入院中の奥様から、電話が来た。毛糸、鈎針、出来かけのボーシ。どうやら病院で編み物店を開設するらしい。あの人の考えそうな事である。よほど退屈なのであろう。それだけ元気な証拠である。二日訪問を控えていた。こちらも体調を考えながら訪問する予定だ。明日は早朝に訪問し、その後、南区に存在していた、万年煙突の跡地を訪ね、近隣の聞き取り調査を行なおうと思う。午後は、行政書士講座に行き、帰りに嘗ての友人二名と、二年ぶりに会い、「健康管理手帳」(石綿)の申請の話をする事に成っている。二人とも元造船マン。「健康管理手帳」(石綿)手帳の取得権利者である。皆さんは、戦艦大和がなぜに制作費が高価であったかご存知だろうか。各弾薬庫を、石綿で仕切り、耐火構造にする事に莫大な資金と手間が必要であった。石綿は、カナダ産、輸入に相当な苦労があったようである。世界の目が、日本の軍拡に目を光らせていたからである。これまで輸入された1,000万トンの石綿が、何処に往ったか分かり始めてきた。戦前は呉に集中的に使用され、大和、武蔵、飛龍・・・軍艦となった。戦後は民需に使用された。焼け跡の再建に使われた、アスベスト瓦、通称セメント瓦等々復興の為の資材に使われた。戦前は高価であった石綿も軍の需要が無くなり下落、逆に安くて強いセメントと相性がいい。また鉛とも相性がよく、市内電車のブレーキに使用された。陶器粘度と一緒に焼成し鉄道用や自動車用のブレーキとして利用された。そうした過程で我々人間を襲ってきたのである。自業自得なのかも知れない。
今週何としても、旧万年煙突の工場周辺地区の人たちとコンタクトを取り、アスベスト被害者が、存在しないか調査するつもりである。アスベストの危険性が、世に伝わり始めてからの、工場周辺環境は大幅に改善したであろう。TVで宣伝されている掃除機の内、サイクロン掃除機がある。この機械は、アスベストのような、微小粉塵を吸収する為に開発されたものである。この集塵装置が設置される前は、野放し状態であった。工場近隣から、中皮腫をはじめとするアスベスト疾患が発生していないのか詳しく調べてみたい。また、中国浅野パイプがあった、三原市本郷町についても是非とも現地を訪ね、近隣に被害が無かったかどうかの調査を行っていく予定である。
私の奥様「あかね」は、いたって外面が良いようである。病室の方たちが、私の訪問を待ち受けていました。開口一番、「ご主人は一日中退屈しないでしょう」。どうも皆さんは、妻の外面の良い事をご存じないから一年中、明るく朗らかに生活している事だろうと想像されるらしい。我慢強い私のことは、理解いただけないので、否定しない事にした。否定しても、せん無い事である。ところで、術後の回復状況は順調で、奥様は看護士の皆さんにかしづいて頂き、満足なご様子である。読書三昧の毎日に不満など有るはづが無い。三食読書つきの生活を、理想としてきた「あかね」さまの本懐とゆうべきかもしれない。一人暮らしも三日目。寂しさは無いが、家の中に音が無い。耳の悪かった「あかね」は、いつもTVを大音量でつけていたので、あまりTVを見ない私だけでいると、家に音がなくなることに気づいた。明日は孫たちが見舞いに行く様である。
昨日は、一日休養日となってしまった。朝妻に電話すると、逆にこちらの健康を心配し、天候不良もあり、一日ゴロ寝して過ごした。と言っても、午後速達で健康管理手帳(石綿)の申請書が三通入っており、添削してほしいとのことで、三ヶ月ほど前に、メールで相談を受けていた方の、お父さんのグループである。職業は皆さん元大工さんで、それぞれが個人経営者であった方である。昨夜は遅くまで添削し、今日通院途中で投函する予定である。この人たちは、始め直接地元労働局に行き、相談したが、書面の書き方の指導前は、してくれなかったそうである。この手帳の申請権利者は年金生活者が殆どで、司法書士事務所や、行政書士事務所へお願いするほどの、経済的余裕はなく、私を頼って来られたようである。九州からの相談は、初めての事であり、九州には、元炭鉱労働者が多く生活しておられるので、救済活動グループが多く存在するであろうと勝手に思っていたが、WEB上でも、検索で探せなかった事からして、労働組合の衰退とともに、そうした活動も、衰退しているのか、はたまた、水俣、カネミ油症という大きな公害に手をとられ、アスベスト問題が脇に追いやられているようにも、感じている。九州の被害者はどの様な活動をしているのか、一度出向いて調査する価値がありそうである。
私の妻「あかね」、本日午後一時から、鼓膜再生手術。生憎私は、広島県建設紛争委員会に、証人で参加の為、娘が代理で立会いをしてくれました。一時間半の手術だったようです。子供の頃からの中耳炎。相当悪化させていた様で、担当医師の説明を、五時過ぎから受けました。真珠腫が、出来始めていたようで、手術はかなり難しい手術であったようである。後は術後の養生しだいで、鼓膜が再生してくるそうです。しかし、考えてみると不思議である。耳骨を加工して手入れすると鼓膜が再生されるとは。生命力の不思議さに感動しながら、先生の説明を聞いていた。午前中同室の皆様と、楽しく雑談する中に健康談義が出てきて、ご主人も脳梗塞で、おなじ病院に入院中のご夫婦と親しくなり、ご主人の後遺症対策の相談に乗る事になってしまった。宇土 博先生の話をし、是非とも一度診察を受けられることをお勧めした。まさか県立病院という、広島県の最先端医療の病院で、和漢方医療の先生を紹介しようとは、思いもしなかった。