老生の植物愛好と栽培は、屋外での雑草観察から始まった。それまでは、とんと草花の名前に疎い無粋者だった。
先ず身の廻りの目に触れる雑草から覚え始め、山野草→高山植物→蛇紋岩残存植物→竹・笹類と、10年単位で親しむ植物が増えた。老いるに従って観察の機会は減り、それと反対に栽培が増える。
ここ数年は、植物の栽培にも断捨離が必要と気づき、鉢植えを減らしている。
年齢のせいか、美しい花々を見ることに熱意が湧かず、毎夏の朝顔を除き花づくりは早々に諦めてしまった。
花に心を奪われなくなったのは、感性が涸れたという指摘もあるが、色彩にあまり魅惑されにくくなったと理解している。
綺麗な花々に変わって、ススキを実生で栽培したり、コケを鉢植えにしている。もはや仙人の趣味の領域。対象は移っても、植物を愛する気持ちは変わらない。
苔が好きなのは、中学生の時に観た京都の西芳寺の庭園の苔や福井の平泉寺境内の苔の印象が、心に強く灼きついていたからだろう。
山歩きをしていた頃は、雨の多い赤石山系の、標高2000m前後の山々の原生林に横たわる倒木群の苔に、紅葉そっちのけで感動した憶えがある。
老妻から見れば、変わり者だろう。
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