硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

恋物語 59

2021-06-22 21:08:25 | 日記
あるものにとっては、そんな些細な事くらいで、と、思えるだろう。しかし、人には感情があるのことを忘れてはいけない。人類は未だに感情というものを上手く取り扱うことが出来ず、争いを生み、苦悩を作り出しているのだ。
それを踏まえれば、高校卒業を控えた彼女達が、就職や進学といった進路の悩みよりも、足元にある悩みの方に比重が偏ってしまう気持ちは十分に理解できるであろう。

しかし、この時期は未成年から成人へと移行する時でもある為、恋愛にうつつを抜かしていないで勉強をしろ。将来の為には学歴が大事なのだ。と、口酸っぱくする大人もいるのであるが、その大人たちは、ケイタイという必要不可欠となったツールを与え、ネットニュースに大人たちの失態を垂れ流し、「人生楽しんだ方がいいんじゃね」と、言う価値観を無意識に浸透させ、レコメンドというシステムで意図的に視点を偏らせ、大人が大人になる事を否定するという滑稽な環境を築き上げてしまっていた。

物質が精神を規定するとはこの事である。

そんな大人たちの言葉が思春期真っ盛りの彼女たちの心に刺さるわけがなく、恋愛至上主義に傾倒してしまうのは、彼女たちにとって唯一、肌触りが感じられるrealだったからだ。
しかし、今を生きる彼女達だけの感性ではない。いつの時代も恋愛至上主義の青年はいたのであるが、大人になりきれなかった大人達は、社会という組織の中で、体裁を重んじるようになり、未熟な青年だったこと棚に上げて、未熟な青年達にマウントをとる事で自身が大人であることを演出しているだけなのである。
しかし、そんな事は、今の彼女達にとって、微塵も関係ない話である。