竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

堕ちてゆく橋を渡れば月の海 小林実

2020-10-01 | 今日の季語


堕ちてゆく橋を渡れば月の海 小林実

作者は朽ちかけた橋の上にいるのだろうか
真っ暗な海には音もない
波間には無数の月が漂っている
虚実あいまっての中に作者の孤高の姿が浮かんでくる
(小林たけし)

【月】 つき
◇「新月」 ◇「夕月」 ◇「昼の月」 ◇「月光」 ◇「月明り」 ◇「月影」 ◇「上り月」(のぼりづき) ◇「下り月」(くだりづき) ◇「弓張月」(ゆみはりづき) ◇「弦月」(げんげつ) ◇「半月」
四季を問わず月にはそれぞれの趣があるが、月のさやけさ、月の清らかさは秋に極まるので、単に「月」といえば秋の月を指す。春の「花」(桜)、冬の「雪」に対して秋を代表する季の言葉。月には様々な呼び方がある。「初月」は陰暦八月初めの頃の月のことで、仲秋初めての月を愛でる語。「二日月」は陰暦八月二日の月。「弓張月」は半月のことで、弦を張った弓のような形をしていることから呼ばれ、「弦月」とも。また形状から「月の舟」とも呼ばれ、上弦と下弦がある。

例句 作者

半月やドアの取っ手が痩せている 村田まさる
友と語れば海峡やがて月かかぐ 藤木清子
同じ白さの嫂と昼の月 田中いすず
吹き晴れて月は天心かぞえ日に 森ふみ
吾を容るる故郷や月の一本道 青柳志解樹
吾妻かの三日月ほどの吾子胎(やど)すか 中村草田男
吾子が嫁く宇陀は月夜の蛙かな 大峯あきら
命終の銛打つは誰そ月の夜 小林貴子
唇美しき仏と寝たり柿月夜 岡田一夫
啄木鳥や月皎々と青き森 宇井十間
喉もとに月光あつめ薬のむ 渋川京子
喪いて酔うて月夜の斧振る音 杉本雷造
嘘っぽく銀座の上に月満ちる 髙野公一
堅雪を渡る背骨月光が鳴る 十河宣洋
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