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万葉うたいびと風香®’s ブログ

万葉うたいびと風香®のブログです。

やっとかめ文化祭 まちなか寺子屋 古代名古屋 海のネットワーク

2016年10月29日 | なごみ
今一番逢いたい学者。

日本福祉大学名誉教授 福岡猛志先生。

その先生の講演会が、今年の尾張名古屋、やっとかめ文化祭であることを知り早くからチケットを予約。
定員50人はあっという間に売り切れだったことだろう。
直前まで迷ったがこんな時こそ気分転換が必要と、入院中の母を見舞い少し中抜けさせてもらうことに。

今日から始まったやっとかめ文化祭。まちなか寺子屋のイベントの1つは熱田神宮から程近くの日蓮宗 本遠寺で開催された。

天武・持統朝における古代尾張を知りたい!その一心である。

まずは皇室や尾張氏とのゆかりの深い熱田神宮へ。


先般の氷上姉子神社の参拝後とあり、より思いが深まる。



信長塀。


せっかく来たので、、、名古屋といえばきしめん!久しぶりに宮きしめんを頂くことに。

迷った挙句、白エビかき揚げきしめんをオーダー。意外にも(失礼)白エビの味がしっかりしてて美味しい!

おすすめです。

宮きしめんを堪能した後、いよいよ本遠寺へと向かう。
古代において周辺は熱田台地縁に位置し、万葉歌「桜田へ 鶴鳴き渡る」の制作途中に穴があくほど見つめていた古代の地形図を思い浮かべながら歩くのがなんとも楽しい。
ああ、ここからは下り、いよいよ海ね、、、、とこんな具合に。(笑)
相変わらずマニアック!

程なく到着。



尾張名所図会にも描かれている古刹。

堂内での講演会。
お恥かしながら初めて聴講する福岡先生の講演。

本日のテーマ。「古代名古屋 海のネットワークー尾張氏を手がかりにー」



お姿見ただけで涙が出そうなほど嬉しかった。それほどまでに一度お会いしたかった。
柔らかなでいやみのない語り口は、著書で語られている通りそのままのイメージ。

尾張氏の始祖をたどりながら、目子媛、継体天皇との関係を掘り下げ、河川を利用した古代ルートや日本海、太平洋の海上交易から見た古代尾張の実像に迫るという奥深い講演会であった。

奇しくも3日前に借りた本は「継体大王と尾張の目子媛」。
著者は今日福岡先生の口から出てきたそうそうたる教授陣ばかり。

なかなかいいラインのようである。

それにしても、聞き慣れた大和の話を尾張で聞くのははなんと新鮮なことだろう!

講演会の締めくくりに、先生が朗唱されたのは「桜田へ 鶴鳴き渡る 年魚市潟 潮干にけらし 鶴鳴き渡る」。
本日の感動が凝縮された瞬間だった。

「桜田へ 鶴鳴き渡る」のレコーディングを前に、まだまだもがいている自分も面白い。















万葉歌とバードウオッチング

2016年10月21日 | なごみ
一見何の関係もなさそうなものだが、私にとっては大切な両者。

曲づくりにおいて、その世界観を言葉で表現するのに、まずは心を万葉の時代に戻さねばならない。
とはいっても平成の世。

そんな時にいそいそと出かけるのはバードウオッチングなり。

レンズを通してみる世界は、自然の中でたくましく生き抜く野鳥たちの姿。

季節によって、できるだけ人の集まらない自宅近くのコースを選んで歩いている。

森林浴をしながらの野鳥観察はまさに無の空間に早変わり。

静けさの中、万葉の時代に生き抜いたいにしえびとたちの思いに近づける空間ともなる。

鳥の声、風のざわめき、、、歩かなければ感じられない、そして立ち止まらなければ感じられないものがそこにある。

こんな風に万葉歌にはバードウオッチングが欠かせなくなってなっているが、持病の腰痛が今年春の検査で更に悪化していることがわかり、歩ける距離は3キロが限界。先生からは地上はやめて水中に切り替えてと言われる始末。。。
集団行動は諦めざるを得ないのが辛い。。。

母の症状が少し明るい兆しになってきたので気分転換も兼ねて久しぶりにバードウオッチングに。


秋の風が吹いてきたと同時にモズの高鳴きがあちらこちらで聞こえるようになりました。
鳥たちってすごい!




