てくてく日々是雑感

こんにちは。てくてくねっとの たま です。
日々のあれこれをつづります。

一器多様

2009年02月28日 | 気になる言葉
「一器多様」
これは、ひとつのモノや道具をさまざまな用途に使う、という意味で
もともとは「器」について使われる言葉のようですが
器以外のモノや道具についても「一器多様」な使い方をする、というのが
私は基本的に好きです。

一枚の布を、包んだり結んだり広げたり巻いたり引っ掛けたり…と
いろいろに使える「風呂敷」などは、その典型。
畳めばコンパクトにしまえるし、旅行のときなどは本当に重宝します。
でも、はさみも入れず針も使わず、用途に応じてさまざまに変形させるその使い方は
実はけっこう技術がいることです。
結び方ひとつとっても、知っているようでちゃんとわかっていないこともあります。
風呂敷を扱いながら、包むものにふさわしい結び方を少しずつ習得していくのも、
また楽しいものです。

「石けん」「重曹」なども、これひとつで家中の掃除、洗濯をまかなえるスグレモノです。
洗剤売り場に並ぶ「○○用」「△△用」と用途に分かれた洗剤類を
いくつも買わなくてもいいし、台所や洗面台にボトルがごちゃごちゃ並ぶこともありません。
ただ、これも、使い方に知識と技術が必要です。
子どもや夫にも家事を分担させたい時は、使い方をしっかり覚えてもらわなくては。
用途別洗剤は手軽でわかりやすいけれど、応用がききません。
「石けん」や「重曹」の幅広い使い方を知っていれば、
いろいろと役に立つこともありそうです。

用途に適ったモノや道具は、使いやすく、便利で安全。
でもおかげで、からだに染み込んだ生活の技術は急速に廃れ、
考えることをしなくなる、とは、よく言われることです。
たしかに、適材適所の道具の、目的にぴたっとはまった合理性には
納得させられるものの
無用に過剰にモノが増えすぎているということも感じざるを得ません。

民族資料館でさまざまな民族が使っている道具の展示を見ると
人間が生きていくために必要な道具には、
どこか共通するデザインや機能があるのに気づきます。
身のまわりの自然を活かした素材、シンプルなフォルム。
たったこれだけのモノで、人間は生きていける、と思えます。

少ないモノで暮らしたい、と想うとき、
必要なのは知恵と技術と体力。
現代は、そのことが見直されつつあるのかもしれません。



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