tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

1260回目のお水取り(東大寺二月堂修二会2011)

2011年03月10日 | 奈良にこだわる
東大寺二月堂修二会(しゅにえ)、通称「お水取り」「お松明(たいまつ)」、今年(11年)は、3/4(金)と3/7(月)に拝見してきた。時期が早かったので超満員というわけではなかったのが、有り難かった。この土日(3/12~13)はおそらく大混雑になると思うので、賢明な皆さんは、ぜひお避けいただき、3/14までの平日にお参りいただきたい。
お水取りに3つの誤解(当ブログ内)ご参照



この時期(3/1~14)には合計141本の大松明が焚かれる。松明は長さ約8m、重さは約20~30kgもあるという。毎日新聞奈良版は早くから「1260回目の祈り '11 お水取り」というコーナーを設けて、その舞台裏を報じている。2/16には「竹送り」が紹介された。《奈良市般若寺の市民グループ「仁伸会」(岡本三好会長)が13日、たいまつの竹を奉納する「竹送り」をした。奈良市在住の作家、寮美千子さんが初めてツイッターでボランティアを募り、約30人が参加した》。



《岡本会長は竹屋だった親の代から奉納。5年前に会が発足し、近隣住民らも協力しているが、高齢化が進み、人手も不足していた。参加者は、前日に同市東部で掘り出した17本を二月堂まで歩いて運んだ。1本が長さ約8・5メートル、重さ20~30キロもあり、観光で訪れたスイス人男性は笑顔で「重い」。奈良市の銀行員、末澤昭宏さん(49)は「心が洗われる。奈良の人は意外にこうした行事に参加していないが、もったいない」と話した》。



一方、ボランティア呼び掛け人の寮美千子さんは、昨日(3/9)の「ならまち暮らし」(毎日新聞奈良版)というエッセイ欄で、活動の様子を活写されていた。《松明に使われる竹は、古来から奉納されている。奈良の仁伸会も、いつかわからぬ昔から、竹の奉納を続けてきた。高齢化してきたため後継者がほしい、とのことで「根付きの竹」を掘るボランティアをこの欄で募ったのが1月のことだった。根付きだと、ヤジロベエのように松明とのバランスが取れるのだ。竹を伐るだけなら簡単なのだが、根付きのまま掘り出すのは一苦労》。

竹掘りは2/12(土)に行われた。《来て下さったのは、長い海外赴任を終え定年で奈良に戻られた方、同じく定年退職して奈良で第二の人生を始めようとゲストハウスを開かれた方、現役バリバリの銀行員と司法書士のうら若き女性だった。わたしと夫も含めて、肉体労働系の人は1人もいないという、ちょっと頼りない応援軍団となった》。





《普段から土木工事をなさっている仁伸会の方々は、さすがに動きが違う。ロープの結び方、竹の倒し方、みな鮮やかだ。わたしたちはじゃまにならないよう気をつけ、雪の竹林で、できることをがんばるしかなかった。それでも根付き11本を掘り、根無し5本も添えて、翌13日に奉納することができた。みなまっすぐで8メートルもある立派な竹だ》。

《竹奉納のほかにも、多くの人が様々な形で関わり、1260回ものお水取りが続いてきた。もしかしたら、あれはわたしが掘った竹かもしれない、と思いながら見るお松明。赤々と燃えあがる炎が、今年は涙でにじむかもしれない》。この模様は「町屋ゲストハウスならまち 日記」にも、写真入りで紹介されている。私たちは、燃え上がるお松明に歓声を上げるばかりだが、このような陰のご努力に思いを致さなければならない。





参加者の「奈良の人は意外にこうした行事に参加していないが、もったいない」というコメントが紹介されていたが、全くその通りである。そもそも「お水取り(お松明)を拝観したことがない」という県民が多いのにも、驚かされる。寺社の伝統行事は、講員(講のメンバー)をはじめとする住民協力者の努力で支えられ、続けられてきた。それを知るためには、伝統行事に足を運ぶことが第一歩である。
※夜間の写真は3/7、それ以外は3/4に撮影
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