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リセ訪問。

2006-11-20 01:44:36 | 学校
7区にあるリセ(高校)“Lycee Victor-Duruy”を訪問してきました。

外観です。学校の名前が出ていなければ、他の建物と殆ど変わりません。

違うのは・・・

この中庭です。きれいな庭です。授業の合間にこんな庭を散策できれば、少しは思索でもしてみようかという気になるかもしれません。

車の音は聞こえず、たぶん季節がよければ木々を渡る風の音が爽やかに聞こえることでしょう。彫刻もあり、ベンチもある。上の写真とは角度が違いますが、校舎の先にはアンヴァリッドのドームの先端が金色に輝くのも見えます。


玄関入ってすぐの小さなホールには、ピアノが置かれています。

廊下は天井が高く、建物自体の歴史を感じさせます。静謐、歴史、思索・・・恵まれた環境です。さすが、左岸のリセです。

ところで、どうしてリセの校舎に入れたのか・・・仏検(実用フランス語技能検定試験)を受験したから。その試験会場が、このリセだったわけです。

仏検・・・私が学生の頃は影も形もありませんでした。04年の春に25年ぶりでフランス語に触れるようになってから、進捗状況のチェックとモチベーションを少しでもあげるため、同年の秋に3級・2級、05年の春に準1級を受験。たまたま全て受かって、秋にフランスに来ました。それから1年、どれくらいフランス語力がついたでしょうか。


会場となった教室内です。普段は英語の授業などに使われているようです。今回は1級を受けてみましたが、結果は、見事不合格! 模範解答をくれたので自己採点してみたのですが、150点満点で90点。去年の1次試験合格最低ラインが96点だったそうですので、これはアウト!ですね。原因は、書き取り(ディクテ)。20点の配点でたぶん20以上の間違いがあったので0点。ディクテはソルボンヌの授業でもよくやるのですが、1回目は普通の速さで、二回目は書き取れるようポーズを置いて、しかも肝心なのは文法だよとでもいうかのように(実際、単純過去や半過去、接続法や条件法を駆使した文章が多く)少しゆっくりと読んでくれ、考える時間もくれますが、仏検の場合は平易な文書ですが、その代わり2回目に読むのも速く、しかもなんといっても書き取る時間が非常に短い。書き終わらないうちに、あれっ、あれっ、という間に次のフレーズ、次のフレーズへ移ってしまい、混乱のまま終了。やはり、過去問題集の付録のCDを聴きこんでスピード勝負の「仏検」に慣れておくことが必要でした(後の祭り!)。

また来年挑戦してみようと思います。でも、リセの校舎内が見れてよかった・・・負け惜しみ!!


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警察美術館。

2006-11-19 01:00:43 | パリ
警察と美術館、意外な組み合わせですね。フランス語では、Musee de la Prefecture de Police。いったい何が展示されているのでしょう?

場所は、5区、メトロ10号線のMaubert Mutualite駅のすぐ上。5区警察署の3階にあります。


英語のパンフレットも用意されているので、外国人の訪問もあるのでしょう。ただし私が行った日は、フランス人のお年寄りがひとりいただけでしたが。

さて、展示品は・・・まずは、犯罪者に対して使うもの。

そうです、ギロチンの刃です。右に古い制服姿のマネキンの一部が写っていますが、身長170㎝ほど。それとの比較でギロチンの刃の大きさを推測してください。そんなに大きくはないのですね。


手錠の数々です。痛そうなものが多いですね。


これは、さまざまな取調べ(拷問)や処刑に使われた道具のミニチュア(手前)とステッキに仕込まれた武器(奥のケース)が紹介されています。ステッキに仕込まれた武器・・・探偵が使っていそうですね。警官も持っていたようです。

