硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

「となりのトトロ その後 五月物語。」 24

2014-01-15 09:02:12 | 日記
「ほら、大学4年の今くらいの季節。紅葉を観に行くっていって・・・。」

「ああっ。あったあった!! そんな事あったわね。そうそう、高尾山みたいな山だったから、女子ばかりでハイキングに行った時ね。」

「それで、なにかあったの? 」

すると姉は苦笑いをしながら、

「あれは、たしか、すごく天気が良い日で、頂上でお弁当広げておしゃべりしていたら、日が傾くのも忘れるくらいとても楽しくなっちゃってね。慌てて下山したら途中で道に迷ったのよ。」

「迷ったの! 」

「うん。それまでに、雲取山や甲武信ヶ岳に登っていたから過信してたのね。後で猛省したわ。」

「へぇ~。でも、よく下山できたね。」

「そうそう。それがね・・・。そうだ! あなた、覚えてる? あなたが4歳の時、一人で母さんのいる七国山病院へ行こうとした事。」

姉が突然話を変えたことにも驚いたけれど、急に4歳の時に起こった出来事を思い出せるわけがなかった。

「そんなことあった? 」

「やっぱり覚えてないのね・・・。すごく大変だったのに。まったく呆れちゃうわ。」

そう言う姉にイラッとした。

「それと、これと、どういう繋がりがあるっていうのよ? ぜんぜんわからないわ。」

「それが大ありなのよ。あなたは忘れてしまっているかもしれないけれど・・・。」

姉は、想い出を紡ぐように、その時何があったのかを語り出した。