アスベスト疾患について、宇土広大教授にレクチャーを受ける。参加者は、広島市議会議員1名、労働安全センター職員2名、それに私。アスベスト疾患と塵肺に関して、労災認定は国が厳しい基準を設けている。推定二千万人とされる、建設、造船労働者の労災を国が、その保障をする事になると、労災保険が破綻するからである。今の、年金と同じである。そこで、色々厳しい基準を設けて、被害者に対し出来るだけ、保障を避けようとしているのである。現在、アスベスト疾患の労災認定を求めて、係争中が2件、近々広島を中心に訴訟がされそうである。アスベスト疾患の患者の実態に合わない基準に対し、やっと法曹界がお神輿を上げ始めたようである。近々弁護士の先生たちによる勉強会が始められる。私も勉強会の一員としてこの訴訟に係わる事に成りそうだ。現在「健康管理手帳」(石綿)の取得者が、全国で約2万人と推定されている。それにしても少ないように思う。この三ヶ月で30人の「健康管理手帳」(石綿)取得者を手助けしたことからして、あまりにも社会に対し、この制度を広めようとしない行政の姿が、見え隠れする。その姿勢を正す為に、今年の新しい、「健康管理手帳」(石綿)取得者の広島での目標を百人と、心の中で決めている。何かしら、可能な数字に思える。数が揃うと、行政は警戒を始める。警戒が始まると、市民がそれを感じ運動が過激に成る。過激に成ると、裁判つまり、訴訟という事になる。どうもその段階に進みつつあるようだ。
昨日よりPC不調。どうも私に付き合ってくれているように思う。
体調不良時は、ブログも休めという事か。しかし、友人のご主人の中皮腫の、労災申請の方法が気に罹り、なかなか眠れない。
四十六年前の記憶だけで申請するより、自営として、現場金物製作途上での、アスベストばく露で、申請するほうが、現実的だと思う。一人親方として、労災に加盟していたのだから、当然その方が、労働基準監督署も判断が、容易いように思う。結果として労災の認定を受ければよいのであって、入り口で時間を使うより、その方が良いように思う。ある大工さんの例も同じように思う。アスベストが使用されている建築現場を特定するより、日常的に新建材によるアスベストばく露で、申請し直すほうが、労働基準監督署も判断がしやすいように思う。人それぞれであるが、申請を手助けされた方の考え方が、問題を複雑にしているように思えてならない。
厚生労働省のホームページを、隅々まで検索すると、色々面白いデーターがある。その中に、「平成21年度石綿ばく露作業による労災認定等事業場一覧表」という、項目に行き着いた。そのデーターによると、1053人の労災が認定されている。時効延長法による申請もこの中に含まれているはずであるが、その認定の実態までは、記述が無い。その中に、ばく露事業場が不明なものが、20名存在する。つまり、何処で石綿にばく露したのか不明な例である。明らかに石綿による発病で有るが、どこでばく露したか、不明なのである。石綿にばく露することは、近くに石綿が存在したはずであるが、それが何処なのか不明な例があるということである。一つの例をここに記載してみることにする。嘗て、広島に万年パイプという石綿管(風呂の煙突など)を製造していた会社であるが、この会社、大洲小学校、中学校のすぐ隣に存在した会社である。昭和四十年代には盛んに製造していたが、当時石綿の危険性を認識した市民は少なく、行政も殆ど野放し状態の中で製造されていた。自ずから、石綿の飛散がなされたであろう。風に乗って、隣接地の小学校、中学校に飛び、子供たちがばく露したのは当然である。こうした人たちが、中皮腫を発症した時、曝露事業場不明と処理される。この最大事故が、クボタ鉄鋼のアスベスト公害事件である。こうした例は、どうも全国に存在しそうである。全国の都道府県に小規模な石綿パイプ工場や、人口大理石工場が点在していたようである。そうした中で、造船、建設、製鉄、鋳物、自動車部品製造、鉄道関係企業から、多くの労災認定者を出している。中でも、建設業が半数を占めている。それだけ多く石綿を使用したことになる。
