藤森照幸的「心」(アスベスト被害者石州街道わび住い)

アスベスト被害者の日々を記録。石綿健康管理手帳の取得協力の為のブログ。

無くなった風習

2021-08-25 08:59:41 | 日記・エッセイ・コラム

 昭和三十年代まで、広島の街でも、夏と言えば、虫の音を楽しむ風習があった。 子供達は、「キリギリス」を捕まえて、虫かごで飼っていた。 熱い夏休み中、「チョウンギース」 と鳴いていた。 それに夜となると、「クツワムシ」。 「ガチャ、ガチャ、ガチャ、」 と、一晩中鳴いていた。 こんな虫を売っている店が、市内の中心部にあって、料亭や、大きな邸宅の住人などが、買い求めていらしたようだ。 俗にゆう風流人の方々である。 結構子供の小遣い稼ぎになっていた。 「キリギリス」が十円、 「クツワムシ」 は、十五円で買ってくれた。 大きな料亭は三十個以上の虫かごを、庭につるしていた。 私は縁あって、広島では一番大きく、高級な料亭に、直接虫を売りに行っていた。 それはビックリするくらいの値段で、買っていただいていた。 秋に成ると、「鈴虫」や、「こおろぎ」など、秋の虫を届けていた。 特に喜ばれたのが、「草ひばり」だった。 その爽やかな鳴き声は、料亭に相応しい鳴き声だった様だ。 小泉八雲も、この虫を好んで飼っていたそうである。 その代金は、私学の中学校の授業料となって消えた。 そんな副収入が無い時は、新聞配達と、牛乳配達で賄っていた。 そんな風流な時代は、二度と来ないのだろう。 

コメント (3)
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