これを書かれた多田富雄先生の名前を、私は去年の今頃初めて知りました。
河合隼雄先生が亡くなられたというニュースを聞いて、
初めて手にした河合先生の本の中で対談をされていた方の中に
多田先生もおられたからでした。
心理学者、心理療法家、元文化庁長官、
京都大学名誉教授、国際日本文化センター名誉教授だった河合先生は、
2006年8月に脳梗塞で倒れ、
意識が戻らぬまま2007年7月に亡くなったそうです。
河合先生の本は、
凡人の私にもとーってもよくわかるように心理学を案内してくれます。
私は続けて何冊か読み、
その中に以前ブログにも書きました「こころの声を聴く」がありました。
多田先生はそこで河合先生と対談されていました。
世界的な免疫学者の多田先生の名前を私はここで初めて知ったのです。
多田富雄先生は、東京大学名誉教授、
世界的な免疫学者で、抑制T細胞の発見者です。
河合先生のと対談を読んで、
免疫という世界がものすごく深いことを知りました。
自己と非自己は脳で判定しているのではないとか、
胸腺という免疫の中枢臓器があり、それは体内時計のようなものだとか、
アポプトーシスという細胞の自死があるとか…。
というわけで、多田富雄著「免疫の意味論」を私も読んでみましたよ。
でも、ごめんなさい。
興味のある所はたくさんあるのですが、
私には難しいわ~という印象でございました。
たぶん10%理解できたかって感じです。
ただ、そういうわけで、多田富雄先生というお名前は、
その時私の頭にしっかりインプットされたのでした。
そして最近、
多田先生のコラムを新聞で読んだ記憶から、ふとAmazonで検索をして
この「寡黙なる巨人」を知りました。
エッ!多田先生って脳梗塞で半身不随になっていたんですか?
2001年5月に倒れられて、もう7年も経っているじゃないですか。
私が去年知った時には、もう何年も闘病生活をされていたんですね。
亡くなってから知った河合先生、
倒れられてから知った多田先生…。
なんか私って遅すぎない?
2001年、世界中を飛び回っていた多田先生が脳梗塞で生死をさまよい、
気がついた時には右半身不随になり言葉を失っていた。
「あの日を境に、すべてが変わってしまった。
私の人生も、生きる目的も、喜びも、悲しみも、みんなその前とは変わってしまった。」
という書き出しで始まる「寡黙なる巨人」は、
重度の障害を背負った多田先生の闘病記録と、
それからの先生の中に生まれつつある巨人のことを綴った本である。
障害者の先頭に立ち、日本の介護制度に抗議を続ける「巨人」。
しかし、私には大変失礼ながら、
多田先生がそういう使命をお持ちの方だったのではないかと思えてしまうのです。
世界的な医学者の先生でなければ言えないこと、
先生だから抗議できることはたくさんあるように思います。
先生は人生を二度生きておられる。
これからもお元気でご活躍されることをお祈りします。