万葉うたいびと風香®’s ブログ

万葉うたいびと風香®のブログです。

参河行幸。

2013年06月23日 | 万葉歌で綴る万葉の旅
二年壬寅(みづのえとら)に、太上天皇、参河国に幸(いでま)す時の歌

引馬野(ひくまの)に にほふ榛原(はりはら)入り乱れ 衣(ころも)にほはせ 旅のしるしに(万1-57)

いづくにか 舟泊(ふなは)てすらむ 安礼(あれ)の崎 漕ぎ廻み行きし 棚なし小舟(をぶね)(万1-58)


引馬野に色づいている榛(ハンの木)の原、その中に入り乱れて衣を染めていきましょう、旅のしるしに。。。
今頃、どこに舟泊まりしているのでしょうか、、安礼の崎を漕ぎ進めて行ったあの横板もない小さな舟は。


大宝2年(702年)に、持統天皇、三河国行幸の歌で万葉集に残され、引馬野、安礼の崎ともに、愛知県宝飯郡御津町御馬のあたりとされています。

愛知県の万葉故地は数える程しか知りませんが、この行幸の時に持統天皇が植えたと伝承の残る桜の古木があるというので、友人たちに誘われていってきました!

奈良の万葉故地は何カ所か訪ねていますが、なんと愛知県は初!

場所は岡崎市奥山田町。

持統桜といわれるこの桜は、1300年前、第41代持統天皇が「三河富士」の異名をとる村積山を行幸された際に植えたと地元では伝承が残っているようです。桜はエドヒガンの仲間で樹高17メートル、枝張りは東西15メートル、南北17メートル。


想像以上の迫力に圧倒。




伝承の域は脱し得ないものの、地域で守り続けてみえる真心と歴史の重みを感じた古木に心動かされた時間となりました。
来年は満開のしだれ桜の時期に是非!そう誓った3人でした!

欲張りな女3人旅ですので、楽しみは1つだけでは満足できないっ!ということで彼女おすすめのコーヒー店「豆蔵」へも花見前に立寄り。



ラテアート日本一のお店だそうで、最近はまっているカプチーノをオーダー。



コーヒーのお味は全く鈍感な私ですが、今迄飲んだコーヒーの中で一番美味しかった!
コクはあるんだけど、後味が残らないっ!

こちらはモーニングについたクロワッサンとコーヒーゼリー、そしてフレッシュオレンジ。
モーニングは愛知県では当たり前なんです。飲み物のお値段でこんなについちゃう!

花見を堪能した私たちは、お昼に予約していた和食やさん「匠ya」さんで和食ランチを頂き、帰路につきました。



お膝元、愛知(あゆち)と万葉集。

紐解けば、奥深いものなんだろうなあ、、、。

でも、奈良が私を呼んでいる、、、気がしてなりません(笑)




  

筑前琵琶。

2013年06月13日 | なごみ
友人からお誘いを受け、筑前琵琶のコンサートへいってきました。

ゲストは、女流筑前琵琶奏者の田中旭泉さん。数々の賞を受賞されている方です。

琵琶の歴史は古く、正倉院にある五弦琵琶はよく知られており、中でも筑前琵琶は、明治に改良された琵琶で、一番新しい形となるそう。

残念ながら写真撮影はNGだったため、開演前の様子だけ。



演目は、「戦艦大和」と「羅生門」。

てっきり演奏のみと思っていたら、筑前琵琶なるもの、歌語り的に抑揚をつけてのご本人による弾き語りではじまりました。

いずれもその歴史背景そのものを歌詞にして歌い演奏されることは、どこか万葉歌とも通じるものがあるが、万葉歌が「心の音楽」とまでいわれる由縁を筑前琵琶をきいて改めて感じた場となりました。

自宅に戻ってからは、なぜか万葉集の文献を無性に読みたくなって何度も何度も読んでみた私です。












万葉花便り「あざさ」

2013年06月12日 | なごみ
うちひさつ 三宅の原ゆ 直土(ひたつち)に 足踏み貫(ぬ)き 夏草を 腰になづみ いかなるや 人の子ゆえぞ 通(かよ)はすも我子(あご) うべなうべな 母は知らじ うべなうべな父は知らじ みなの腸(わた) か黒き髪に 真木綿(まゆふ)もち あざさ結(ゆ)ひ垂れ 大和の 黄楊(つげ)の小櫛(おぐし)を 押(おさ)へさす うらぐはし子 それぞ我が妻

                                               万葉集巻13-3295


あざさ(現代はあさざ)は、ミツガシワ科の多年草で浮葉性植物で黄色い星形の可憐な花が咲く花だ。

万葉集の勉強をしていた時にこの花の存在を知ってから、いつかこの目で見る事ができたらいいなあと思い焦がれていた。

昨日、そのあざさの花が咲きました、、、と明日香村に住むお知り合いの方から嬉しい花便りが届きました。



しかも8輪も咲いたとの事。

明日香のあざさとはなんとも贅沢なものです。

Kさん、ありがとうございます!