そして、警官の制服の変遷。

17世紀のものです。

18世紀・19世紀を経て、

20世紀初頭のもの。右側に写っているのは、独房のドアだそうです。

また、この美術館には、警察が保管しているさまざまな書類も展示されています。

これは、Tribunal Criminel Revolutionnaire(革命犯罪裁判所)の書類です。こうした書類とともに、多くの人がギロチンに掛けられ、断頭台の露と消えていったのでしょうね。

手書きで達筆な書類が多く読みにくいのですが、もしかすると歴史の証人としての書類を丹念に見ていくのが、ここで最も面白いことなのかもしれません。もう一度、長居覚悟で出かけてみようと思います。

因みに、ネット上でも一部見ることができます。
http://www.prefecture-police-paris.interieur.gouv.fr

なお、最後に、ここで見つけた面白いものをひとつ。

犯罪者の顔写真などを記録するためのカメラです。すごい蛇腹の長さですね。


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女性初の大統領、なるか?

2006-11-18 05:15:54 | マスコミ報道
ご存知のように、16日に行われた社会党員による次期大統領選の候補者選挙、直前になって、ある程度接戦になるのではないかとか、1回目の投票ではロワイヤル女史も50%を獲得できずに上位2名の決選投票になるのではないか、といった憶測がでてきましたが、そんな風評を吹き飛ばすかのように、ロワイヤル女史が60%強を獲得して社会党の公認候補になることが決まりました。


17日のLe Figaro(フィガロ紙)の一面です。晴れやかなロワイヤル女史の笑顔です。ロワイヤルの文字に後光が射しています。218,771人が投票権を持ち、投票率が約80%、その60%がロワイヤル氏に票を投じたことになります。インターネットでの入党申し込みが可能になり、今年だけですでに7万人の加入があった。その若い人たちがみな清新なイメージのロワイヤル氏支持に回ったのが大きいとか言われています。

日本でも報道されているこのニュース、フランスのメディアはどう伝えているでしょうか。いいチャンスですので、パリで出ている無料日刊紙3紙をご紹介しましょう。(写真はいずれも17日付の第一面です。)


metro(メトロ紙)です。パリ市内では、主要なメトロ駅の出口で配布していますので、通勤にメトロを利用するサラリーマンや学生を中心に読まれています。タブロイド版・カラーで、32ページあります。


20minutes(20分)という新聞で、その名の通り20分で必要なニュースがすべて読めてしまう、という編集になっています。A4・カラーの40ページ。読者数(発行部数ではありません)が多く、最近のデータでは、L'equipe(レキップ紙・日刊スポーツ紙)の240万人、Le monde(ル・モンド紙)の189万人に次いで、188万人で3位だそうです。因みに、4位はLe parisien(パリジャン紙)、5位がLe Figaroだそうです。


Direct soir(ディレクト・ソワール紙)、夕刊の無料新聞です。タブロイド版・カラーで、28ページ。メトロ駅の出口などで配布しています。

こうした無料新聞が発行されるに従い、以前からの新聞はその発行部数を落とし、経営が苦しくなっているようです。もともと、といっても100年も前の話ですが、フランスはアメリカと並ぶ新聞大国でした。それが2004年時点では、日刊紙の総発行部数が、無料紙も含めて793万部、日本(7,036万部)の9分の1です。Le mondeやLe Figaroといった高級紙といわれる新聞の発行部数は、30万から40万部。日本の大新聞は確か1,000万部近くありますね。大きな差ですが、その部数減には無料新聞の発行以外にも、編集や印刷の近代化の遅れ、収入減をすぐ料金値上げで解決しようとした経営判断、ニュース週刊誌の人気などが挙げられ、長年かかって減少してきているようです。しかし、それにしても今日のフランス人がこれほど新聞を読まないとは・・・単行本も20万部も売れると大ベストセラーだそうですし・・・新聞人やインテリたちは全てをテレビの普及のせいにし、低俗番組と非難していますが・・・この国の活字文化は、衰退してしまったのでしょうか? それとも、量より質?

