木村忠啓の大江戸百花繚乱

スポーツ時代小説を中心に書いている木村忠啓のブログです。

美しい国

2010年06月06日 | 江戸の幕末
黒船の来航に、日本政府は慌てふためいて、成す術もなく右往左往していたのであろうか。
開国すれば、鎖国という国策を放棄しなければならなく、攘夷をスローガンにしている幕府にしてみれば、矛盾を含んだ問題であった。
江戸時代は徳川の独裁政治であったと思う人も多いかもしれないが、決してそのようなことはなく、現在でいえば、超有力な一政党が徳川であったという表現のほうがよい。
海外から交渉に来るのは、プチャーチン、ペリー、ハリスなど有能な人物ばかりである。
上からの方針は、はっきりしない。
そのようなジレンマの中、外渉に当たった人物の苦労には頭が下がる思いがする。
川路正路、岩瀬忠震、永井尚志などである。
隣の清国では侵略・略奪を繰り返した諸外国が日本に対しては、きわめて紳士的に振舞っている。
これは交渉に当たった日本側の人的な努力が大きい。
だが、もうひとつ大きいのは日本の持つ風土である。
日英修好条約を結びに来たイギリス使節エルギン卿とともに来日して『エルギン卿遣日使節録』を表したローレンス・オリファントが両親に充てた手紙の中に日本の感想が述べられている。

「日本人は私がこれまで会った中で、もっとも好感のもてる国民で、日本は、貧しさや物乞いのまったくいない唯一の国です。わたしはどんな地位であろうともシナへ行くのはごめんですが、日本なら喜んで出かけます。もしかりに私がその国の総領事に任命されたならば、お母さんもパパもきっと喜ぶでしょう」

日本を美しい国であるといった首相がいたのは随分前のことのような気がするが、実際に日本は美しい国であった。
沖縄問題くらいで揺れ動き、「国民が耳を傾けなくなった」と首相が政権を放棄してしまう今の日本。
責任を転嫁する積もりではないが、大丈夫だろうかと思ってしまうのは、わたしひとりではあるまい。


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