てくてく日々是雑感

こんにちは。てくてくねっとの たま です。
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ただのマジシャンじゃない― 前田知洋さん

2007年08月26日 | 気になる言葉
少し前のことになるが、NHKで『だまされたい脳・マジックの快楽 -奇跡の指先・前田知洋-』という番組をやっていた。
息子がマジック好きなので、付き合っていろいろなマジシャンを見ているが、中でも前田知洋さんは最高だと思う。テクニックはもちろん、知性、品性も兼ね備えているし、ただのマジシャンじゃないことは確かだ。
この番組でもすばらしい話術とテクニックに「ほ~~っ」とさせられた。
一応タイトルが「脳」なので、脳科学者・茂木健一郎さんが出演していて、「脳はサプライズを好む」とコメントしていたが、それに対して前田さんが「マジックはモノを扱っているのではなく、心を扱っている」とコメントしていたのが印象的だった。

ところで、私の現在の仕事では、カウンターで接客することがほとんどないのだが、
先日、久しぶりにカウンターに立ってお客様とやりとりをした。
その時、自分の中から前田さんの話し方、手さばき、間合いの取り方がふっと出てきたのである。
別に真似しようと思ったわけではないし、マジックをしているわけでもない。何より自分がびっくりした。
そして、ああ、前田さんが「心を扱う」といっていた感覚はこれだな、と思った。
クローズアップ・マジックと、カウンターをはさんでの接客は、意外と似ているものだな、とも思った。

接客とはつまり、お客様との心のやりとりなのだ。
お客様に喜んでもらう、満足していただく、その瞬間をお客様との心のやりとりで創り上げる。
上等なサービス、おもてなしとは、そういうことなのだろう。

その時、私は、お客様にモノではなく何か想いを伝えたかった。
その感覚が、番組で見た前田さんの感覚と重なって、無意識のうちに前田さんの所作が自分から出てきたのだ。

自分で言うのもなんだが、こういうところが…、つまり理屈や考えではなく、からだや行動で理解して反応するところが、自分でもすごいところだと思う。
前田さんの細かい感性には程遠いけどね。

ともあれ、この接客感覚は、おもしろいぞ、実験の価値アリ。
接客に少しだけ、マジックの要素を取り入れてみたらどうだろう。
実際にマジックをするわけではなく、ちょっとしたサプライズを用意するとか、好奇心をくすぐってみるとか。
番組では「潜在的欲求」について話があったが、お客様が何を欲しているかを細やかな気持ちでくみ取ってあげることはもちろんだけど、そこにちょこっと味付けしてみる。スパイスを利かせてみる。
些細なことだけど、あなたも私も楽しくてうれしい、そんな時間が共有できるのではないだろうか。

・・・なんてことを考えていたら、前田知洋さんの新刊『知的な距離感』という本が出版されていた。
読んでみたい・・・けど、はまりそうで怖いから、手が出せないでいる。


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