・葛城の昭和』には同社工場(御所市東松本 昭和33年)の写真が出ている。説明文には「大正7年、配置薬の行商をしていた谷川寅次郎は万年筆の製造を始め、谷川梅林堂を創業した。行商に筆記具が必要だったことに加え、客から薬のほかに調達を依頼されるものの中に万年筆が多かったことが動機という。組み立て式からオリジナルブランドの軸制作を始め、会社は成長。戦後にはモリソン万年筆(現モリソンファクトリー)と社名を改めた。その後、万年筆の需要が減少したので、手作りの高級品のみとし、製造の中心はボールペンとなった」。

同社は昭和45年頃には万年筆の製造を中止したが、その本社建物(御所市西町1069)を活用して「モリソン万年筆&カフェ」というカフェ&バーが昨年11月にオープンした。江戸時代の町並みが残る御所まちの一角にある。重厚な建物の中にありながら、都会のバーを思わせるおしゃれな店だ。

開店の経緯が興味深い。平成27年、町おこしイベント「霜月祭(そうげつさい)」で、万年筆の展示やシフォンケーキの販売をしたところ、半日で完売。これを機にカフェの開業を決意、クラウドファンディングなどで資金を調達したという。

ここのカレーがランチタイムに人気だ。オリジナルのスパイス調合で、ココナッツミルクを使った熱帯アジア系のカレーも味わえる。 夜のメニューなら「グリル・ダッチ」。ダッチオーブン(金属製の蓋つきの分厚い鍋)で焼いた料理という意味で、鶏肉、ジャガイモ、ニンジンをとろけるチーズでコーティングした料理で、お酒にもよく合う。

店主の谷川岳彦さんとの会話を楽しみながら、静かに流れる時間をたっぷりと味わっていただきたい


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