若いときに胃のほとんどを失って以来、日頃の生活では食を最も重要視している。その基本は、杉田玄白の「養生七不可」の第4項、
正物に非ざれば、いやしくも食すべからず
不自然なものは食べないという考えは極めて単純で正しい。真理はシンプルである。
不自然なものは食べないという原則を食品全般に照らしてみると、現代は自然なもののほうが稀で、不自然なものは枚挙に遑ない。
現代の食品加工技術、冷凍技術の進歩は目を見張るばかりだが、この2大技術を使ってできている便利な食品は、杉田玄白先生なら正物とは云わないだろう。
外食ではそうもいかないが、普段私が食べているものは①可能な限り天然の食材で②加工度の低いものにしている。随って、生の素材をそのまま煮るか焼くか蒸すか炒めるかしたもの、素材が何か、ひと目見てわかり舌で確認できるものばかり。原形や原材料がわからないものは、一切口にしない。
先頃アメリカで、学者の槍玉に挙がったチキンナゲットは、以前から一度も食べたことがなかった。アメリカは食品加工産業の先進国で、加工食品のパイオニアだから安心できない。私なんぞ、一般的な食生活から見れば、かなり偏った江戸時代の人々の食性に近い方だろう。幸運にも残った6分の1の胃が、食べて無難な食物を教えてくれている。
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