今日この石綿の撤去作業や、ビルの解体作業で排出される石綿の処分工場の分布や、その経営者を検索すると必ず大手建設会社が資本参加している。つまり、石綿を使用して利益を上げ、今度は処分して再び利益を上げているのである。この実態を知ったとき、愕然とした。1960年当時の社会党が、アスベスト使用禁止法を提出しようとしたとき、真っ先に反対したのがゼネコンであった事は、調査の段階で判明してきた事実である。自民党もお先棒を担ぎ、アスベストを禁止すると、関連企業の労働者が路頭に迷うとおどしをかけ、法案をつぶしたその付けが、今日我々に降りかかっているのです。
また、一人親方と呼ばれる人たちが34名存在する。多くが大工さんであろうと思われる。理由については、後日詳しく記載したいと思う。
早朝4時、眠れないので起き上がり「健康管理手帳」(石綿)の申請書の添削を終え、郵送の準備を終えた。今回の申請者は、私より6歳年下であるが、健康診断書を拝見するに、すでに胸膜肥厚がある。私も60歳頃は、少しも異常を感じる事も無く、仕事をしていた事が昨日のように思い出される。彼の現在の状態が長く続くよう祈るしかない。午前中、市内中心部を往復した。こんなにも疲れるとは思わなかった。背中と首筋が張り詰めている。きりきりと締め付けられる痛みである。痛み止めを飲み、気分転換のためアスベスト資料の整理をしたが、やはり今後の活動の仕方が固まらないでいる自分が腹立たしい。アスベスト被害者は、嘗ての関係者集団と、私の様な建設関係者や、造船関係者、また、まったくの貰い事故的被害者など、40業種以上多様に存在する。それだけに統一的な全国組織が形成されにくく、存在していてもそれぞれの系統により活動している。其処に、活動の厚さを持たせる事の難しさが、存在する事に気づいた。 危険を承知でアスベストを使用続けた、企業の責任と国の責任とを、追及するにはアスベスト曝露者で、未発症の人たちの力こそ必要であると思う。そのためにも、一人でも多くの「健康管理手帳」(石綿)の取得者を増やし、新しくどのセクトにも属さない、新しい風を送り来む必要を感じる。発症してからの運動には、それなりの説得力が存在するが、病状から活発な活動力に欠けてくる。アスベスト疾患発症の危機感を背負いながらの、新しい運動こそ国を動かすように思う。まずはその取り組みを、広島から始めようと思う。
昨日は、妻の免許書き換えに同行し、その後、市議会議員の新年互例会に出席。地元電鉄会社の労組の幹部と、アスベスト対策について、協議した。その中で、会社や従業員が、知らない事があまりにも多くあり、また、OBの健康問題に係わる問題であり、今後連携して行く事で意見の一致を見た。広島には、バス、タクシー等多くの交通に係わる企業が存在するが、いずれの企業もアスベストに関しての認識が無さ過ぎるように思う。いずれにしても、昨日の行動がハードであったのか、夜半より背中に痛みがあり、うつらうつらの状態で、二時に一度起き上がり、少しの間、暖かな部屋で、「健康管理手帳」(石綿)申請書類の添削していたが、疲れがひどく集中できない。やも無く、布団に横になったが、やはり寝付く事が出来ず、四時半よりパソコンの前で、気の向くまま、皆さんのブログを覗き見している。人それぞれに、病があったり、社会に対する怒りや不満が、インターネット上を飛び交っている様は、正に二十四時間人の息吹を感じる事が出来る唯一の物のように思えてきた。情報発信源としての力強さを感じる。それにしても、日本人は我慢強い人種だとつくづく思い始めた。経済情勢や、3.11以降の政治情勢から考えると若者たちがもっと大きく跳ね上がるような運動をなぜ起こさないのか、不思議である。若き人たちのエネルギーの無さに日本の未来を感じる思いがしている。