ロワイヤル女史の話からマスコミの話になってしまいましたが、来年の大統領選挙については、与党側でもサルコジ内相に対抗する形でシラク派の巻き返しが始まっており(シラク大統領の3選出馬、あるいは、ド・ヴィルパン首相かアリヨ・マリ国防相の立候補・・・)、近々まとめてご紹介しようと思います。


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11月第3木曜といえば・・・!

2006-11-17 05:17:30 | パリ
言うまでもなく、ボージョレ・ヌーヴォーの解禁日。日本では16日午前0時からイベントとともに販売を開始した店のあったようですが、パリではどうだったでしょうか。


16日付のmetro(メトロ紙)です。ボージョレが今年も市場へ、という記事ですが、メインの写真は日本女性。キャプション曰く、日本がボージョレ・ヌーヴォー最大の輸入国。グラフによると、国別輸入量では、日本(880万リットル)・アメリカ(220万リットル)・スイス(50万リットル)というところがトップ3だそうです(3位=イギルスとする資料もあるようです)。では総生産量はというと、4,500万リットル。ということは、20%近くが日本で消費されていることになります。こういう写真になるわけですね。

ボージョレ・ワインの生産は、1950年代には150万リットルだったそうで、地元の農民などが収穫を祝って飲んでいたそうですが、やがて、パリなどほかの地方でも飲まれるようになり、そして、ついには世界へ。輸出に関しては、「ボージョレ王」といわれるジョルジュ・デュブッフ氏の売込みがあってこそ。ワインの仲介人である氏はパリに自分のワイン専門店を持っています(9 rue Marbeuf、8区)。

さて、16日の流通店頭はいかに。ちょっと高級なチェーン・スーパー、モノプリへ行ってみました。

アルコール売り場にご覧のようにたくさん並んでいました。でも、特別のPOP類はなく、遠くからはどんなワインが並んでいるのか分からないほどです。値段は、2.7ユーロ(405円)から5ユーロが中心で、最も高いもので8ユーロ(1,200円)でした。特別このワインを買いに来たといった風ではなく、並んでいるワインのひとつとして手にとって見てよさそうなら買うといった感じの人が多く、人だかりは全くしていませんでした。

では、レストランは。モンパルナス界隈のカフェ・レストランをいくつか覗いたのですが、全くなんら表示がありませんでした。関心なし、と思われるほどです。そこで、観光客の多いサンミシュル界隈を歩いてみました。
(写真)
1軒だけ、表にポスターを貼っている店がありました。“bojo nouvo cocorico”とボージョレ・ヌーヴォーが短縮された発音表記になっています。Cocoricoは雄鶏の鳴き声で、雄鶏といえばフランスシンボル。フランスの愛するボージョレ・ヌーヴォー、万歳といったような意味になるでしょうか。

もう1枚、イラスト入りのポスターも貼ってありました。しかし、通行客は多いものの、ポスターに特に注意を向ける人はいませんでした。

ということで、ボージョレ・ヌーヴォー狂想曲は、以前ほどではなくなったとは言うものの日本独特のお祭りのようです。


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やはり、恋の国。

2006-11-16 02:28:43 | パリ
以前にも増して、メトロの車内やプラットホームで、そして舗道で抱き合いキスをしているカップルが多くなっているような気がします。しかも、眺めるのも馬鹿らしくなるほど濃厚なキスをいつまでもしている人が多くなってきています。ロマンティックな秋、恋の季節なのでしょうか。いや、一年中だよ、と言われてしまいました。

そんな気分を表しているのか、先日のセクシー広告に続いて、やっぱり・・・という広告が目につきました。


これは、科学的といか、生物学的ですね。メトロの駅でとったのでちょっと見難いですね。別の場所でアップにしてみましょう。

(黒い線はライトの影です。)“恋するロンドン、往復2枚で100ユーロ。”パリとロンドンを結ぶユーロスターの広告です。ロンドンが卵(卵子)、そこを目指す精子たち。目玉焼きでは食の国というにはちょっと寂しいですが、料理は料理。さすが、恋と食の国です!


