堕ちてゆく橋を渡れば月の海 小林実
作者は朽ちかけた橋の上にいるのだろうか
真っ暗な海には音もない
波間には無数の月が漂っている
虚実あいまっての中に作者の孤高の姿が浮かんでくる
(小林たけし)
【月】 つき
◇「新月」 ◇「夕月」 ◇「昼の月」 ◇「月光」 ◇「月明り」 ◇「月影」 ◇「上り月」(のぼりづき) ◇「下り月」(くだりづき) ◇「弓張月」(ゆみはりづき) ◇「弦月」(げんげつ) ◇「半月」
四季を問わず月にはそれぞれの趣があるが、月のさやけさ、月の清らかさは秋に極まるので、単に「月」といえば秋の月を指す。春の「花」(桜)、冬の「雪」に対して秋を代表する季の言葉。月には様々な呼び方がある。「初月」は陰暦八月初めの頃の月のことで、仲秋初めての月を愛でる語。「二日月」は陰暦八月二日の月。「弓張月」は半月のことで、弦を張った弓のような形をしていることから呼ばれ、「弦月」とも。また形状から「月の舟」とも呼ばれ、上弦と下弦がある。
例句 作者
半月やドアの取っ手が痩せている 村田まさる
友と語れば海峡やがて月かかぐ 藤木清子
同じ白さの嫂と昼の月 田中いすず
吹き晴れて月は天心かぞえ日に 森ふみ
吾を容るる故郷や月の一本道 青柳志解樹
吾妻かの三日月ほどの吾子胎(やど)すか 中村草田男
吾子が嫁く宇陀は月夜の蛙かな 大峯あきら
命終の銛打つは誰そ月の夜 小林貴子
唇美しき仏と寝たり柿月夜 岡田一夫
啄木鳥や月皎々と青き森 宇井十間
喉もとに月光あつめ薬のむ 渋川京子
喪いて酔うて月夜の斧振る音 杉本雷造
嘘っぽく銀座の上に月満ちる 髙野公一
堅雪を渡る背骨月光が鳴る 十河宣洋
半月やドアの取っ手が痩せている 村田まさる
友と語れば海峡やがて月かかぐ 藤木清子
同じ白さの嫂と昼の月 田中いすず
吹き晴れて月は天心かぞえ日に 森ふみ
吾を容るる故郷や月の一本道 青柳志解樹
吾妻かの三日月ほどの吾子胎(やど)すか 中村草田男
吾子が嫁く宇陀は月夜の蛙かな 大峯あきら
命終の銛打つは誰そ月の夜 小林貴子
唇美しき仏と寝たり柿月夜 岡田一夫
啄木鳥や月皎々と青き森 宇井十間
喉もとに月光あつめ薬のむ 渋川京子
喪いて酔うて月夜の斧振る音 杉本雷造
嘘っぽく銀座の上に月満ちる 髙野公一
堅雪を渡る背骨月光が鳴る 十河宣洋