道々の枝折

好奇心の趣くままに、見たこと・聞いたこと・思ったこと・為たこと、そして考えたこと・・・

グミの木

2020年06月07日 | 自然観察
グミの木には、なぜか心が惹かれる。特に美味しい果実でもないのに・・・

ロシア民謡に「小さいぐみの木」という唄がある。

何故かゆれる 細きぐみよ
かしらうなだれ 思いこめて

広き川の 岸をへだてて
高き樫(かし)の木 ひとり立てり

ぐみの想い 樫に伝えん
わが身ふるわせ 語るときに

細き枝を 君によせて
日ごとにささやく 若葉のこえ

ぐみの心 とどかざれど
永遠(とわ)の願いは やがて結ばん
♫                                                          
ロシア語では、樫の木は男性名詞、グミの木は女性名詞だそうです。
この歌を覚えた多感な年頃は、下町育ちの悲しさ、グミはおろかアケビも知らなかった。現在は自宅に植えた夏グミが毎年実をつける。ヒヨドリはこの実の熟すタイミングに精通していて、採りごろの実を先奪りしてしまう。

グミの木は、不思議なことに葉も実も淡い褐色を帯びている。目も心も惹かれるのは、実の形の可愛いさばかりでなく、その色調の深さ故かもしれない。葉にも実にも淡褐色の微細な毛が生えているからだろう。


かつて紅葉の頃に、長野県飯田市の【大平宿】を訪れたことがあった。カラマツ林に囲まれた静謐な廃村の宿場跡の路傍に、びっしり赤い実を着けた秋グミの木が1本立っていた。
帽子にいっぱいの実を摘んで帰り、ジャムにしたら、意外にも佳い風味だった。生食して美味しくない果実は、ジャムにすると美味しいという言い伝えのとおりだった。

その後磐梯高原でも、野生の秋グミに出会った。この時は、ヤマボウシ(山法師)の実も熟していて、それぞれの実を賞味するに忙しかった。

木の実には、原始の人びとが感じた興奮を、今も呼び起こす力があるようだ。





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