これはきれいなヌードですね。ヴァージングループの広告。本、音楽、ビデオ、マルチメディア、ステーショナリー、プレイガイド・・・楽しみの文化、ヴァージングループ。楽しみ(le plaisir)と言ったとたんのヌード、何をかいわんや、ですね。でも、このコンセプト、カルチュア・コンビニエンス・クラブに似ていませんか。文化は楽しむためにある。文化は気軽に楽しみたい。お互いのもともとの文化は異なっていても、ビジネスの世界では似てきてしまっている、あるいは世界が狭くなってきている、そんな気がします。

どうもメトロやRER(郊外電車)に乗ることが多いので、プラットフォームや乗り換え通路にある大型ポスターについつい目が行ってしまいます。でも、広告は時代を映す鏡とも言います。フランスの今を少しでも感じていただければ幸いです。


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日本アニメ、特集記事。

2006-11-15 02:43:32 | 映画・演劇・文学
フランスの映画専門誌『カイエ・デュ・シネマ』といえば、かつてフランソワ・トリュフォーが健筆を振るったことでも知られる、その道の頂点。この雑誌が、10月号で「日本アニメ」を特集しています。



名前だけは学生時代から知っていたものの、実際に手に取って読むようになったのは、ごく最近。ソルボンヌのコンフェランス(講義)で映画に関するものを今学期とっているのですが、非常に面白い。その講師がこの雑誌を読むよう勧めているので、少しだけ拾い読みをし始めました。その10月号の特集が、たまたま日本アニメ特集だったわけです。

日本アニメといえば、宮崎駿監督。監督へのインタビューはすでにいろいろな所で出ているので、この特集では、スタジオ・ジブリの鈴木社長と、宮崎監督の息子で今年はじめて長編アニメを監督した鈴木吾郎氏へのインタビューを載せています。



鈴木社長は、スタジオ・ジブリでは宮崎駿監督の賛同がないと何事も進まないこと。最新作『Tales from Earthsea』のアイデアは宮崎駿監督からでているが、自ら監督として完成させるには年えお取り過ぎたと断念。息子の吾郎氏にスタジオ・ジブリとしてその任を託したこと。吾郎氏には鈴木社長が付きっ切りで作業手順から全てノウハウを伝えたこと。今までの世代にはない、若い世代の新しい感性に期待していること。できることなら『平家物語』をアニメ化してみたいこと。こういったことを語っています。

一方の鈴木吾郎監督は、父親にこんなものは見るなと言われながらも、『うるせい奴ら』などのTVアニメに夢中になっていたこと。『Tales from Earthsea』の冒頭の部分にドラゴンが出てくるのは鈴木社長のアイデアであること。しかし、自分と父親の宮崎駿監督には演出の違いがあること、例えば父親は主人公に主観的な思いを入れて描くが、自分はキャラクターの何人か、あるいは全ての背後に自分の視点を置いていること。こういったことを述べています。

詳細はともかく、いま日本文化といえば、一にアニメ。政府も“ポップカルチャー”の海外での人気に注目し、ようやく勉強会を立ち上げ、「アニメ文化大使」や「日本マンガ大賞」の創設を計画しているようです。当然のことで、一日も早く、話題性のあるしっかりしたイベントにして欲しいと思います。何しろ、こちらで学生(フランス、そして世界からの留学生)が知っている日本人といえば、いまや、宮崎駿、村上春樹、北野武の三氏なのですから。