お心遣いに感謝。





中国王朝の至宝

2013年06月09日 | なごみ
無性に遺物に触れたくなるときがある。

そういうと、歴史に興味のない友人たちからは「ありえな~い!」の一言(笑)

気を取り直して、そのたびに自分をそうさせるものが何なのか考えるのだが、たぶん思うに、いにしえ人の「息吹」が直接感じられる「もの」だからだろうか。

ということで、名古屋市博物館で開催されている「中国王朝の至宝」展に一人いってきました。


(名古屋市博物館HPより)

歴代王朝の至宝対決と銘打っただけあって、何でも1級文物(=国宝級)が60%出展されているとか。





同時代に栄えた地域の文化を比較しながらの展示は、博物館学芸員さんの知恵と苦労も垣間みることに。

さて、その中でも今回私が一番みたかったのは、「蜀」の時代。日本でいう縄文時代にあたります。

日本で縄文といえば「縄文土器」を思い浮かべるのですが、今回印象的だったのは高度な技術を施された「金」製の遺物の素晴らしさ!

中でも祭祀に使われていたであろう「金製仮面」は、大きさは手のひらにのる程度のものだったにも関わらず迫力すら感じる1品でした。

また同時代の夏(か)や殷では青銅の文化が栄え、その遺物である「爵」(しゃく)があり、祭祀儀礼につかわれていたのかお酒をあたためるものとされるそれは、取っ手と注ぎ口の向きから当時の作法をもみることができるとあった。

物としての視点だけでなく、遺物によっては当時の生活や服装、髪型、そして他地域との文化交流まであぶりだしてくれるのだ。

日本の歴史もままならない私が、中国の歴史だなんて知るはずもないのですが、まだまだいい出したらキリがない程の遺物に触れてきた楽しいひと時となりました。

自宅に戻ってからは、文献探しに近所の大学図書館へ。



徒歩10分程の距離にあるのは、ほんとにありがたいことです。

何よりこの図書館で重宝しているのは、「万葉文庫」。



万葉集に関しての文献の宝庫で、結構な品揃え!

しばし、いや、どっぷりと万葉時間に浸ってきました!















オオヨシキリ

2013年06月05日 | 身近な野鳥たち


夕方自転車に乗って隣町に住む友人の家へ行った帰り道に写したものです。

麦秋至(むぎのときいたる)。まさに収穫間近。

6月に入り、少しばかり一段落してきたので、最近は新曲作成の前準備、古い文献にあたっています。

言い回しもさることながら、平仮名のくずし字が難しくって、2時間も読んでいると頭の中がまるで酸素不足のようになって苦しい。。。(笑)

そうした時は、野鳥観察に限る!

近所のバードウオッチングコースとしては、私の中で2コースあります。

1つは、池の周囲の遊歩道沿いに歩き、水鳥観察も兼ねながらのバードウオッチング。片道約2.5キロ。

もう1つは、カキツバタ群落を目指して山下の遊歩道を歩きながらのバードウオッチング。こちらは片道1キロ程。

今の季節は水鳥といっても、みんなお帰りになられてしまったので、カワウ、シラサギ、アオサギ、コアジサシぐらい。

一方、カキツバタ群落に今年訪れた人は、約12.000人だったそうで、花が終わった今はまた静かな日常に戻りました。

ということで「静」を求めて、カキツバタ群落を目指してリフレッシュしてきました。

辺りを見渡すと、咲き遅れたカキツバタがちらほら残る群落の中程の葦原に聞いた事のない鳥の鳴き声が。



特徴のない色の感じから、セッカ?かなと思いながらいると、意外に大きい。

そのさえずりは、何とも独特で、30分程そこに座り込み、バードウオッチング。



それにしても、しつこいぐらいに高らかにさえずり続けてくれました。

さえずりの特徴は、「ギョギョシ、ギョギョシ、ギョギョギョギョギョ」。

飛び方を確認したくって、その場でその鳥にわかるように咳払いをしたり、大きくストレッチしてみたりしましたが、動く気配ゼロ。

根負けしたのは人間です(笑)



スズメ目ウグイス科のオオヨシキリです。(俗名:行行子(ぎょうぎょうし))

はじめて出会う鳥となりました。

バードウオッチングの醍醐味の1つは、人間中心で動いているように思われがちな日々の中で、自分の知らない鳥が目の前にいること。

まだまだ知らない世界がたくさんあることと己の小ささををいつも教えてくれます。