朱蒙(チュモン)が見た日本古代史(仮題)

「朱蒙」「風の国」「善徳女王」・・・韓国発歴史ドラマを題材に日本史を見つめ直す

サダハムの梅

2010年02月12日 | 善徳女王
ドラマ「善徳女王」が面白い。

ストーリーの作りこみ、展開の早さの面白さもあるが、ミシル役の女優さんの悪役ぶりが見事である。片方の眉をぴくりと吊り上げる独特の表情、菩薩のように優しく微笑んだかと思えば次の瞬間には鬼のような形相に変貌して部下を怒鳴り散らす。さすがのトンマンも怖がるわけだ。

しかし、ドラマ「善徳女王」は基本的にエンターテイメント重視のドラマである。史実をベースにしているとはいえ、史実に無関係な設定・脚色があまりにも多いので、ドラマを題材にして歴史の闇に切り込もうというこのブログの趣旨(本人も時々忘れかけているが・・・)にはあまりそぐわないのである。

ドラマでは数話前から「サダハムの梅」というキーワードを巡って話が進んできたが、結局のところ「サダハムの梅」の正体は(こよみ)だった(第16話)。

「暦」の重要性・重大性は現代人の感覚からはわかりづらいかもしれない。「暦」と言っても単なるカレンダーを意味するのではなく、太陽・月・星の運行や天気・天候のような自然現象など様々な自然科学を統合した集大成であり、当事の英知を結集して作り上げられたものなのである。

古代社会においては暦を知るものが権力の座につくことができたのであり、王権を担保する必要条件だったとも言えるかもしれない。

たとえば現代ではコンピュータを使って日食や月食の起こる日、時間を正確に予測することができるが、ミシルの時代においてそれを可能にするのはまさに神業としか言えない最先端の知識・技術だった。それを知るのはほんの一握りの人たちだけだったのである。

ミシルがいかにして権力の中枢に入り込むことが出来たのか、というのはまあそういうわけなのだが、詳しくは今後のストーリーで明らかにされるだろう。

ところで、ミシルの初恋の相手(ドラマ上の設定)とされるサダハムは歴史書(「三国史記」)にも記録のある人物で、漢字で書くと「斯多含」である。(Wikipediaにも記述があるのでご興味ある方はどうぞ)

一方で、実はミシルは「三国史記」にも「三国遺事」にもその名前は現れない。一般に偽書と呼ばれる史書にしか記述のない人物なので、そのような人物と国王(善徳女王)を対立させるようなドラマはけしからんというのが韓国のお偉いさんの印象らしい。

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