この看板の上、いろんな鳥たちのお気に入りの場所。今日はラッキー!カワセミさまのお出ましです!
M原さん、お先に〜♪




美しすぎる。




胃の大きさはどんなだろう。





どんな環境においても生き抜く強さ。

母入院中、またまた嚥下造影の検査を受け、思った以上に嚥下障害は進んでいないことがわかった。
ありがたいことに嚥下専門の先生、看護師さん、言語聴覚士の先生がついて下さっている。
食事の工夫もさることながら、口腔ケアが大事らしい。
早速実践しているが見事なまでにムセこみなし。

それにしてもさすが大学病院、食事の一例。


たらの梅肉ソース。

一見そのものだが、魚は加工されており皮目まで着色されて見事な再現。


こちらはさばの味噌煮。同じく舌で潰せる柔らかさ。


ホタテのグラタン。ホタテも同じく。


こちらは赤魚の銀酢に栗が添えてある。大塚製薬が出している「あいーと」という食品だと専門の看護師さんが教えてくれた。
食材は赤魚そのままだが、圧をかけて柔らかくなっている感じ。もちろん骨なし。すっと口の中でなくなる感じぐらいに柔らかだった。

母についてあげることでこうした食事内容がわかることは、退院後の自宅でのメニュー作りに大いに役立つものだ。

腰は痛いが不自由な体と戦いながらの母の頑張りに、私ももっと頑張らればと力をもらっている日々。


















年魚市潟と氷上姉子神社

2016年10月14日 | なごみ
万葉歌を歌う。

考察も重ねて納得して作った歌であることは間違いないのだが、最近は歌の背景について、歌い重ねていくほどに疑問が湧いてくることが多々ある。

それは万葉歌と風土との関わり。

ありがたいことに5年程前からはご依頼頂けるコンサートなどをこなすのが精一杯で、どの疑問もこれが終わってから読み解こうと自身に言い聞かせながら毎年後回しにしている自分がいて、どこかその自分が許せなかった。

時代背景も特化して万葉歌を作り続けている自分であるゆえに、後回しにしている部分がこれから読み解いていこうとしている万葉歌の時代背景と交錯しているように思えてならない昨今。

いよいよ積もり積もった万葉の風土への疑問を1つ1つ読み解いていこうと動き出すことにした。

まずはお膝元、年魚市潟(あゆちがた)。(愛知県の語源とも言われている)

桜田へ 鶴鳴き渡る 年魚市潟 潮干にけらし 鶴鳴き渡る(巻3−271/高市連黒人)
さくらだへ たづなきわたる あゆちがた しほひにけらし たづなきわたる

天武、持統朝に活躍した歌人、高市黒人の歌である。

万葉歌はすでにここ愛知県で昨年歌わせていただき完成しているのだが、今回、歌との関連で注目しているのは氷上姉子神社(ひかみあねごじんじゃ)である。
熱田神宮の摂社となる。





祭神は宮簀媛命(みやすひめのみこと)。

名古屋市緑区大高町火上山1−3にあり、名古屋高速、国道23合線(通称名四)沿いに位置している。
元宮は火上山の山上にあるが、持統4年(690年)に麓の現在地に移されたとある。





お恥かしながら、昨年歌に取り掛かるまで存在を知らずにいた私だったが今回初めて訪ねることができた。
それにしてもこの横を今まで数え切れない程通っていたし、何より若かりし日の勤務先がここから程近かったことには何だか因縁を感じずにはいられない。


野鳥保護区に指定されており、なんとも嬉しい限り。




自宅からわずか20分程。早朝出かけたら、運良く宮司さんの祝詞奏上に立ち会えた。


すぐ横にある大高斎田。

元宮付近まで行くと年魚市潟が望めますと宮司さんが教えてくださり、その場所を探し求めたが分からず手書きの地図まで頂き、ならばと2日かけて探索。

まずは年魚市潟。


うっすらと見える山並みは鈴鹿山脈。残念ながら名古屋の景色が変わりすぎていたのと木が茂っており、年魚市潟遠望とまではいかなかったが、古代はこの眼下から鳴海潟といって干潟が形成されている地形であったのが一目瞭然。
ビルや鉄柱は心の中で焼き尽くせばいい。


標高差がよくわかる。


やはり。。。
桜田が見渡せる場所をようやく発見。

天武、持統朝にとっての高市連黒人。

まだまだ青いゆえ、今まで以上に、産み出した楽曲、1曲1曲大切にしていきたいと思う。

それにしても普段は持病の腰痛の痛みと戦っている自分がこんな時だけ山歩きまでできるのが不思議である。









万葉歌「〜二上山の落日〜現世の人なる我」 配信決定!

2016年10月08日 | なごみ
3年前より上演の「万葉歌物語〜二上山の落日 大伯皇女の嘆き〜斎王として 姉として〜」。

この度、万葉プラネットより
万葉歌「二上山の落日〜現世の人なる我〜」、「暁露」、「何しか来けむ」の3曲がiTunes にて配信決定しました!