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新聞紙上、PSで埋め尽くされる。

2006-11-14 03:15:52 | マスコミ報道
11月10日(金)の新聞各紙は、「PS」の文字で埋め尽くされました。さて、PSとは・・・


最初のPSは、Parti Socialiste(社会党)です。来年の大統領選挙へ向けて、党公認候補選びの終盤。ロワイヤル、ストラス=カーン、ファビウスの3候補がラストスパートです。各地で党員集会が開かれ、三者一堂に会しての討論会が行われています。10日には最後の討論会がトゥールーズで開かれました。この夏、候補者選びが始まった頃は、圧倒的にロワイヤル女史が優勢でしたが、討論会を経るにつれ、ストラス=カーン氏が追い上げてきています。ロワイヤル女史の清新さ(旧態依然とした社会党の手垢に染まっていないところ)が人気の理由として大きなウエートを占めているのですが、討論を通して専門の女性問題・家庭問題などではさすが!なのですが、経済・外交などでは経験のなさが露呈し、不安視する向きも出てきています。一方のストラス=カーン氏は経験・実績に裏打ちされた意見を開陳し、急追してきています。しかし、世論調査では、まだロワイヤル氏がリードしており、しかも、大統領選挙の与党候補になるであろうサルコジ内相との比較では、3候補の中で唯一ロワイヤル女史だけが対等に戦えるだけの支持を集めており、このあたりを社会党員がどう評価しますか。候補者選びの選挙は16日(木)に行われます。


もうひとつのPSは、ご存知プレイステーション3の発売です。こちらでも大きな話題で、発売が遅れたが、ようやく日本で発売。今後アメリカ・マーケットで11月17日に発売され、ヨーロッパ市場で売り出されるのは来年3月。ファンはそれまで待たなければならない、と伝えています。日本でのPS3発売の模様は夜8時のニュースでも紹介され、ビデオ・ゲームがフランスでもしっかり家庭に入り込んでいることを物語っています。ヨーロッパからPS3を日本で購入するためのツアーが催行されたというニュースが一部マスコミに流れたほどで、ビデオ・ゲームファンの熱中ぶりは、洋の東西を問わないようです。

PSに明け暮れた週末の様子をご紹介しました。
P.S.(追伸)は、残念ながらありません。悪しからず。


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文学賞も、国際化。

2006-11-13 01:34:25 | 映画・演劇・文学
10月から11月はじめにかけて、フランスの文学賞の発表がありました。今年の受賞者には、ひとつ大きな特徴があり、話題になっています。それは、国際化。



11月7日付のmetro(メトロ紙)によると、今年の各賞の受賞者は・・・
・L'academie Grand Prix(アカデミー・グランプリ)
  Jonathan Littell 『Bienveillantes』
・Le Goncourt(ゴンクール賞)
  Jonathan Littell 『Bienveillantes』
・Le Renaudot(ルノド賞)
  Alain Mabanckou 『Memoires de proc-epic』
・Le Prix Femina(フェミナ賞)
  Nancy Huston 『Lignes de faille』

名前からしてお分かりかと思いますが、2つの賞を一気に受賞したリッテル氏(上の写真左)はアメリカ人で、長くフランスに住み、今はスペインのバルセロナに住んでいます。作品はフランス語で書いており、最新作でフランス文壇で最も権威のある賞を受賞しています。

女性作家による作品が対象のフェミナ賞を受賞したヒューストン氏はカナダ生まれ。やはり長くフランスに住んでいますが、今でも作品はまず英語で書き、それを自らフランス語に訳して出版しているそうです。著者と翻訳家を兼ねているわけですね。そのフランス語訳の作品でフェミナ賞を受賞しました。

ルノド賞のマバンクー氏(上の写真右)はコンゴ生まれで、母国語はフランス語ですが、今はアメリカに住み、カリフォルニア大学でアフリカ文学を教えているそうです。

今年の受賞者は外国人であったり、居住するのが外国だったりしてで、フランス文壇での人間関係などとまったく関係がない。つまり、作品によってのみ評価された作品群が主な文学賞を独占したことになり、こうした流れの中からフランス(語)文学に新しい動きが出てくるのでは、とも言われています。

