樹庵のお気楽ナビ

チビデビル ルックと
天使キャラ セントの日記です。

「いなかのせんきょ」

2009年10月10日 | 本と雑誌

鍵田原郡戸陰村(かぎたわらぐん とかげむら)という
中部地方の日本海側にあるらしい架空の村での話。

ここでは村長は代々密室で決められ、いつも無投票だった。
今回は平成合併を当て込んでハコモノを建ててしまったのに、
合併に失敗し、ハコモノの借金24億だけ残して引責辞任した村長の後継者に
白羽の矢が当たった人望厚い正直村議、深沢清春さんが主人公です。

ところが清春さん、代々の村長のように長いものには巻かれろと思っていません。
公共事業が降ってこないか口を開けて待っている連中とは違い、
もうそんなもんに頼らない村にしようと言い出します。

さて、ここで慌てたのは利権にたかってきた大物村議や地元企業者でございます。
清春さんを村長にしたらえらいことになると危惧して、
慌てて地主の助役を立候補させます。
最初、清春さんの立候補に笑顔だった連中が、
手のひらを返してみんな助役派になり、
清春さんは孤立無援になります。

でも、それで立候補を取り下げる清春さんではありません。
ここに、実に50年ぶりの熾烈なる村長選挙の幕が切って落とされたのであります。

助役陣営は金もばらまくし、企業ぐるみで投票させようとやっきですが、
村人の心はだんだん清春さんに傾いていきます…。

とにかく、おもしろいです。
今の日本の縮図が、方言によって思わず笑ってしまう軽妙さの中に見えてきます。
これを仕事の前にカフェで読んでいた樹庵は、
読んではニヤッと笑いまた読んではニヤッと笑って、
きっと変な人だったと思います。

対立候補の、地主で一橋大卒の助役に対し、
村の唯一のスーパー経営者で、中卒の深沢清春さん。
でも、村のことは誰よりもよく知っています。
投票前日、村人を集めた清春さんの演説はわかりやすく、
村への愛に溢れてうならせます。
こういう政治家がいたらほんとうにいいのになぁ。

ほんとうにおもしろいですよ。機会があったら読んでみてください。

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