過日のコンサートでは、奈良大学 教授 上野誠先生より「映像史である」と嬉しいお言葉を頂戴し、何ともありがたく且つ改めて身の引き締まる思いでおります!

iTunesでは試聴も可能です!

雄岳と雌岳の馬の背に沈む二上山の夕日に思いを馳せながら大伯皇女、そして大津皇子をもっと身近に感じてみませんか。

(ジャケットをクリック)


歌えば歌うほどに作者の思いと重みが近づいてくる万葉歌。
じっくりと味わって頂ければ幸いです。

iTunes

凛として

2016年10月06日 | なごみ
「鏡持ってる?今自分自身がどんな顔してるのか見てみたいの、、、。」

そう尋ねた母に思わずスマートフォンのカメラを手渡した。

「あまりいい顔していないわね」

「そうでもないと思うよ」そんな言葉しか思いつかなかった。

その後、作業療法士の先生がやってきて同郷だとわかり盛り上がる。

今日はおしゃべりだけで終わり。

それが功を奏したのか、もう一度鏡を見て「今度は嬉しそうな顔してるわね」と笑って見せた姿はとても凛としていた。

介護生活32年。

母の命と向き合っていることを今更ながらに再認識している。

自身の周囲の事がちっぽけなことに思えてくるほどに。

ふと母が何年も前にしたためた書の作品を思い出した。

凛として 生き果つるまで 曼珠沙華

命に寄り添っている。


入院中の病棟から眺めた東の空。


















遣唐使物語 名も無き民へのオマージュ 観賞

2016年10月03日 | なごみ
昨日はあゆちから平城へ!

心もお腹も満たされたい〜!とまずは「まほろばランチ」を頂くことに。




お店の雰囲気も良く、幸先いいスタート。


ゆったりと奈良散歩するはずだったのだが、訳あって興福寺の国宝館のみのチョイスに。

久しぶりの山田寺仏頭と再会。
もう1つ楽しみにしていたのは、迦楼羅(かるら)像である。我ながらマニアックすぎる!

それにしても阿修羅人気は不動だ。

三条通りを歩きながらなら100年会館へと向かう。


友人と感激したならまちのローソン。

奈良といえば奈良筆。

ここで待っていてくれたのね。

迷わず購入。奈良筆「鶴」。
「たづだわ〜」と一緒にいた友人に叫んだら、お店の店主がびっくりして「何かあるんですか〜!?」と!


美しい筆先。

ここまできたら、、、!


こちらも連れて帰ることに。(笑)


今使っているのも古梅園のもの。こちらは鶴の画が。素敵すぎる。これで桜田の万葉集を再度書くことにしようと心に決めた。

道くさ散歩を終えようやく辿り着いたのは、JR奈良駅からすぐのなら100年会館。


入るや否や何とロビーで上野誠先生がお出迎えしてくださった。
お手紙の印象そのままのお人柄なんだなあ。

先日のコンサートの労いを受け、何ともありがたくただただ頭が下がる。
本来なら近寄りがたき雲の上の先生なのに、私なんぞにもお声をかけてくださるなんて感無量。

その先生には、松坂慶子さんからのスタンド花も。



会場全体が演出されている印象。開幕前だが既に始まっているのを感じる。さすが!


用意して頂いたお席はなんとほぼセンター。
オケピットも近い。

いよいよ開演。
原作、脚本は奈良大学 文学部教授で万葉学者の上野誠先生。

日本の尺八、箏、中国の二胡、韓国のヘグムの音で始まった。
今どきの音楽、打ち込みも多いがやはり生音にかなうものはない。

日中韓、東アジアの音の調和の素晴らしさに一気にいにしえへと誘われた。

主人公は井真成。2004年に中国の西安で発見された墓誌を元に遣唐使として異国の地で果てた生涯が見事に描き出され、言の葉と音楽の調和が万葉オペラとして上演された。

井真成を演じた中島康博さんの歌唱がいい。
昨年見た魔笛翻案の万葉オペラ「猿沢ノ池不思議ノ横笛」でも彼の歌唱の滑舌とピッチの良さに聞き入っていたが、今年もあの素晴らしい歌唱が聞けたのは嬉しい限りだった。

何年か前の私の手帳にも書き記してある井真成の墓誌最後にはこうある。

形は旣に異土に埋むるとも、魂は故鄕に歸らんことを庶ふ。

名も無き民へのオマージュ。オマージュは尊敬を意味するとされるが、過ぎ去ったものへの讃歌という意味もあるそうだ。

万葉うたいびととしての故郷も大和。

自身の最後もかくありたいと願う。

素敵な機会を作って頂いたことに感謝し、友と共に車中で柿の葉寿司を頬張りながら帰路に着いた。