開け放した事務所の入口から
シオカラトンボのメス
通称ムギワラトンボが
翔び込んできた
通りに面したフィックスのガラス窓
から外に出ようと
右に左に翅を
ガラスに打ちつけている
アサガオの葉の緑で覆われた
窓の外に向かって
トンボはひたすら逃げようと試みる
ガラスが障壁になって脱出できず
かといって舞い込んで来た
入り口を探すでもない
虚しい努力を繰り返しているので
可哀そうになり
激しく翅を鳴らして
ガラス面を上下している
トンボに右手を差し伸べてみた
驚いたことにトンボは
待ってましたとばかり
中指にすっと留まった
そのまま戸口へ進み
右手を外にかざした
がトンボは逃げない
軒下の日陰から一歩外に出て
トンボの身体を
白昼の陽光のもとに曝した途端
トンボは音もなく翔び立ち
風に乗って瞬く間に姿を消した
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