そのうち、日本人によるフランス語作品がフランスで認められることもあるかもしれません。期待していたいと思います。


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宿題、提出。

2006-11-12 02:18:35 | パリ
このブログをはじめてすぐの頃、パリのすすきをご紹介しました。場所は、バスチーユの近く、サンマルタン運河を覆っているle square Jules Ferry(ジュール・フェリー広場)の北端、すぐ先で運河が地上に出るところです。そこに、すすきに囲まれて建っている少女の像があるのですが、さて、それは誰でしょうか。


(今年11月の写真です)

分からないので宿題にします、といっておきながら、実は答えを出していませんでした。このブログを遡って読んでいただいた方から、この女性が誰か気になるというコメントいただきましたので、調べてみました。

像の台座には次のように刻まれています。


La Grisette de 1830・・・Grisetteという単語には、女工、お針子、荷車で売り歩く野菜売り、尻軽女といった意味があります。手がかりはこの単語だけでしたので、いろいろと調べてみました。その結果分かったことは・・・紡績工場で働く女工だそうです。モデルが特に誰という限定はないそうで、19世紀前半のロマン主義時代の庶民の代表みたいなものなのでしょう。


尻軽という意味もあるコトバが作品名になっているので、一応後姿も見てみました。なかなかキュートですね。

なお、彫刻家の名は、J-B. Descomps(ジャン=バチスト・デコン)。1909年の作だそうです。サンマルタン運河周辺を散策する人の間では意外と知られていて、冬になると、毛糸の帽子をかぶせてくれる人もいたりするそうです。ちょっとした下町のアイドルですね。この日は残念ながら帽子の代わりにハトが頭の上に止まっていました。

ということで、ようやく1年近くかかった宿題を提出することができました。


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成瀬巳喜男監督特集。

2006-11-11 00:24:39 | 映画・演劇・文学
11月2日から、パリ日本文化会館で『成瀬巳喜男監督特集』が始まっています。


(フランスの映画専門誌『カイエ・デュ・シネマ』で紹介された成瀬特集です)

上映されるのは31作品。学生時代、岩波ホールや燃えてしまった京橋のフィルムセンターで溝口や黒澤はよく観たのですが、成瀬は『めし』・『浮き雲』・『山の音』くらいしか観ていません。今回は是非できるだけ多くの作品を、パリで観たいと思っています。

まず最初に観てきたのが、『夜ごとの夢』。成瀬初期の傑作といわれている1933年の作品です。


玄関受付に、ポスターや上映時間などの案内が出ています。

上映会場のある地下3階のホールには、かつてフランスで上映された日本映画のポスターがパネル展示されていました。

会場は、大ホール。上映が始まると、スクリーンの下に細長いサブ・スクリーンのようなものが現れました。この作品、無声映画なのですが、今回の上映用の素材は英語バージョン。日本語字幕の上に、英語訳が大きく出ているので、フランス語訳はサブスクリーンのほうに控えめに出すことになったようです。でも、きちんと読めます。実は一番読みにくいのが、日本語字幕! 細く読みにくい書体の上、黒バックに茶色ですから、見難い。しかもその下半分くらいが、白抜きのはっきりとした英語に覆われていますから、ついつい英語を読むことになってしまいます。でも、十分にストーリーは分かります、問題なしです。

観に来ていたのは9割方フランス人。若干年配の方が多かったですね。マンガやアニメを通して日本への関心をもっている若い人が多いのですが、昔の映画ともなると、興味をもつ層も世代が上になってしまうようです。でも、“やるせ泣き男”とも呼ばれ、庶民の心の機微を紡ぎだすのに秀でた成瀬監督。その作品に描かれた庶民の歴史があってこその今日の日本です。日本に関心のあるフランスの若い人たちにもぜひ観てほしいと思います。


これがプログラムです。12月2日まで、断続的に上映されます。14時、16時半、19時半の1日三回上映で、それぞれ異なった作品を上映しています。


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