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旧暦2月13日 波多の横山

2016年03月22日 | 万葉集と風土
明日香清御原宮天皇代 [天渟中原瀛真人天皇謚曰天武天皇]
  十市皇女参赴於伊勢神宮時見波多横山巌吹黄刀自作歌

河上乃 湯津盤村二 草武左受 常丹毛冀名 常處女煮手

河の上の ゆつ巌群に 草生さず 常にもがもな とこおとめにて

吹黄刀自はいまだ詳らかならず。ただ、紀に曰はく「天皇四年乙亥の春二月朔の丁亥、十市皇女、阿閉皇女、伊勢の神宮に参赴く」といへり。



歌が詠まれたのは675年2月13日。
2016年、ちょうど昨日が旧暦2月13日となった。

波多再訪を先月から予定するもいづれも雨で撮影延期。
ようやく再訪できた日が旧暦2月13日とは。
歌を詠んだ万葉歌人、吹黄刀自に導かれたような気になっている。

さて、名古屋から一志へ向かうアクセスは2通り。

近鉄で移動し川合高岡駅で下車するか、JRで松阪駅へ出て名松線に乗り換え、伊勢八太駅、もしくは一志駅や井関駅で下車する。

今回は一志から名松線の現終点駅「家城駅」の風土、いうなれば古代の交通路を確かめてみたかったので、前者を選択、川合高岡駅から歩いてJR一志駅まで徒歩2分程の距離を移動後、家城駅まで向かうことにした。

ちなみに名松線は本来なら伊勢奥津駅が終点駅となるが、何年か前の豪雨により現在は家城まで。この3月26日はれて全線再開となるそうだ。


近鉄川合高岡駅で下車すると。


「とことめの里」(図書館、温泉、福祉施設などが入る津市一志町の複合施設)のバスが。「とことめ=とこおとめ」。万葉集から名付けられたそう。こんなところにも一志の方々の万葉への熱き思いが感じられる。なんて素敵なバスなの!乗っていきたい気持ちを抑えてJR一志駅に向かう。


誰もいません。

この開放的な雰囲気がいい!
電車がくるまで15分ぐらいあったので、すぐ目の前にみえる波瀬川堤防にあがってみることに。


美しいです。一志日和。快晴!


1両編成の家城行きに乗車。


ワンマンでボタンを押して乗ります。切符も車内で購入。


車内から撮影。関ノ宮駅。

車窓からみた風景。遠景左手のこんもりした山に医王寺があり、古代河口頓宮が置かれていたと言われている。
今回訪問してみたかったが、スケジュールをどう組み立てても無理なことがわかりあえなく断念。
次回に期待。

終点家城駅あたり。古代伊勢へと向かう交通路の1つ。



家城駅。同じ電車に乗って折り返します。


そして井関(いせぎ)駅に到着。

いよいよ波多探訪。

波瀬川沿い、うぐいすの声を聞きながら歩きます。




道なり平地に桜並木が。大切にしてらっしゃるのが伝わってくる程に綺麗に手入れがしてある。

看板裏をみると、「そそこ桜保存会」の文字が。
事前に頂いた地図をみると、近辺の小字名にも「そそこ平尾」がみられ桜名に納得。

束の間のブランチ休憩。自前のおにぎりに波多の空気。美味しくない訳がない!

程なく歩くといい匂いが。

ベビースターラーメンでおなじみの『おやつカンパニー』さん。写真を撮っていたら社員の方が声をかけて下さった。
万葉故地もいろいろ行かせて頂いているが、一志にきて毎回思うのは皆さんとても開放的。
こんな怪しげな私でも声をかけて下さるのが嬉しい!


井関周辺。

今回も語り部の会の皆様がお力を貸して下さいました。ありがとうございます。

道を探して竹やぶの中を進みます。歩きやすいようにとカマを持って道を作って下さる。ただただありがたいことです。


古代の情景が広がる。いつ見ても心癒される。まさに磐群(いわむら)。

撮影終了後に向かった波多に残る古道探索。

1300年前に思いを十分に馳せられる空間であり、空気感であった。

万葉歌「とこおとめにて」。
既に完成済の楽曲。
しかし、波多を知る程に波多を訪ねたくなる。
また、波多を訪ねる程にもっと波多について知りたくなる。
それは、素晴らしい歌を詠んだ吹黄刀自が見た光景や、そして作者が詠んだ歌の思いに触れたい。
ただそれだけ。

しかし自分だけの力ではとうてい知り得ないことばかり。
また文献のみでは机上の空論。

風土に立って風土の風に吹かれ、風土の香り、そして何より土着の方々との触れ合いの中で古代も歌が詠まれたのではないだろうか。

一志歴史語り部の会の皆さま、今回も多大なるお力添えに厚く御礼申し上げます。
ありがとうございました!

2016年旧暦2月13日の波多再訪は万葉の思いに触れられた素晴らしい一日となりました。

深謝。
























 

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